2020.10.16
転職市場が活性化している昨今、「出戻り制度」を設ける会社が増えています。
しかし、人事担当者は安易にこうした制度に飛びついてはいけません。メリットとデメリットを理解して判断することが重要です。
転職市場が活性化している昨今、一度退職した人が「前の会社で働いていた時の方が良かったかも……」と感じて出戻りを希望するケースをよく耳にします。
そういった退職者の再雇用を推進する目的で、「出戻り制度」を設ける会社が増えています。
人事担当者であれば、自社でもこうした制度を設けたほうがよいのか迷うこともあると思います。今回は「出戻り制度」のメリットとデメリットについて解説します。
出戻り制度を設けた場合のメリットはいくつかあります。
まず、他の会社で働いていたわけですから、自社では培えないスキルや考え方を習得しているだろうと期待できます。また、他社で働くことで自社と他社の強みについて明確に比較し、その結果として自社の魅力を再発見して戻ってきたのだろう、という期待もできるでしょう。
「他社で習得してきたスキルを再度活かしたい」「他社を見て改めて元の会社の魅力・強みを再確認したので、ぜひ再入社させてほしい」――。こういったポジティブな考え方で出戻りを希望しているのであれば、会社としても非常に大きなメリットになることでしょう。
出戻りをする社員は、一度自社に勤めていたわけですから、業務内容や自社のカルチャーについてある程度は理解しています。こちらとしても人柄や実力を把握しているので、一般的な中途採用と比べてリスクや教育コストを少ないですし、戦力化が早いというメリットがあります。
一方で、自社に勤めていたがゆえに、安易に出戻り採用をしてしまうとデメリットになることもあります。
安易に出戻り採用をしてしまうとトラブルの種になることもある、ということも頭に入れておかねばなりません。
例えば、辞める際に円満退社と言えない形で退職した社員がいたとしましょう。出戻り制度があるからといって、こうした社員を再雇用するとどうなるでしょうか。
会社にはその社員が退職する前の上司や部下が残っているはずです。辞める際に、会社に砂を掛けるような辞め方をしていったにも関わらず、何食わぬ顔でその社員が会社に戻ってきたとしたら、「なんであんな奴を戻したんだ」という不満の声が社内からあがることは間違いないでしょう。
こうした余計なトラブルの種を生み出さないためにも、出戻り制度を設けるのであれば無条件に再入社を認めるのではなく、その人の性格や退職前の働き方・評判について把握し、再度選考できるようなフローを設ける必要があるのです。
出戻り制度があることで、社員が軽率に退職する可能性があるということも頭に入れておかねばなりません。「どうせ戻ってこられるから」「もし他社で通用しなかったらまた戻ってくればいい」という考えで退職する社員がいると、他に社員のモチベーション低下にもつながります。
そういった理由で退職を希望する社員には、「出戻り制度は100%の再雇用を保証するものではない」ということを明確に伝えておくべきでしょう。
退職する社員側も自社の出戻り制度についてしっかりと理解しておかなければなりません。辞める時には「出戻りなんてする気がない」と思っていたとしても、他社で働いてみたら元の会社に戻りたくなった……ということはよく聞く話です。跡を濁して飛び立った鳥であれば「戻りたい」と思った時に戻れない可能性だってあるのです。
出戻り制度には社員のモチベーションを低下させたり、人間関係のトラブルを生み出したりするリスクがあるというデメリットがある一方で、さまざまなメリットがあるのも事実。もし出戻り制度を設ける際ならば、人事担当者はこうしたメリットとデメリットを理解することが必要です。
さらに、その社員を再雇用することが正しいのか検証できる冷静な判断力と、人事上の仕組みが求められるでしょう。
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人事が効果的な採用や配置をするための手段として
注目されている「人材ポートフォリオ」。
人的資源を可視化できるため、
どのような人材がどれぐらい必要かが見えやすくなります。
ではどのように活用すればよいのでしょうか。
人事は時代や景気の波に左右されやすく、
時々によってあったりなかったりを繰り返してきました。
そのため経営層の中には人事の仕事に対して
良くない印象を抱いている人も少なくありません。
人事が経営層から信用されるためには何が必要なのでしょうか?
会社は利益を追求する組織ですが、社員に求めるものはそれだけではありません。
会社における「困った人」を出さないために、人事は社員を評価する制度をしっかりと定めましょう。
給与の額は評価によって決まります。
そのため、評価は給与を額を決めるための手段に過ぎない、
と考える人も少なくありません。
そのような考え方は、正当な評価につながらないことがあるので注意です。
「頑張っていること」を評価したい、
という気持ちを持つのは悪いことではありません。
しかし、その気持ちを本当に評価に反映してしまうと、
社員の不満の元になってしまいます。
人事制度を考える上でまず「絶対評価」と「相対評価」の違いを
知っておく必要があるでしょう。
それぞれのメリット・デメリットをお伝えし、
今の人事評価制度を作るうえで重要なポイントをお伝えいたします。
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