2020.05.29
人事制度を考える上でまず「絶対評価」と「相対評価」の違いを
知っておく必要があるでしょう。
それぞれのメリット・デメリットをお伝えし、
今の人事評価制度を作るうえで重要なポイントをお伝えいたします。
社員が成長するためには人事評価制度が必要不可欠です。どのような人事評価制度を構築するかを考えるために、まずは「絶対評価」と「相対評価」の違いやメリット・デメリットを理解しましょう。人事評価制度では一体どちらを採用した方が良いのでしょうか?
そもそも、絶対評価と相対評価とは何でしょうか?メリット・デメリットも併せてご紹介します。
絶対評価とは・・・
個人が持つ能力やスキルについて明確に定められた評価基準と照らし合わせて一人ひとりを評価する制度のことです。あらかじめ評価基準を定めておく必要がありますが、評価者の裁量が入らず、能力やスキルによって個人を評価することができます。
絶対評価のメリット・・・
その人自身の人柄や評価者との関係などに左右されることがないため、公平に評価することができます。評価の理由が明らかなので、社員からの不満もあがりにくいですし、逆に社員からその評価が不当であると明確に理由を述べられるのであれば、評価者側に訴えやすくもなるでしょう。また、今の課題や問題点を把握することができるので、改善点もわかりやすくなります。
絶対評価のデメリット・・・
明確な評価基準を作らないと運用できないという点は、デメリットとしてあげられるかもしれません。たとえば基準とは言っているものの評価者の裁量に任されるような曖昧さがあるなど、評価基準自体に問題がある場合も運用が難しいでしょう。
相対評価とは・・・
同じ組織、グループ内のメンバーと比較して評価する制度のことです。評価のランクごとに枠が決まっており、評価者はそのグループのメンバーを比べ、どの枠に入るかを決めます。
相対評価のメリット・・・
人と人を比べてどちらが優れていたかを判断するだけで良いので、絶対評価と比べると評価者の負担が少ない傾向にあります。また、相対評価の組織、グループでは自然と競争が生まれやすくなります。より良い評価を得よう、より良い成績をとろうと努力するようになるのです。
相対評価のデメリット・・・
相対評価の大きなデメリットとしては、評価者の私情が入り込む余地があるという点が挙げられます。主観によって評価が左右されてしまうため、合理性を欠いた評価になってしまうことがあるのです。
実は、日本の多くの企業では、「人」を評価する際には、どうしても相対評価になりやすいと言われています。
たとえば、全く成果を上げていないのに、「〇〇は頑張っているから」と評価が高い社員がいることがあります。これは、上司(評価者)の私情が入っている可能性が高いです。
上司に好かれるような人ばかりが昇進してしまい、実際にスキルを持っていたり能力が高かったりする人間が正当に評価されないという事態にもなりかねません。さらに、その状態が放置されれば社員のモチベーションの低下につながってしまいます。
相対評価が絶対悪というわけではありませんが、評価基準の明確さと公平性を考えると絶対評価を採用した方が良いでしょう。
絶対評価の方法には一般的に「評点制」と「評語制」があります。社員の評価を段階で表すときは、「評点制」ではなく「評語制」をお勧めします。
評語制とは、文字通り評価を言葉で表す制度です。評点制の場合、たとえば5段階であれば、1~5の数値で表されます。一方評語制は、「SS/S/A/B/C」など、文字で評価を表します。
評語制のメリットは、その評価の文字に意味をもたせることができる点です。たとえば「SS/S/A/B/C」という段階を設けるのであれば、SS「超すげえ!」S「すげえ!」A「ありがとう」B「挽回しよう」C「かなり挽回しよう」といった具合です。
このとき大切なのは、ネガティブな言葉は使わないこと。特にBやC評価の社員に対し、「もっと頑張れよ」や「君は仕事ができない」などとネガティブな言葉を使うことは厳禁です。逆にポジティブな言葉をかければ、お互いの信頼関係を築けるだけでなく、「頑張って自分の評価をあげよう」という前向きな気持ちになりやすくなります。その結果、社員が自分で目標を立てて成長するなど、積極的に行動するようになるのです。
評点制には、評価対象が人間であるにも関わらず、機械的な処理をされているように感じる人もいます。ですが、評語制のように「言葉で伝える」ことを意識すれば、コミュニケーションが生まれ、認識のズレも起こりにくくなるはずです。
このように評価制度に一工夫加えることよって、社員の仕事に対するモチベーションを上げることができます。これから評価制度を作成する場合、ぜひ参考にしてみてください。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
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その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
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プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
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「頑張っていること」を評価したい、
という気持ちを持つのは悪いことではありません。
しかし、その気持ちを本当に評価に反映してしまうと、
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テレワークが主体となっている企業において、新入社員研修の新たな方法が求められています。会社の事業理解やマナー研修、ビジネス基礎知識に関する研修などについて、リモート時代に求められる人事のの取り組みはどのようなものなのでしょうか。そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、テレワークにおける人材育成の方法について提言します。
「しらけ」を感じた社員は、
仕事へのモチベーションやパフォーマンスを大きく低下させます。
最悪の場合、そのまま退職につながることも……。
今回の記事では、社員に「しらけ」を感じさせないために必要なことをお伝えします。
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人事制度の改革には反対意見がつきもの。
私たち人事はその反対意見に対して
どのように対処していけばいいのでしょうか?
今回は人事制度改革を行うにあたり、
意識しておくべきことをご紹介いたします。
創業したてのベンチャーから成長後期、大企業クラスの規模に至るまで、
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今回は各ステージごとの人事部の立ち位置の違いと、
人事が陥りがちなことをお伝えします。
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しかし人事制度とは本来、資金の有無にかかわらず策定されるべきものです。
まずは会社にとって人事制度がどのような存在なのかを理解してください。
リストラが増えています。コロナ禍の影響だけでなく、実はそれ以前から70歳までの雇用延長努力義務などを見据えて「黒字リストラ」と言われる施策をとる企業が増えていました。終身雇用や年功序列も終わりを迎えようとしています。40歳を過ぎたら希望退職を勧められてしまうかもしれません。今、求められているのは、いざという時に他にも行ける力です。今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、「どこでも通用する力」を育む、評価基準のつくり方を解説します。