2019.12.06
給与の額は評価によって決まります。
そのため、評価は給与を額を決めるための手段に過ぎない、
と考える人も少なくありません。
そのような考え方は、正当な評価につながらないことがあるので注意です。

評価は給与額を決めるための手段である。そう思っていませんか?
確かに、給与の額というのは社員の誰にとっても大事なことです。その大事なことを決定するために、そして自分が少しでも多くの給与をもらえるように、自分の評価についてしっかり考えて良い評価をもらおうと努力するのは間違っていることではありません。
実際、そのような考え方のもと評価を進めている企業は少なくないと思われます。しかししっかりとした人事ポリシーに基づかない、給与額を決めるために漫然と行う評価は、正当な評価にはつながらないことが多くあります。
たとえば、あなたの会社に長く働く営業職の中堅社員Aさんがいたとします。彼は人柄が良く、飲み会などの付き合いもいいので、多くの他の社員から好かれる存在です。ただ、だからといって有能な営業マンだったかといえばそうではなく、いつも目標をギリギリ達成できるかどうか、といったところでした。
ある年、彼はついに評価の時期までに目標に到達することができませんでした。このままだと評価が下がり給与が減ってしまいます。その年の評価会議にて、Aさんの上司はこう言いました。「Aは頑張ってるので、評価を下げないでもらえませんか?」
Aさんの上司は、彼の給与を下げたくなくてこう言ったであろうことは明白です。おそらくAさんの上司の思いを理解できる方は、少なくないでしょう。
ただ、「給与を下げたくないから、評価を下げないでほしい」――こう改めて言葉にすると、違和感に気づかないでしょうか。
企業では、一人ひとりが出したパフォーマンスに対して評価をつけます。その評価の結果、算出されたものが「給与」です。
そう、つまり「給与を下げたくないから、評価を下げない」という考え方は、本末転倒であると言えます。
いささか極端な例を出しましたが、評価会議で「○○は頑張っているので、今回は運が悪かったので目標は達成していませんでしたが、A評価にしました」と評価者が言った事例は、それほど少なくはありません。「その頑張りを無駄にしたくない」という思いからでしょうが、はっきりと申し上げて、活かし方が異なるのではないかと感じます。
その思いの活かし方には別の方法があります。この方法こそが、「評価は何のために行うか」の答えになるはずです。
まず、目標に到達できなかった社員に対しては、適切な評価をつけなければなりません。「頑張っているから」などの理由で評価を変えることは、評価制度そのもののブレ、さらに他の社員に知られることになれば、評価制度に対する不信感につながります。
その上で、評価後にはしっかりとフォローしましょう。まずはなぜ評価が下がったのかを明確にしましょう。ただ、正しい評価制度は、評価の仕組みがわかりやすくなっていますので、評価者や上司から説明がある前に理解していることがほとんどです。
そして最も大切なことは、次の評価までにどのようにパフォーマンスを上げていくか考えること。つまり、いかに成長して挽回するかを綿密に計画し実行することです。
そう、評価は給与額を決めるためでなく、社員の成長を促すために行うものであると言えます。評価が下がってしまった社員は、絶好の育成のチャンスです。企業全体で挽回のためのプラン、たとえば研修などを行うのも良いでしょう。
社員一人ひとりの成長は、企業全体の成長につながります。当然のことではありますが、評価の後、次の評価までに成長してもらうために、全社をあげ育成に取り組んでいるという企業はそれほど多くありません。育成の仕組みを人事ポリシーに則り作り上げることはできるのは、人事担当者だけです。ぜひ一度、企業が成長するための育成の仕組み作りを視野に入れてみてください。

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「頑張っていること」を評価したい、
という気持ちを持つのは悪いことではありません。
しかし、その気持ちを本当に評価に反映してしまうと、
社員の不満の元になってしまいます。
人事は受け身姿勢になりがちです。
しかしこれからの時代、受け身人事のままだと
仕事がなくなってしまう可能性があります。
ぜひ今回の記事で、「人事としての姿勢」を見直してみてください。
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