2019.08.20
「これはルールだから」と融通のきかない人事担当者は嫌われるもと。
とはいえ、人によってルールを変えていてはルールとして機能しません。
柔軟に対応することが大切ですが、
ではどのようにバランスをとればよいのでしょうか?
組織長、あるいは社員から相談事を受けた時に「会社のルールなので、できません」と人事担当者に取りつく島もなく断られる。こういった場面は、多くの企業に見受けられるものです。しかし、人事には意外と「遊び」や「バッファ」といったバランス感覚も必要とされます。その理由をお伝えしましょう。
お役所仕事のように「あれもダメ、これもダメ。ルールですから!」と杓子定規に切り捨ててしまう人事担当者。このコラムをお読みの方も、一度は遭遇されたことがあるかもしれません。
そういった態度は、人事の業務における失敗のもとです。これから人事の仕事に携わる、もしくは現在携わっている人は、自分の特性について一度考えてみてください。もし、自分のコンピテンシー、あるいはパーソナリティとして、こうした「遊び」「バッファ」などが欠けている、と思うのであれば、余計に意識したほうがよいでしょう。
では、なぜ人事担当者にはそのような柔軟性が必要なのでしょうか。
まず、あくまで人事というのは会社の経営上の目的を、あらゆる組織、人を動かしながら実現させるための部門です。面接をしたり、給与計算をしたりなどの業務はあくまで目的達成のための部分的な作業でしかありません。
人事上の様々なルールは、経営上の目的を達成するために定められています。しかし、会社には部署ごとに分かれており、新卒も中途も、様々な背景の人が働いています。そのため、全社で共通するルールを決めたとしても、部署によって運用が難しい場合があるのです。その場合、ルールの柔軟性をあらかじめ確認した上で運用していく必要が出てきます。
「人や部署によってルールを変えていては、不公平が生まれるのではないか」。そう考える人事担当者の方もいるかもしれません。
確かに、社員同士で不公平になることも出てくる可能性があります。しかし、その不公平さも飲み込んで実務を行うことが経営上の目的を達成するために必要なのであれば、柔軟に運用することも考えなければならないでしょう。
とはいえ、柔軟に運用しすぎては、ルール自体が形骸化してしまい、組織運営を混乱させかねません。「ここだけは譲れない、超えてはいけない一線」をどこに引くか、という点は判断基準を持つ必要があります。
この超えてはいけない一線は「門」と言い換えることもできます。「人事は門番」という言い方を、この業界ではよく使います。あなたが最後の門を守っているならば、「自分の守っている門は一体どういう門なのか」を具体的に理解し、自分の中に落とし込んでおく必要がありますね。
落とし込みを経て、自分なりの基準はもちろん持っておくべきですが、運用を始める前には、あらかじめ経営陣や人事の組織長とすり合わせをし、整合性が取れているか確認をしておくとよいでしょう。自身で案を作った上で上司の承認をもらい、現場に運用に適用する、という順序であれば、混乱を招くリスクは少なくなります。
人事は、会社側の人間と思われることもありますが、会社と社員、50:50でバランスを取る必要がある立場です。経営の目的を達成する必要がある一方で、「社員=お客様である」という視点も必要になります。自分のバランス感覚がどちらか一方に偏っていないか、チェックする良い機会にもなるかもしれません。
繰り返しになりますが、人事にはあらゆる制度に目的があります。ルールで縛ることそのものが目的ではありません。多少ルールを曲げてでも、目的達成を上位に置くべきです。ルールを曲げた際に生じる不公平さがどの程度のものなのか、影響と対処策は考えた上で実施するように心がけてください。
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資金不足を理由に人事制度の策定を先延ばしにする企業は少なくありません。
しかし人事制度とは本来、資金の有無にかかわらず策定されるべきものです。
まずは会社にとって人事制度がどのような存在なのかを理解してください。
働き方の変化に伴い、日本全体に副業という制度が広まりつつあります。
しかし、まだまだ副業人材を積極的に採用し始めている会社は少なく、普及したとは言い切れないのが実情です。なぜ、副業人材を採用する会社が少ないのか。
今回はその要因と、今後の人事部に必要なポイントについてご紹介いたします。
これからの人事は、「人」だけでなくロボットやメカ、AIなど、
「人以外」のリソースも管理する必要があります。
会社から必要とされる人事になるためのリソース戦略とは、
いったいどのようなものなのでしょうか?
若手人事が必ず悩む、現場との距離感の問題。
実際にどのように現場と付き合っていけばよいのか、
人事での経験を元にお話しいたします。
「あ、これは危ないかも」と気づくヒントにしていただけますと幸いです。
人事担当者のもとには非常に多くの情報が入ってきます。
その情報、あなたはどうしてますか?
上司に報告するものとしないものを自己判断していませんか?
その自己判断が大きな問題につながる可能性もあります。
会社と社員を成長させる人事の「あるべき姿」をお伝えしたい。総合人事コンサルティングのフォー・ノーツ株式会社は、代表取締役社長・西尾太の著書『この1冊ですべてわかる 人事制度の基本』出版記念特別セミナー【聞いた後でジワジワくる‼西尾太の「地味な」人事の話】を2022年11月17日、TKP東京駅日本橋カンファレンスセンターにて開催いたしました。本記事は、このセミナーの内容を再構成・加筆をしてお届けします。第1回は、ジョブ型の失敗例を参考に人事の「考え方」の重要性についてお伝えします。
年功序列の処方箋としてブームになった成果主義やジョブ型雇用で、日本企業は本当に「脱・年功序列」を実現できるのでしょうか? 多くの企業はポリシーを持たずに、小手先の手法を取り入れて痛手を負っています。手法の導入だけに走った企業はどうなってしまうのか、改めて考えてみましょう。総合人事コンサルティングのフォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP )の著者・西尾太が、年功序列を脱するための方法についてお伝えします。
求めるものがはっきりしていなければ、何をしても「ブレる人事」になります。
ブレない人事を実現するに、会社が求めるものを人事ポリシーで示しましょう。