2019.06.21
社員の離職を食い止めるために重要な要素である「臨場感」。
今回の記事では「臨場感とはいったい何なのか」「どうして臨場感が離職を防ぐのか」
を解説していきます。
社員の流出に悩んでいる企業は少なくないと思います。求職者である売り手が強い現在の就職市場では、人手不足に陥らないための課題として既存の社員に長く活躍してもらうことがとても重要です。
もちろん、そのことは多くの企業が分かっているはず。各企業で離職防止のために様々な努力を重ねているでしょう。しかしその努力も、正しい方向で行われなければ意味がありません。そこで今回は、正しい離職防止施策のポイントとなる「臨場感」について解説していきます。
まずは臨場感とは何かを、映画に例えて説明していきます。
映画館で映画を見ている時、そのストーリーに引き込まれ、泣いたりした経験を持つ方は多いと思います。しかし冷静に考えてみると、映画鑑賞とはスクリーンに投影された光をただ見ているだけの行為です。にもかかわらず、私たちは泣くことができるし、笑うことができます。
もちろん、同じ光の明滅でも、例えば電球の切れかけた街灯がチカチカしているのを見て泣く人はほとんどいません。同じ光の明滅なのに、なぜこのような違いが出るのでしょうか?
その理由は、映画にはストーリーがあるのに対し、街灯にはそれがないからです。ストーリーがあるとただの光の明滅が「意味」を持つようになり、その世界に没入できるようになることではじめて感情が揺さぶられるようになります。そして、その世界に没入して初めて得られる感覚こそが、臨場感と呼ばれるものなのです。
ただ、いかに映画の世界に没入し、臨場感を抱いていたとしても、ふとしたきっかけで他のことに意識が向くこともあると思います。例えば体のどこかがかゆかったり、くしゃみをしたくなったり、お手洗いに行きたくなったりなどですね。
こういったものに一度でも意識がむくと、さっきまで感じていた臨場感は消え失せてしまうでしょう。その理由は、臨場感を抱くには自分の意識のすべてを没入させることが必要だからです。映画に没入し臨場感を抱きつつ、かゆみを同時に意識するのは人間の体には不可能なのです。
ここで離職について話を戻しましょう。例えば急成長中のベンチャー企業の社員には、休日返上で朝から晩まで働き詰め、という方も少なくありません。一般的な考え方であれば「嫌にならないのかな……」と思ってしまいますが、実際に彼らにインタビューをしてみると、嫌になるどころか「仕事が楽しくて仕方がない」という答えばかりがかえってきます。
その理由は、社員が仕事に対して臨場感を抱いているからに他なりません。「この会社は社会に大きな貢献をしており、社会にとってもなくてはならないものとなっている。そして自分はそんな会社の一員として働いているのだ」というストーリーに没入し、臨場感を得ているのです。
臨場感を持っている時は、良くも悪くも他のものに意識が向かないので、とにかく仕事にのめり込むようになります。しかし、ふとしたきっかけで映画に対する臨場感が消え去るのと同じように、仕事に対する臨場感もひょんなことから消え去ることがあります。
例えばデスクワークをしていてふと時計を見ると、時刻はすでに夜中の12時。ふと「自分はこんな時間まで何をやっているのか」と考え込んでしまうと、それだけで臨場感が一気に消え失せる可能性があります。今まで目の前の仕事しか見えていなかったのに、急に自分を俯瞰で見られるような感覚です。ある種の「しらけ」ですね。
そして、臨場感を失った社員はどんどん離職していきます。一度失った臨場感を以前の水準にまで復活させることはとても難しいからです。しかし、逆に考えれば、仕事や会社への臨場感を消さずに維持していくことができれば、仕事に対するモチベーションも失わずに仕事を続けさせることができるということ。社員の離職を防止するために臨場感が必要なのは、臨場感が消える「しらけ」のタイミングを作らせないためです。今回の記事を参考にして、「社員が仕事に臨場感を抱き続ける」ことが可能な会社を目指してください。
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どのように対処していけばいいのでしょうか?
今回は人事制度改革を行うにあたり、
意識しておくべきことをご紹介いたします。
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「評価の時期だけ自分の評価を気にする」――果たして、それで良いのでしょうか?
キャリアステップの策定は、人材育成と離職率の低下に欠かせない施策です。
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