2026.04.28
人事マネージャーには、最低限持っているべきコンピテンシー、スキル、知識があります。人事評価や人材育成、人事異動など、さまざまな課題を解決するための“意志決定”は、その重要なひとつ。意志決定のプロセスでは、「情報収集」「問題分析」「解決案の提示」の3つのコンピテンシーが必要になります。

人事の仕事は、人事評価、人材育成、人事異動など、すべて“人”に関わるものです。社内の人々をどのように評価するのか、どのように育成するのか、どのように異動させるのか。人事マネージャーとしてこれらの意思決定を行なっていくためには、まずは人の「情報収集」が必要になります
多くの情報ソースから情報を集め、関係する人の話をできるだけ多く聞く。そして、それだけではなく、客観的に事実をとらえることが重要です。だからこそ人事マネージャーは、社内外に広く多くの十分な情報源を持っていることが求められます。
例えば、セクハラやパワハラが起こったときは、多くの情報を集めることが必要になります。ハラスメントは、被害者・加害者の双方の人生に大きな影響を与えるセンシティブな問題です。しかし、よくよく調べてみると「単に上司が嫌いだった」「褒め言葉のつもりだった」といった理由で問題化するケースも少なくありません。
人事マネージャーは、部下を使って被害者、加害者、その周囲の社員たちから多くの情報を集め、客観的な事実を確認しなくてなりません。大事なポイントは、集めた情報を「鵜呑みにしない」で真偽を確かめること。
たとえ被害者本人から訴えがあったとしても、「そういうことがあるかもしれない」と “仮説”として受け止め、慎重に事実を確認しなければ、誤った判定・誤った処分をしてしまうかもしれません。
あるいは、不正を起こした社員の経歴を調べると、学歴や職歴を詐称しているケースが多く見られます。履歴書の記載も、セクハラやパワハラの訴えも、1つの情報だけを鵜呑みにするのは危険です。間に受けず、偏らず、できだけ多くの情報を集め、精査していく。それが人事マネージャーの極めて重要な役割です。
情報収集をしたら、自分自身の感情や主観に左右されずに情報を整理し、合理的で矛盾のない結論に導くよう論理的に「問題分析」をしていきます。
ここでの大事なポイントは、決して軽率な判断をしないこと。「あそこの部署はいつも人が辞めるよね」「原因は上司が悪いからだよね」などと思いがちですが、会社で起こる問題は、そんなに単純ではありません。
上司が悪いのか、その上が悪いのか、そもそも会社の風土が悪いのか。実際に調査してみると、実は問題を起こした本人だけが悪いわけではなかったというケースも数多く見られます。
物事の全体像を見たうえで打ち手を考えないと、致命的なミスを犯します。過不足なく情報を集めて整理し、必要に応じて適切な分析ツールを用いながら、問題の本質を見抜くことが大切です。
分析においては、論理的思考(ロジカルシンキング)を活用するといいでしょう。因果関係を明らかにすることや抜け漏れがない視野・視点を確保するために、プロセス図やロジックツリーなどの各種のロジカルシンキング・フレームがあります。それらを活用して、情報を整理し、問題の本質を見極めていくのです。
情報収集をして、問題分析をしたら、「解決案の提示」をします。問題の解決案は、多数の情報を基によく練られた複数の選択肢を示さなければなりません。
ここで大事なポイントは、選択肢が多くの情報と抜け漏れがない分析により検討され、メリットとデメリットが整理されていること。そして、選択肢の中で最善な選択を提言することです。専門的な部分については、専門家からのヒアリングをするなど、論拠が明確であることが特に重要となります。
ハラスメントなどの判定が難しい問題に関しては、信頼できるプロに相談をする。それが最も早くて確実で安全な方法です。弁護士、社会保険労務士、産業医、コンサルタント、他社の人事マネージャーなどとネットワークをつくり、何かあったらすぐに聞ける関係を築いておきましょう。
そのうえで経営者や役員、部門長などの決断者に、ベターな案を理由とともに説明をします。その提言に説得力があれば、決断の際に大いに参考にされます。人事マネージャーが自身で決断する場合においても、このような意思決定のプロセスを経ることによって、より良い判断を下すことができるようになります。
一例を挙げると、精神疾患で休職している人がいる場合、休職期間が満了になったら、多くの会社では就業規則で休職満了をもって自主退職となることを定めています。しかし、精神疾患の原因が長時間労働だったら、「労働災害」と認定されるリスクとなり、会社が訴えられるかもしれません。
このような事態を避けるためにも、原因を調査し、慎重に対応する必要があります。退職とするのか、休職期間の延長を認めるのか、そのうえで復職時の異動を働きかけるのか、解決案にベターはあっても、ベストはありません。決断のミスが起こりやすいのは、選択肢が少ないとき、直感や感覚に頼りすぎているときです。
適切な状況判断を行い、どんな問題も常にリスクを想定したうえで複数の解決案を提示し、最善の選択を提案しましょう。「解決案の提示」を行う際には、以下の行動リストを参考にしてみてください。
【OKな行動】
□ 複数の選択肢を提示し、各々のメリット・デメリット、予想される結果も示す
□ 選択肢の中で、最善な選択を提言する
□ 多くの情報によって練られ、合理性と論理に基づいた選択肢を案出する
【NGな行動】
□ 複数の選択肢を案出しない。リスクを含めた結果の予想がされていない
□ どの選択肢を取るべきか、類推されていない
□ 材料不足の解決案になっている。論理的でない。直感や感覚に頼りすぎている

人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
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ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
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テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。

人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
テレワークの普及、副業の推進、社員の個人事業主化、AIやRPAの活用――。働き方もキャリアプランも多彩になってきたアフターコロナの時代、「正社員」も「雇用契約」もすでに過去の遺物になろうとしています。そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、多様化するワークリソースの活用方法についてお伝えします。
本来、喜ぶべきボーナスですが、
予想額を下回ると却って社員の不満になります。
社員に納得してもらうためには評価基準の開示と、
それをしっかりと反映させることが重要になります。
会社が大きくなるについて、「社員からの批判」は増えていきます。
そういった批判にはどのように対処していくべきなのでしょうか?
そもそも、対処する必要がないのでしょうか?
悩んだときは、その批判が会社に与えるインパクトを考えてみましょう。
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人事にエースを配置する企業はそれほど多くありません。
しかし、会社が成長し続けるかぎり、社内に顔が広いエースに
人事全体を引っ張っていってもらわなければならない瞬間が必ず訪れます。
評価制度の導入は会社にとっての変化。
中には良く思わない人もいるかもしれません。
しかし、だからといって引き下がると制度の導入が進められないばかりか、
人事が“なめられる”原因になってしまいます。
テレワークであっても成果を出すために、社員の働き方を監視する「監視ツール」を導入する企業が増えています。しかし、監視ツールを導入するよりも重要なのは、「適度なルール」と社員との「大人の関係」。
今回は、テレワークにおける人事管理の大事なことについてお話します。