MBO(目標管理制度)は、PDCAサイクルを回し、メンバーの成果評価につなげていく際、大きな効果を発揮する仕組みです。ここで最も重要なポイントは「目標設定」です。適切な目標を設定するためには、5つの観点でチェックすることが大切です。人事評価をするすべてのマネージャーの必携書『この1冊ですべてわかる 人事評価の基本』(西尾太/日本実業出版社)から抜粋してお届けします。

マネージャーが行うタスクマネジメントやMBO(目標管理制度)の運用において、私が最も重要だと考えているのが「目標設定」です。目標設定では、ビジョン、戦略、ミッションを具現化するための「目標」を、通常1年や半年単位で設定していきます。場合によっては、数年間の戦略の通過点として、その期にそれをどこまでやるのかといった目標を設定することもあるでしょう。
目標を設定するにあたっては、その目標が「到達可能」であり、「その価値ある目標をどれくらい達成できたか」をできるだけ具体的に測れる状態にする必要があります。
目標というのは、「達成基準が明確であれば明確であるほどよい」ものです。達成基準とは、「どうなったら目標達成と言えるのか」という基準を指します。「いつまでにどこにいくか」ということが明らかであれば、そこに到達するための計画や道筋が明確になっていくわけです。
逆に、漠然とした目標では、後で達成できたかどうかの評価ができなくなります。つまり到達点を明らかにすればするほど、目標は達成しやすいということです。
そして、数値目標のみならず、定性的な目標においても、達成基準は明確にしなければなりません。単に「こうなればいいなぁ」という目標ではなく、絶対達成するぞという目標を明示することが大事です。
では、MBOにおける「目標」は、どのように設定したらよいのでしょうか。適切な目標を設定するためには、次の5つの観点で確認することをおすすめします。
① 目標は、ビジョン・戦略・ミッションに沿っているか
② 適切なストレッチがある水準で、かつ頑張れば必ず達成される目標になっているか
③ 達成したか達成しなかったかを、明確に測れる状態になっているか
④ 目標は、紙に書くなどして明示されているか
⑤ その目標に自らコミットしているか、またメンバーのコミットを得ているか
人事評価においては、「どうなったら、どのような評価(S・A・Bなど)を得られるのか」についても明らかにしておくと評価の時点においての誤解や認識のずれが少なくなります。
定性目標ならば、「効果があるマニュアルなどの成果物の完成と承認」「役員会での承認」、あるいは「上司がその出来栄えを認める」などでもよいでしょう。とにかく「どのようにして達成を認めるか」を明確にしてください。
目標設定に関しては、よく言われる「SMARTの法則」と呼ばれるものが有効です。

目標とは、「具体的で」「達成基準が測定可能で」「その目標が実現可能で」「上位目標・組織目標とリンクしており」「達成の時期が明確である」べきだということです。
しかし実際には、MBOを導入してもうまく運用できていない企業が少なくありません。目標管理の課題の多くは、「目標設定」に端を発します。失敗例としては次のようなものが多くみられます。

・個々人があげる目標と組織目標がずれている
これは、部や課など組織・チームのマネジメント上の問題です。しっかりと組織目標を示し、個々のメンバーの役割・ミッションを明確にしましょう。
・目標が簡単すぎる、または、目標が難しすぎる
「できる目標しか設定しない」という悩みをよく聞きます。一方で「難しすぎる目標を設定した」「部署や個人によって難易度が違う」という問題もあります。これらは、目標設定会議などでマネージャーが集まるなどして十分に議論しなくてはなりません。また「目標設定」〜「達成度評価」までのサイクルを何度か回さないと、適切な難易度に揃っていきません。ここは根気よく続けてほしいところです。
・達成基準が曖昧すぎる
ここも議論しなければならないポイントです。達成基準が曖昧とは、「西に向かって頑張る」といった漠然とした目標を指します。そうではなく、「JR大阪駅の西口改札に12時に到着」といった具体的な到達点を示すことを徹底していきましょう。
拙著『この1冊ですべてわかる 人事評価の基本』(西尾太/日本実業出版社)では、目標管理制度における目標設定や目標管理の手順と指標、難易度と重要度の設定方法なども紹介しています。こちらも参考にしてみてください。

『この1冊ですべてわかる 人事評価の基本』
西尾太(日本実業出版社)
「人事評価」をするすべてのマネージャーの必携書。本書を読めば、人事評価制度の意義と目的、評価者としての正しい態度・考え方、組織に合った評価指標の選び方、タスクマネジメントや目標管理の手法 、評価面談と評価会議の進め方、部下のポテンシャルを引き出すコミュニケーション方法などが一気通貫に理解できます。

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この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。

ー「なぜ、あの人が?」
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