2019.01.25
人事は時代や景気の波に左右されやすく、
時々によってあったりなかったりを繰り返してきました。
そのため経営層の中には人事の仕事に対して
良くない印象を抱いている人も少なくありません。
人事が経営層から信用されるためには何が必要なのでしょうか?
会社の成長ステージや時代の流行、景気などによって、人事という部署はあったりなかったりを繰り返してきました。そのため、こういった歴史を見てきた経営層の中には、人事に対して「どうせ少し経ったらまたなくなるんだろう」という認識を持っている方もいます。
このような認識を持たれていると、私たちが人事制度や労働環境の改善案を提案しても、「すぐにやめられて中途半端な形で変更されるよりは、現状維持の方がマシだ」と取り合ってもらえなくなり、人事としての仕事がままならない状況が生まれてしまいます。今回は人事にマイナスのイメージを持っている経営層に信用してもらうために、意識しておくべきことをご紹介します。
人事は会社にとって一番重要な「利益」を生み出す立場ではないため、最も成果として分かりやすい「数字を見せる」という方法をとることができません。それではいったいどうすれば、経営層から信頼してもらえるようになるのでしょうか?
その答えは、「しがらみのない第三者の立ち位置から、現場を支援し続ける」ことです。利益を生み出す現場で働く社員たちが、いかにモチベーション高く、いかに円滑に業務に取り組めるか。この業務を通して会社としての生産性を上げられれば、「人事というのは会社にとってなくてはならない存在だ」と信頼してもらえるようになるのです。
ただ、現場ばかりに寄り添う、というのは得策ではありません。極端な話、現場からの「給料を上げてくれ」という声に応え、全員の給与が上がるような人事制度改革案を作成したら、経営層からは「人事は自分たちが現場に嫌われないような提案をしてくるばかりで、会社のことを何も分かっていない」という評価がくだされてしまいます。
もちろん、だからと言って経営層の意見ばかり聞くのも考え物です。経営層の「人件費を抑えてくれ」という要望だけを反映させた人事制度改革案を作成したら、社員からは「現場のことが何も分かっていない、会社の手下だ」と思われ、反発を招く可能性があります。現場からの反発が多い人事は、ハッキリ言うとほとんど意味がありません。結局、経営層からの信頼も得られない、たとえ得られたとしてもちょっとしたきっかけで地に落ちてしまうでしょう。
多くの会社において、人事部は社長の直轄部門として扱われています。しかし、社長の直轄とは言っても、「御用聞き」ではありません。会社の組織図で人事が社長の直下に位置しているのは、あくまでも「どこかの事業部に所属することなく全体を俯瞰する必要があるから」。決して、社長の意思を一番に聞いて、それを社員に周知するために社長の直下にあるのではありません(総務部の中に人事課がある場合もありますが、その場合も全体を俯瞰するという基本的な役割自体に変わりはありません)。
このことを意識しながら、経営層のためでもなく、社員のためでもなく、「会社にとって」何が必要かという視点を持ち続けるようにしてください。「会社」という視点に立って直接利益を生み出す「現場」を支援していくことができれば、結果的に会社の成長につながり、役員からの信頼も得られるようになるはずです。

ただ、現場を支援する、ということは非常に難しい問題です。現場が今どんな課題を抱えていて、どういう支援策が有効なのかは当然会社ごとに異なるのでここでは言及できません。その代わり、人事が現場を支援する上で大切にするべき心構えをお伝えします。それは、「とことん自分事として現場を理解する」ということです。
人事の担当者の中には、「ずっと総務の仕事をしており、現場で働いたことがない」という方も多くいると思います。しかし、本当に現場に必要な支援というのは同じ現場の目線を手に入れないと見えてきません。そうでないと人事の仕事は、まったく見当はずれなものになるか、押しつけがましい上から目線のものになってしまいます。実際に業務はしなくても、現場でどのような作業が行われていて、そこにはどんな課題があるのか、ということは把握しておくようにしましょう。
ただし忘れてはいけないのが、「第三者の視点」から支援しなければいけない、ということです。現場をしっかりと理解して同じ目線に立ちながらも、第三者の立場を忘れない。これは正直、かなり難しい仕事になります。それでも、このスタンスこそが人事の仕事の基本であり、人事にしか出せない価値です。こういった価値を磨いていければ、たとえ最初は人事に対して良いイメージを経営層が持っていなかったとしても、次第に信用されるようになるはずです。

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