テレワークであっても成果を出すために、社員の働き方を監視する「監視ツール」を導入する企業が増えています。しかし、監視ツールを導入するよりも重要なのは、「適度なルール」と社員との「大人の関係」。
今回は、テレワークにおける人事管理の大事なことについてお話します。
テレワークの浸透に合わせて、社員の働き方を監視する「監視ツール」が登場しています。果たして、このようなツールやアプリは必要なのでしょうか。
答えから言ってしまうと、ずばり、そのような監視は「考えるだけ時間の無駄」です。テレワークにおける人事管理において大事なことは、もっと他にあります。
各社がテレワークを始めて早々に、社員をオンラインで監視するアプリが登場しました。しかし、そもそも何のためになぜ監視するのでしょうか。
人事管理上とても大切な概念に、X理論、Y理論という考え方があります。X理論は「人は仕事をすることが嫌いで、金のために働く」というもので、Y理論は「人が仕事をすることは自然なことで、ただ金のために働くわけではない」というものです。テレワークで監視をしようと考えるのは、このX理論に基づいて、「監視しなければサボるだろう」と考えているからではないでしょうか。
しかし、本当に会社のためになるのは社員がサボらないで働くことではなく、社員がそれぞれの職種で「成果を出すこと」です。そのために人事担当者は、会社が各社員に求めることを明確にし、達成できたかをはっきりと評価する必要があります。「監視」したところで、やらない人はやらないですし、「どうしたら全社員を監視できるか」などと考えるのは時間の無駄でしょう。
テレワークであっても成果を出すには、会社と社員の「大人の関係」が必要です。上司に「何か仕事ありませんか」と常に聞くようではテレワークで仕事を任せることは難しい。そうではなく、上司から今週何をやるか「ミッションと目標」を伝え、部下が自分から成果を報告するような「大人の関係」が成り立って始めてテレワークが機能するようになるのです。
では、どのようにしたらそのような関係を築くことができるでしょうか。ポイントは「目標設定会議」と「評価会議」です。
目標設定会議とは半期に1度、それぞれの部署の管理職が次の半期の目標を共有し、その内容をブラッシュアップしていく会議です。この会議を行うことで、全社内のミッションの整合の確認やレベル感の統一ができ、各部署の管理職が明確な目標意識を持つことができます。それによって、「ミッションと目標」を部下に明確に伝えることが可能になるのです。
評価会議は期末に評価者が集まり、各評価者の部下の評価結果を擦り合わせ、その妥当性を議論する会議です。これも目標設定会議と同じで、評価者間の目線の統一とともに、今後の部下に対する人材育成の意識が高まります。管理職が評価者として成長すれば、良いフィードバックにつながり、評価結果を明確に伝えることができます。
「目標設定会議」と「評価会議」を行うことで、会社側が求めていることと、挙げた成果がどのように評価されたかを社員に伝えることができるようになるというわけです。「ミッションと目標」を与えるだけで、働き方をセルフマネジメントできるようになれば、テレワークでも成果を出すことができます。
それが出来ない人をテレワークで就業させることは、そもそも厳しいでしょう。
「テレワークの監視をすることは考えるだけ時間の無駄」とお伝えしましたが、テレワークを上手く進めるためにあった方がいいルールはあります。
例えば、「ビデオ会議ではビデオ機能は必ずオンにしておく」。顔が見えれば、いつでも声がけしやすいですし、寂しくないですよね。最近は、テレワーク鬱などの問題もあるので社員の精神衛生も気にかける必要があります。何の目的で顔を出す必要があるのか説明をした上で、顔出しをルールとしてもいいのではないでしょうか。
また、テレワークであっても声掛けにすぐ反応できる状態を維持することはチームワークを保つうえで大事です。就業時間中にチャットを送ってもすぐに返事が来ないのならば、テレワークはさせられないという判断になってしまいます。かといって、仕事の合間に育児や介護ができることはテレワークの大きなメリットです。「何時に戻ります」といった報告をするルールがあれば、そのメリットを潰すことなく働くことができます。
「適度なルール」と社員との「大人の関係」があれば、テレワークに監視なんて必要ありません。テレワークならではのメリットを活かした働き方を一度、考えてみてはいかがでしょうか。
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今回は、リモートワークの緊急普及から約8ヶ月がたった今、日本の職場はどうなっているのか?今後、どのように変わっていくべきかを議論したいと思います。