2024.06.10
タレントの高田純次さんが、以前にテレビでこんな話をされていました。「年を取ってやっちゃいけないのは、説教と昔話と自慢話」その通りでしょうね。若い人たちからしたら、説教・昔話・自慢話は聞きたくないはずです。言いたいことがあっても、そこはグッと我慢する。それが私たち50代に求められている基本的なスタンスでしょう。
タレントの高田純次さんが、以前にテレビでこんな話をされていました。
「年を取ってやっちゃいけないのは、説教と昔話と自慢話」
その通りでしょうね。若い人たちからしたら、説教・昔話・自慢話は聞きたくないはずです。言いたいことがあっても、そこはグッと我慢する。それが私たち50代に求められている基本的なスタンスでしょう。
ですが、高田純次さんも「そしたら話すことが下ネタしかなくなっちゃったんだけどね」とオチをつけて笑いを取っていましたが、説教・昔話・自慢話をすべてNGとしてしまうと、「話すことが何もない」という人も少なくないのではないでしょうか。
説教・昔話・自慢話は、基本的にはNGです。ただし会社にいる以上は、一定の存在感は示す必要があります。誰とも何も話さず、いるのかいないのかわからない。そんな “会社の妖精さん”になってしまったら、「あの人いらないよね」と囁かれるようになって、リストラ候補になってしまう危険性さえあります。
また、50も超えると、誰にも褒められなくなったり、叱られなくなったりするものです。誰かにちょっとは褒めてほしい、気に留めてもらいたい、という気持ちから、昔話や自慢話をしたくなるときもあるでしょう。(私も「今回の仕事は頑張ったぜ」とプチ自慢をしては、社員に「はいはい」と軽くあしらわれています)
あるいは、多少は「うざい」と思われても、私たちには長く生きてきた人間の責任として、若い世代に言うべきことは言う必要もあります。
今回は、説教、昔話、自慢話をする場合の「伝え方」について考えてみましょう。
若手に何かを伝えるのは、必ずしも悪いことではありません。若い世代に話を聞くと、「新卒の頃、年配の上司からビジネスマナーのいろはを教えてもらったのは、すごくありがたかった」と感謝している人もいました。
私も新卒で入った会社で、誰に対してもきちんと挨拶をする「礼儀」の大切さや、事実と意見を分けて話すこと、公式の場で言っていいこととダメなことの違いなど、TPOによる対応の仕方などを教えていただいたり、叱ってもらったりしていました。
だから今でも、ビルの管理人さんや掃除をされている方に挨拶をしない人を見かけると、「やっぱりそこは “おはようございます”とか“おつかれさまです”と言うべきじゃないか」と、ひとこと言いたくなったりもします。
自分のこれまでの経験値で若い人に伝えるべきだと思うこと、もしくは客観的に考えて必要だと思えることは、やはり躊躇せずに伝えるべきでしょう。
ただし、長々と説教をしたり、人前で叱責したりするのは、NGです。上司から部下でも、年上から年下でも、いきすぎた説教はパワハラになります。
だらだら長く話すのは、どんなときであってもよろしくありません。どうしても言わなきゃいけないときでも、基本は1分以内。
短く、簡潔に、さらっと伝える。
これが若手に何を伝える場合の重要なポイントです。
昔話も「昔はこういうことがあってさ、あはは」と1分以内に簡潔に伝えれば、それほど「うざい」とは思われたりしないでしょう。それを延々と長く続けてしまうから、「聞かされるこっちの身にもなってみぃや!」と不快に思われてしまうわけです。
また、昔の話しかしない人は、今の話ができない、ということになってしまいます。
会社で話すべきことは「今」の話です。
昔話も織り交ぜて、今の話をする分にはいいのですが、昔の話しかしなかったら、今の役には立たないので、そういう面でもよろしくないでしょう。
今の若い人は、年功序列的な考え方は通用しません。相手が年上や上司であっても、シビアに見ています。
昔の話もするけれど、今のやり方を取り入れ、成果を出している50代の話は参考にしたいと考えていますが、昔のやり方に固執して成果を出していない50代の話は、聞いてさえもらえません。
「昔はこうだった」という話をするなら、現在の状況もきちんとキャッチアップして、「今は違うけどね」と言い添えることが重要です。
たとえば、「昔は徹夜で仕事したもんだけど、今はそういう時代じゃないからね」と現在の価値観で話をする。それなら昔話もありでしょう。「徹夜はもはや良くないけど、そのぐらいがむしゃらに仕事に取り組んだことは、今の仕事に活きているよ」とかでしょうか。
だからこそ重要なのは、昔と今は何が違っているのかをしっかり認識することです。上司に誘われたら付き合うのが当たり前、二次会はカラオケに行くのが当たり前、カラオケでデュエットするのは当たり前、今時いないとは思いますが、酌は女性がするもの、なんて価値観のままでは、完全にアウトです。
若い人たちが2次会に行くとしても、自身はさっさと去り行くべきです。飲み足りなければ、ひとりで行く店を作っておきましょう。
自慢話をしたくなっても、1分以内です。「俺ってすごいやろう」みたいな話であっても、1分以内なら聞いてもらえるはずです。
人生経験が長くなると話したいことがたくさん出てきます。それこそ昔話や自慢話なんて始めたら、いつまでも喋れてしまいますが、話が長い50代は最も嫌われます。
若い世代は、コスト重視です。時間は特に大切にしています。相手が飽きているのに、だらだら話し続けるのは最悪といってもいいでしょう。
高田純次さんの「年を取ってやっちゃいけないのは、説教と昔話と自慢話」という話を紹介している記事には、こんなコメントがついていました。
「昔話しかしないのは、ピークを過ぎているから」
「そういう人から説教や昔話、自慢話を奪うのは可哀想」
説教・昔話・自慢話しかしない50代は、哀れみの目で見られているのです。
説教や昔話、自慢話をしたくなる気持ちは、わかります。「昔はこうだった」という気持ちは、私にもあります。50代は、おそらくみんなそうでしょう。
でも嘆いていても仕方ありません。私たちが経験してきたことは、若手にとって貴重な話だったりすることもあるはずです。要は、話し方や伝え方の問題なのです。
説教をしなくちゃいけないときでも、命令や決めつけではなく「こうしたほうがいいと思うけど、どう思う?」と問いかけ、決めるのは本人次第にする。昔話は、今の価値観で話す。自慢話は、簡潔にさらっと言う。そして、必ず1分以内で話す。
このように注意すれば、説教・昔話・自慢話がすべてNGというわけでもないと思います。なかなか難しいですが、自戒も込めて、私はそんな風に考えています。イケてない50代にならないよう、伝え方には十分気をつけていきましょう。
次回につづく
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
「日立 全社員をジョブ型に」というニュースが日経新聞の1面トップになっていました。日立製作所は今年7月にも事前に職務の内容を明確にし、それに沿う人材を器用する「ジョブ型雇用」を本体の全社員に広げるということです。ジョブ型雇用、テレワーク、ワーケーション、週休3日制など、働き方の多様化が急速に進み、戸惑いを感じている人も多いでしょう。ですが、働き方が変わっても、大事なことは変わりません。
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中高年のリストラが止まりません。東京商工リサーチ によると、2021年の上場企業における早期・希望退職の募集人数は約1万6000人。前年の2020年は約1万9000人でした。2年連続で1万5000人を超えたのは、ITバブル崩壊後の2001〜2003年以来だといいます。リストラを実施している企業は、赤字とは限らず、好業績でも早期・希望退職を募っているため、「明日は我が身」と不安になっている方も多いでしょう。では、会社での自分のポジションが、どうであったらヤバイ、どうであったらセーフなのでしょうか。今回は、その目安について、お伝えしたいと思います。
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あなたは「磯野波平さん」の年齢を知っていますか? そう、あの国民的人気アニメ『サザエさん』に登場する、サザエさん、カツオくん、ワカメちゃんのお父さんで、フネさんの旦那さん。家ではいつも着物姿で、ハゲた頭頂部に1本だけある髪の毛がトレードマークの波平さんです。
40代・50代になって、「専門職を極めていくか」「社内マネジメントに積極的に関わるか」といった今後の選択について悩んでいる人は多いのではないでしょうか?この二者択一は、リストラに関わる非常に重要な問題です。人事もまさにそこを見ています。40〜50代で何らかの専門性を持っていても、同程度の専門性を持っている20〜30代の人材がいるなら、会社はそちらを選びます。
ここ数年、「50代についての意見を聞かせてください」というご依頼が増えてきました。当連載もそうですし、『人事の超プロが教える 会社員 50歳からの生き残り戦略』(PHPビジネス新書)という本も出させていただきました。やはり中高年を対象とした黒字リストラや早期退職・希望退職を募る企業が増えているからでしょう。今回も「人事は中高年を実はこう見ている」というリクエストをいただきました。私は人事部時代、中高年の社員をどう見ていたのか。今回はこうしたテーマで、率直な意見や感想をお伝えしたいと思います。