2018.10.11
創業したてのベンチャーから成長後期、大企業クラスの規模に至るまで、
会社には様々な変化があります。そしてそれは、人事部も同じ。
今回は各ステージごとの人事部の立ち位置の違いと、
人事が陥りがちなことをお伝えします。
人事部というのはいわゆる管理部門に分類され、会社の利益に直結するような仕事をする部署ではありません。そのため、営業や開発といった自分たちの頑張りが会社の業績に直結する部門と比べると、その立ち位置は曖昧になりがちです。特に今まさに急成長を遂げている会社だとこの傾向は顕著になります。
今回は、一般的な会社の成長ステージごとの人事部の立ち位置と、成長後期以降のステージにある会社の人事が陥りがちなことを解説いたします。ぜひご自身の会社がどこにいるのかを照らし合わせながら確認してみてください。
まずは、創業したてで今まさに急成長を遂げている会社における人事部の立ち位置を見ていきます。
この時期の特徴はなんと言ってもスピード感にあります。どんどん売上げを伸ばして事業を拡大させ、会社規模の拡大を目指す。社員数もまだ数名~数十名のところが多く、お互いの意思疎通が比較的容易なため、人材管理という面でもそこまで苦労しません。会社にとって大切なのは、とにかく売り上げ。数字に直結する部門は重宝され、仕事のできる人間はここに集約されるようになります。
一方の人事部をはじめとする管理部門はというと、花形とは程遠い位置に置かれ、配属される社員もあまり仕事が出来るとは言えない人たちが多い印象です。経営陣が人事の大切さを分かっているのなら別ですが、そうでない場合には「人事なんて外注でも良いんじゃ」とまで言われることもあります。
創業期を疾風怒濤のごとく駆け抜けた後は、成長後期や安定期と呼ばれるステージに入ってきます。ある程度会社の規模も拡大し、社員数が100人を超えるところも出てくるでしょう。そうなってくると問題なのが、意思疎通の難しさです。創業期はもともと社長や会社の理念・ポリシーに共感した人が集まってくるので、「みんなが一つの方向を向いてひた走る」ということが簡単でした。でも社員数が増えてくるといろんな人材が集まってくるので、全社員の意思を一つの方向に向けるのが難しくなってきます。
こんな状態にもかかわらず、人事部が全体観を持たないまま仕事をしていると会社が回りません。ようやく人事の必要性は見直され、人事部にこそ優秀な人材を投入すべきだという話が出てきます。ただ残念なことに、今まで人事をないがしろにしてきたわけですからノウハウなどあるはずもありません。そこで多くの会社が社外の人事コンサルタントや人事マネージャーに依頼をするわけですが、たいていはうまくいかず、試行錯誤を繰り返すことになります。
会社の業績が右肩上がりに増えていくと、大企業クラスの会社規模になってきます。社員数は1000人を超えるようになり、それを束ねるための人事部も権限が強くなっていきます。人事部が隅に追いやられていたのは遠い過去。今や仕事のできる人間こそが、人事部に配属されるようになるのです。
このように、創業したてはあまり重要視されなかった人事部ですが、会社が成長を重ねるに従い優秀な人材が配属されるようになり、権限も強化されていきます。今ではあまり見かけませんが、支店長の人事権は実質人事部が握っている、という会社もかつてはありました。
実際優秀な人材が人事部に配属されるようになると、現場の問題を制度で解決する、社員の評価を適正に取りまとめる、給与制度を確立させるなど、活躍はします。ただ、これが高じると次第に「自分は社内を知り尽くしている」「自分は選ばれた人間だ」などというエリート意識を持った人事担当者もまた出現し始めます。
エリート意識を持った人事担当者はかなり厄介です。現場からの提案や要望は基本的に受け付けません。しかも人事の仕事の内容を必要以上に隠したがるので、周囲の社員からは不信感を持たれます。次第に現場から煙たがられるようになり、しまいには嫌われてしまいます。
人事に限らずどんな仕事でもそうですが、「会社の隅々まで知り尽くしている」などと思い上がってはいけません。成長後期や大企業クラスにまで成長した会社で人事を任されているということは、きっと優秀な人材なのでしょう。でも、人事というのは人を相手にする仕事です。すべてが分かるなんてことはあり得ません。自分はまだ何もわかっていないという意識、分からないことがあるということをわかろうとする気持ちを忘れないようにしてください。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
バブル崩壊後、企業は採用を抑制し、ジョブ型雇用に切り替えようと試みました。
しかしその試みが上手くいった企業は少ないのが現状です。
ジョブ型雇用が注目を集める昨今、
会社は過去の教訓を活かしどのように動くべきなのでしょうか?
いま再び注目を集めている「ジョブ型雇用」や「成果主義」は決して新しい考え方ではありませんが、これからの働き方を考える中では重要な要素です。 その実現のためにはジョブディスクリプション(職務記述書)が必要とされています。しかし、ジョブディスクリプションの策定や運用には、様々な課題も想定されます。 「働き方」「雇用のあり方」「管理のあり方」「評価のあり方」「給与・処遇のあり方」といった「考え方」そのものをどこまで変えるのか、といったことをよく考える必要があります。 今回は代表西尾から、これからの時代の働き方や評価についてお伝えしていきます。
人事部門が優れている企業ほど、業績がいいことをご存知でしょうか。人事担当者の優劣は、実は企業の業績や成長力に大きく影響しています。では、優れた人事担当者を育てるには、どのような教育が必要なのでしょうか? そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、人事向けの研修に必要なカリキュラムを解説します。
注目されている「ジョブ型雇用」は、
すべての会社にとって有効というわけではありません。
会社が人材についてどのような問題を抱えているかによって、
毒にも薬にもなり得るのです。
今回はジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用について、
そしてそのメリット・デメリットについて解説いたします。
働き方には4つのパターンがあります。
4つのパターンの中でどれを選ぶのかはあなた次第。
自分の理想の生き方と照らし合わせて、働き方も決めていきましょう。
採用活動というと面接を思い浮かべる方が多いと思いますが、
実は面接で得られる情報はそんなに多くないことが分かってきました。
これからは、客観的な評価ができる「適性検査」が採用活動の主役です。
このたび、代表西尾の共著
「人事担当者が知っておきたい、10の基礎知識。8つの心構え。」(赤本)
が増刷となりました。
脱・年功序列の実現で最後に必要になってくるのは、人事担当者の「想い」です。社会や顧客への想い、株主への想い、取引先への想い、そして共に働く人への想いがなければ、様々な抵抗に屈して改革は頓挫します。制度を変えて運用に成功している企業とそうではない企業の違いは、その原動力となる人事担当者の想いの強さにあります。総合人事コンサルティングのフォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP )の著者・西尾太が、人事担当者に必要な3つのマインドセットについて解説します。