2024.09.04
中高年のリストラが止まりません。東京商工リサーチ によると、2021年の上場企業における早期・希望退職の募集人数は約1万6000人。前年の2020年は約1万9000人でした。2年連続で1万5000人を超えたのは、ITバブル崩壊後の2001〜2003年以来だといいます。リストラを実施している企業は、赤字とは限らず、好業績でも早期・希望退職を募っているため、「明日は我が身」と不安になっている方も多いでしょう。では、会社での自分のポジションが、どうであったらヤバイ、どうであったらセーフなのでしょうか。今回は、その目安について、お伝えしたいと思います。
中高年のリストラが止まりません。東京商工リサーチによると、2021年の上場企業における早期・希望退職の募集人数は約1万6000人。前年の2020年は約1万9000人でした。2年連続で1万5000人を超えたのは、ITバブル崩壊後の2001〜2003年以来だといいます。
リストラを実施している企業は、赤字とは限らず、好業績でも早期・希望退職を募っているため、「明日は我が身」と不安になっている方も多いでしょう。
では、会社での自分のポジションが、どうであったらヤバイ、どうであったらセーフなのでしょうか。今回は、その目安について、お伝えしたいと思います。
まずひとつは、職位についているかどうか。50代だったら、部長になっていないとヤバイです。
課長であっても、組織の長であるなら、セーフです。
ちゃんと直接の部下がいて、評価する相手がいる。組織責任を負っている。人事では「職位」と呼んでいますが、要はポストに就いているかどうか。そういう責任のあるポジションに就いているのなら、リストラの可能性は低いです。仕事は大変だと思いますが、評価をされているということですから。
では、担当部長、副部長、部長代理といった役職はどうかというと、実はもっともヤバイです。
なぜなら、お給料は高いのに、組織の責任を負っていないからです、
組織の長ではない担当部長、副部長、部長代理といった役職は、はっきり言ってしまうと何の意味もありません。「お給料が高い人に、それなりに名誉のある呼び方を与えてあげましょう」と気をつかっているだけの役職ですから、いざとなったら、いちばん先にクビを切られてしまいます。
お給料が高くて責任のない役職者は、組織の上が重くなっている象徴です。どうにかしないとまずいため、多くの企業が頭を抱えています。だから早期・希望退職を募集する企業が増えているのです。該当する人は、くれぐれも注意しなくてはいけません。
ただし、部長がいない組織の部長代理であったり、課長と副部長を兼任しているような場合は、リストラの可能性は低いでしょう。それは部や課といった組織責任を追っているからです。
また、職位に就いていなくても、プロジェクトのリーダーを任されているなら、セーフです。ある特定分野のプロジェクトは組織横断的にやることもあるので、職位には就いていない場合があります。それでもプロジェクト責任を負っているので、リストラされる可能性は低いでしょう。
つまり、ひとつの大きな目安としては、責任を負っているかどうか。組織やチーム、プロジェクトなど、何らかの責任を負っている人材は、企業は簡単にリストラすることはできないのです。
細かいポイントとしては、重要な会議に招集されないのもアウトです。職位についていれば、重要な会議には呼ばれるものですよね。会議に呼ばれるかどうか、これもひとつの目安になります。
上司との会話がほぼない。部下との会話がほぼない。部下がいない場合は、後輩との会話もほぼない。これもヤバイです。「〇〇はどうしたらいいでしょうか」「こうしたらいいんじゃない?」といった周囲との仕事に関する会話がないとしたら、組織において必要とされてないということですから。
また、相談事が来ないのも危ないです。仕事をしていれば「ちょっといいですか」と1日に1件くらいは、何かしらの相談をされるものです。部下や後輩、同僚から「ちょっといいですか」と相談されることが滅多にないとしたら、気をつけなくてはいけません。
連絡事項が全部メールという場合も、注意が必要です。リアルであってもオンラインであっても、重要な話し合いは、口頭で行われるのが一般的です。仕事に関する連絡がすべてメールで済まされてしまうのは、組織の中での存在価値が低くなっている証拠でしょう。用心しなくてはいけません。
近年、非常に重要になっているポイントとしては、テレワークがちゃんとできること。テレワークというのは、「成果にコミットすれば、そのやり方は任せるよ」ということで成り立つものです
1年、半年、4半期などの目標に対して、成果を出せるのであれば、仕事の進め方は問わない。自宅にいようが、サテライトオフィスにいようが、自分でマネジメントできるよね、と。
NTTグループが、社員の勤務を原則、自宅でのテレワークとし、居住地の制限もなくす新たな制度を導入しました。コロナ禍が収束しても、テレワークは今後さらに一般化していくでしょう。
テレワークでは、上司によるマネジメントが徹底できなくなります。これからの時代は、セルフマネジメントできる人材が強く求められるようになります。
セルフマネジメントとは、「ミッションを決め、目標を立て、実行する」という働き方です。自らミッションを示し、目標設定を行い、上司に認めてもらい、その目標を達成し、成果を出せる。これからの世の中で高い評価を得ていくのは、このような人材です。
セルフマネジメントができて、テレワークでちゃんと成果が出せるのであれば、まだまだ大丈夫です。
会社や組織、チームのビジョンを実現するために、自身で目標を設定し、成果が出せる。その成果が明確で、会社の役に立ち、世の中にも貢献している。そういう人なら、セーフでしょう。
一方、「テレワークになってヒマだなぁ。映画でも観に行こうかなぁ」みたいな人は危ないです。テレワークで誰とも会話しなくても、それなりに仕事が回っている。「このままイケるんじゃないかな」と安心している。そういう人は、罠が仕掛けられていると思ったほうがいいでしょう。
会社もそれはわかっています。「この人、成果出してないよね」「テレワークで何をやっているんだろう」「あの人、何の仕事をしているのか、よくわからないよね」、このように思われてしまったら、相当ヤバイです。会社はそんなに甘いものではありません。
まとめると、責任を負う、成果を出す、組織としての責任を追わないのなら個人としての成果を出す。この3点が、リストラされるかどうかの大きな指標となります。
組織としての責任を負っているのなら、その役割を全うする。職位に就いていないのなら、自分に望まれていることは何だろうと改めて考え、成果を出す。残された人生、今をより良くしていくことに対して全力でやっていかないと、会社の中で生き残っていくことはできません。
世の中も激しく変化しています。日本は、生産性も競争力も先進国で最低レベルになっています。急激な物価上昇が続いているのに、この30年間、平均給与も上がっておらず、アメリカの半分程度。世界主要33か国で、日本だけは賃金が下落しているのです。世界の国々が着実に成長している中、日本は完全に取り残されてしまっています。
こうなってしまった責任は、私たちの世代にあるのだと思います。政府が、大企業が、とか言っていないで、目の前のことでいいから、今より良くしていこうと立ち上がり、周りも巻き込んでいかないと、日本はますますダメになってしまいます。
職位に就いていても、いなくても、責任ある世代として一念発起して頑張らなくてはいけないのではないのでしょうか。それこそが、あなた自身が生き抜くリストラ戦略にもなるはずです。
次回につづく
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
「年下上司と、どのように付き合ったらいいのでしょうか?」50代の方々から、このようなご相談をよくいただきます。かつての部下や後輩が出世して自分の上司になってしまう。たしかに悩ましい問題ですよね。そこで今回は「年下上司との上手な付き合い方」について、お伝えしたいと思います。
会社はあなたを不要と判断したとき、どんな動きをするのか。前回は中高年のリストラ回避法についてお伝えしましたが、今回はこのテーマについてもう少し深掘りしてみましょう。 この人は給与に見合った働きをしていない、このまま会社にいてもらっては困る。会社がそう判断したときの最初の動きは、「解任」と「異動」です。
2021年は、黒字リストラが2020年の1.7倍に増えました。日本たばこ産業、KNT-CTホールディングス、LIXIL、オリンパス、アステラス製薬、藤田観光、博報堂などの上場企業を中心に希望退職・早期退職が実施され、1万人以上が退職に至っています。今後もさらに増えていくかもしれません。
コロナ禍前後からリストラの対象となっているのは、おもに45歳以上の中高年です。しかし40代、50代になったからといって、誰もがリストラされるわけではありません。歳を取っても会社で生き残れる人には、3つの特徴があります。 1つは、マネジメント力があること。マネジメント力には、「タスクマネジメント」と「ヒューマンマネジメント」の2つのスキルがあり、どちらも重要です。
新連載「人事の超プロが明かす、リストラ時代の生き残り戦略」 2021年4月1日、高年齢者雇用安定法が改正されました。これによって「70歳までの就業機会の確保」が企業の努力義務になりました。 少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境の整備を目的として、「高年齢者の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」の一部が改正され、令和3年4月1日から施行されています。
東京商工リサーチによると、2021年に希望退職を募った上場企業は80社以上。上場企業の希望・早期退職募集は2019年以降、3年連続で1万人を突破。2021年の募集者数は判明しているだけでも1万5000人を超えています。 コロナ禍によって経営が悪化した企業もありますが、大手企業の多くは黒字経営にもかかわらず希望退職・早期退職という名目の大規模なリストラに踏み切っています。なぜこれほどリストラ増えているのか。いま一度、その背景を理解しておきましょう。
40代・50代になって、「専門職を極めていくか」「社内マネジメントに積極的に関わるか」といった今後の選択について悩んでいる人は多いのではないでしょうか?この二者択一は、リストラに関わる非常に重要な問題です。人事もまさにそこを見ています。40〜50代で何らかの専門性を持っていても、同程度の専門性を持っている20〜30代の人材がいるなら、会社はそちらを選びます。
最近、日本の賃金が上がっていないことが話題になっています。日本の平均賃金は1990年代の半ばまで世界でもトップクラスでしたが、他国にどんどん抜かれ、現在はアメリカの半分程度。ドイツやフランスなどの欧米諸国はもちろん、韓国よりも低く、OECDの最下位グループになっています。