2021.01.20
コロナ禍で活用されているリモートワークですが、社員から不満の声があがっている、という企業も多いようです。 一口に“不満”といっても様々なタイプの“不満”があります。例えば「集中できる自室がない」「自宅のPCの処理速度が遅い」「機密性の高いデータにアクセスできない」「インターネット回線が安定しない」といった労働環境面の不満。そして、「チームメンバーに気軽に声かけができない」「正当に評価されないのではないか?という不安」といったコミュニケーション面の不満などがあります。 今回は人事課題として、「コミュニケーション面」に絞ってリモートワーク環境下で起こりがち不満とその解決方法についてお話しします。
リモートワークにおいて、なぜ社員は「正当に評価されないのではないか?という不安」を感じるのでしょうか。それはリモートワークにより今までとは違う、上司と部下のコミュニケーションスタイルになったことが主な要因です。
コロナ禍以前の上司と部下のコミュニケーションをみてみましょう。多くの企業では定時に出社し上司の目が届くところで仕事を行う。上司はその様子をみて部下が仕事をしていると認識し、部下も仕事をしていると認識してもらえる安心感があります。
残業は決して評価されるものではありませんが、上司が残業している部下に「今日はもういいから明日頑張って。」と、声をかけることは、部下にとって「仕事をしていることを認識してもらえた」「ちゃんと理解してもらえている」という、将来の評価に対する安心感に繋がります。
しかし、コロナ禍で普及したリモートワーク下においては上司の目が届かないところで仕事を行うため勤務態度で評価をすることができません。そこで上司は、仕事の内容と進捗を中心に部下とコミュニケーションを取るようになります。つまり、今までは「予定の仕事が終わらなかったけど頑張っている。でも完了できない。」という“社員側の事情”を上司が理解してくれているように感じられる(実際に理解してくれているかはおいておいて)環境があったわけです。しかしそれが、リモートワークでは「今日までの予定の仕事、終わらなかったんだね。」の一言で片付けられてしまい、努力していることは伝えるものの、社員としてはなんとも味気ない焦りに襲われてしまうわけです。そして、結果として攻撃的なコミュニケーションが発生したり、不安からのパフォーマンス低下に繋がったりします。
リモートワークでは、同じオフィスで働いているときのようにたばこ部屋で雑談をしたり、席に行って「ちょっとすみません」と話しかけたりすることができません。こうしたコミュニケーションは、実は社員が「上司(評価者)にきちんと見てもらっている」という安心感をもたらし、落ち着いて仕事に集中することに重要な役割を果たしていました。
例えば、一緒の部屋で、見えるところで仕事をしているだけでも「認識してもらっている」という絶大な安心感があったわけです。
そう、社員の「正当に評価されないのではないか?という不安」は、簡単に言えば、コミュニケーション不足の問題なのです。
コミュニケーション不足による社員のパフォーマンス低下や情緒不安定などの課題を解決するために、人事担当者は積極的に「リモートワークを上手く進めコミュニケーションのルール」を策定していくべきでしょう。
例えば、お互い、実際に話しはせずとも「就業時間中はZoomで必ずオンライン状態にしておく」というケースもあります。リモートワークであっても、電話がけなどの一手間をかけずに、すぐに声掛け対応できる体制はチームワークを保つうえでも大事です。
ただし、中には「監視目的ではないか」と勘ぐる社員もいますので、「何の目的でこのルールがあるのか」をしっかり説明したうえでルールを浸透させていくことが大切です。
目的に合わせた適度なコミュニケーションルールをつくり、円滑に、かつ、チームを身近に感じられるコミュニケーションをとれる体制を徹底すれば、リモートワークからくる不安や不満を和らげ、仕事に集中できる環境を整える事が可能です。
注意していただきたいのは、何でもかんでもコミュニケーションを増やせばいいというものではない、ということです。
年末年始はオンライン忘年会、新年会を開催した企業もあったようです。ですが、通常の飲み会のように終わりが無いことから「長時間、自宅から参加を強制されて苦痛だった」という声も聞きました。大切なのは、業務上でのコミュニケーションをとれる体制を作るということです。
みんなで話すことが大事なのではなく、「上司やチームと一緒に仕事をしている空気感」が大切なのです。コミュニケーションとは、会話をすることだけではありません。無言でも、一緒の空間にいる、同じ時間を共有して仕事をしていると感じられることも、重要なコミュニケーションであることを覚えておきましょう。
同じオフィスで働いていたときはあたり前にできていたコミュニケーションが存在しない。これは、想像以上に社員に心理的な負担をかけてしまいます。
それを補完するために、自社にどんなルールや制度が必要なのか?考える機会を作ってみてはいかがでしょうか。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
人事には、人員計画・配置・採用・給与・厚生・育成・評価といった分野と、それぞれに戦略、企画、運用、オペレーションという機能があり、非常に幅広い分野の領域に関わる職種です。人事担当者は、どのように学習し、キャリアを構築していったらいいのでしょうか。本記事では、新任担当者から主力メンバーになるまでのキャリア構築の方法を「人事の学校」主宰・西尾太が解説します。今回のテーマは「人事学習のよくある勘違い」です。
人事担当者が持つ人事のお悩みは、なかなか共有することも難しいため、
自分の(あるいは部署内の)力で解決しなくてはならないことも多いでしょう。
今回は、人事1年目から人事としてキャリアアップしたい人まで、
多くの人事担当者に読んでいただきたい本を3冊ご紹介します。
新型コロナウイルスの影響から、多くの企業でテレワークが普及している昨今。しかし「出勤することが当たり前」な働き方に慣れていると、「テレワークでも本当にちゃんと評価されるだろうか」と不安を抱いている人も多いものです。正当な評価を「されて当然」と考えるのは危険です。 では、正当に評価される行動とはどういったものなのか。逆に、ちゃんと仕事をしているのに損してしまうパターンには、どんなものがあるのか考えてみましょう。
創業したてのベンチャーから成長後期、大企業クラスの規模に至るまで、
会社には様々な変化があります。そしてそれは、人事部も同じ。
今回は各ステージごとの人事部の立ち位置の違いと、
人事が陥りがちなことをお伝えします。
人事は、様々な情報を取り扱います。
若手人事だとその万能感かプレッシャーからか、「勘違い」を起こすこともしばしば。
今回は、若手人事がうっかり陥ってしまう「勘違い人事」のパターンをご紹介します。
コロナ禍で黒字リストラが増える中、従業員シェアやワークシェアリングなどの雇用を守る取り組みが注目されています。どちらも有効な施策ですが、長期的に継続するかどうかが鍵となります。そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、雇用を守るために人事担当者がすべきことについてお伝えします。
人事ポリシーを適切に運用できている企業は、
残念ながらそれほど多くないというのが現状です。
ではなぜ、せっかく策定した人事ポリシーを活かすことができないのでしょうか?
管理職って評価することはあっても評価されることはないと思っていませんか?
実は管理職であっても、評価基準やコンピテンシーは存在します。
会社が管理職に求めているコンピテンシーを理解して、
もう一歩先のステージへ挑戦しましょう。