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人事マネージャーに必要な “意思決定”のための3つのプロセス

人事マネージャーには、最低限持っているべきコンピテンシー、スキル、知識があります。人事評価や人材育成、人事異動など、さまざまな課題を解決するための“意志決定”は、その重要なひとつ。意志決定のプロセスでは、「情報収集」「問題分析」「解決案の提示」の3つのコンピテンシーが必要になります。

(1)情報収集(まんべんなく情報を収集する、偏らない)

人事の仕事は、人事評価、人材育成、人事異動など、すべて“人”に関わるものです。社内の人々をどのように評価するのか、どのように育成するのか、どのように異動させるのか。人事マネージャーとしてこれらの意思決定を行なっていくためには、まずは人の「情報収集」が必要になります

多くの情報ソースから情報を集め、関係する人の話をできるだけ多く聞く。そして、それだけではなく、客観的に事実をとらえることが重要です。だからこそ人事マネージャーは、社内外に広く多くの十分な情報源を持っていることが求められます。

例えば、セクハラやパワハラが起こったときは、多くの情報を集めることが必要になります。ハラスメントは、被害者・加害者の双方の人生に大きな影響を与えるセンシティブな問題です。しかし、よくよく調べてみると「単に上司が嫌いだった」「褒め言葉のつもりだった」といった理由で問題化するケースも少なくありません。

人事マネージャーは、部下を使って被害者、加害者、その周囲の社員たちから多くの情報を集め、客観的な事実を確認しなくてなりません。大事なポイントは、集めた情報を「鵜呑みにしない」で真偽を確かめること。

たとえ被害者本人から訴えがあったとしても、「そういうことがあるかもしれない」と “仮説”として受け止め、慎重に事実を確認しなければ、誤った判定・誤った処分をしてしまうかもしれません。

あるいは、不正を起こした社員の経歴を調べると、学歴や職歴を詐称しているケースが多く見られます。履歴書の記載も、セクハラやパワハラの訴えも、1つの情報だけを鵜呑みにするのは危険です。間に受けず、偏らず、できだけ多くの情報を集め、精査していく。それが人事マネージャーの極めて重要な役割です。

(2)問題分析(ロジカルシンキングで因果関係を明らかに)

情報収集をしたら、自分自身の感情や主観に左右されずに情報を整理し、合理的で矛盾のない結論に導くよう論理的に「問題分析」をしていきます。

ここでの大事なポイントは、決して軽率な判断をしないこと。「あそこの部署はいつも人が辞めるよね」「原因は上司が悪いからだよね」などと思いがちですが、会社で起こる問題は、そんなに単純ではありません。

上司が悪いのか、その上が悪いのか、そもそも会社の風土が悪いのか。実際に調査してみると、実は問題を起こした本人だけが悪いわけではなかったというケースも数多く見られます。

物事の全体像を見たうえで打ち手を考えないと、致命的なミスを犯します。過不足なく情報を集めて整理し、必要に応じて適切な分析ツールを用いながら、問題の本質を見抜くことが大切です。

分析においては、論理的思考(ロジカルシンキング)を活用するといいでしょう。因果関係を明らかにすることや抜け漏れがない視野・視点を確保するために、プロセス図やロジックツリーなどの各種のロジカルシンキング・フレームがあります。それらを活用して、情報を整理し、問題の本質を見極めていくのです。

(3)解決案の提示→複数案が必要

情報収集をして、問題分析をしたら、「解決案の提示」をします。問題の解決案は、多数の情報を基によく練られた複数の選択肢を示さなければなりません。

ここで大事なポイントは、選択肢が多くの情報と抜け漏れがない分析により検討され、メリットとデメリットが整理されていること。そして、選択肢の中で最善な選択を提言することです。専門的な部分については、専門家からのヒアリングをするなど、論拠が明確であることが特に重要となります。

ハラスメントなどの判定が難しい問題に関しては、信頼できるプロに相談をする。それが最も早くて確実で安全な方法です。弁護士、社会保険労務士、産業医、コンサルタント、他社の人事マネージャーなどとネットワークをつくり、何かあったらすぐに聞ける関係を築いておきましょう。

そのうえで経営者や役員、部門長などの決断者に、ベターな案を理由とともに説明をします。その提言に説得力があれば、決断の際に大いに参考にされます。人事マネージャーが自身で決断する場合においても、このような意思決定のプロセスを経ることによって、より良い判断を下すことができるようになります。

一例を挙げると、精神疾患で休職している人がいる場合、休職期間が満了になったら、多くの会社では就業規則で休職満了をもって自主退職となることを定めています。しかし、精神疾患の原因が長時間労働だったら、「労働災害」と認定されるリスクとなり、会社が訴えられるかもしれません。

このような事態を避けるためにも、原因を調査し、慎重に対応する必要があります。退職とするのか、休職期間の延長を認めるのか、そのうえで復職時の異動を働きかけるのか、解決案にベターはあっても、ベストはありません。決断のミスが起こりやすいのは、選択肢が少ないとき、直感や感覚に頼りすぎているときです。

適切な状況判断を行い、どんな問題も常にリスクを想定したうえで複数の解決案を提示し、最善の選択を提案しましょう。「解決案の提示」を行う際には、以下の行動リストを参考にしてみてください。

【OKな行動】
□ 複数の選択肢を提示し、各々のメリット・デメリット、予想される結果も示す
□ 選択肢の中で、最善な選択を提言する
□ 多くの情報によって練られ、合理性と論理に基づいた選択肢を案出する

【NGな行動】
□ 複数の選択肢を案出しない。リスクを含めた結果の予想がされていない
□ どの選択肢を取るべきか、類推されていない
□ 材料不足の解決案になっている。論理的でない。直感や感覚に頼りすぎている

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