人事担当者の喫緊の課題といえば、やはり人手不足の解消です。採用難が続く昨今ですが、人材確保の手段は「採用」だけではありません。「活用」という方法も改めて検討してみましょう。

人手不足、この4文字が連日のようにニュースになっています。業界・業種を問わず、多くの企業が人手不足に苦しむ状態が続いています。日本経済新聞(2025年4月8日)によると、2024年度の全国の企業倒産件数は11年ぶりに1万件を突破したとのこと。採用難や人件費高騰による人手不足倒産は、前年度比で6割を増え、過去最多となったといいます。
人手不足の大きな原因となっている少子高齢化や労働人口の減少は、この先も止まらないでしょう。採用難は今後も続き、人材の流動化も進んでいくはずです。私たち人事がいま改めて考えなくてはならないのは、人材確保の手段です。
人材を確保する方法は、「採用」だけではありません。必要な人材が採用できないとしても、外部の優秀な人材に仕事を依頼する「活用」という方法があります。たとえば、SE(システムエンジニア)が必要になったとしても、最近はそう簡単に人を採れません。
しかし、フリーランスとして活躍している人はいっぱいいます。そういう人たちと「業務委託契約」をして活用する方法を考えるのです。企業と働く人の契約形態は「雇用契約」に限らず、さまざまな方法があります。これらの人材確保の手段について、改めて整理しておきましょう。
雇用契約とは、「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払う」ことを内容とする労働者と使用者の間の契約です(労働契約法6条)。雇用契約は、労働法上は労働契約です(雇用契約と労働契約は厳密には違いますが、企業と働く人の関係においてはほぼ同義と考えて、ここではそう表記します)。
労働契約において、労働者は、契約に基づいて労務を提供する義務があり、使用者は契約に基づいて賃金を支払うことになります。「労務を提供して賃金を得る」というのが雇用契約の基本です。
ただし、外部から人材を募集するに当たって、必ずしも「雇用契約」である必要はありません。企業と働く人の契約形態は、「雇用契約」以外にも「請負契約」「委任・準委任契約」「派遣契約」があります。企業と働く人との契約形態の違いをまとめると、以下のようになります。

例えば、チラシやホームページなどの成果物の制作を依頼し、納品(契約した内容の完成)によって報酬を払うものが「請負契約」です。最近は営業請負も増えています。営業請負とは、企業が自社の営業活動の一部または全部を外部の専門業者に委託する契約形態。営業請負では、契約で定められた営業成果(例:アポイント獲得、成約など)を達成することが求められます。
弁護士や社会保険労務士といったスペシャリストを活用する場合は、法律行為を依頼する場合は「委任契約」、コンサルタントなども含め法律行為以外を依頼する場合は「準委任契約」となります。
企業が面接をして雇用した人材でなく、派遣会社を介して人材を雇用するのが「派遣契約」です。派遣と請負は一見すると似ていますが、派遣は派遣先の企業(派遣労働者を受け入れる側)の指揮命令下で派遣スタッフが働き、請負は請負会社の指揮命令下で請負スタッフが働くという違いがあります。
近年、人によって働きやすい契約形態は変わってきています。請負契約、委任・準委任契約は、通称として「業務委託契約」とも呼ばれていますが、昨今は優秀な人材ほど業務委託を望む傾向が見られます。
私たちの会社も、コンサルタントの何名かは業務委託契約です。彼・彼女らは当社とは別に自分の会社や事業も持っていますが、しっかりと成果を出してくれています。それに応じた報酬も支払っています。
雇用契約と業務委託契約の比較をしてみましょう。企業の立場から見ると、雇用契約と業務委託契約には以下のようにさまざまな違いがあります。

雇用契約は、安定的な人材確保が可能です。(契約の範囲内であれば)会社に指揮命令権があり、会社からの仕事の依頼や従事する業務に関して、労働者がそれを断ることはできません。勤務時間・勤務場所も会社が指定しますが、報酬(賃金)は提供された労務自体に支払います。「成果が出なかったから」「納品物が完成しなかったから」という理由で報酬を支払わないことは許されません。また、固定的な人件費や、一定の教育費も必要になります。
一方、業務委託契約は、必要な時に必要な人材を確保する契約形態です。人材確保は安定的ではありませんが、そもそも最近は人を採ること自体が困難になっています。「勤務時間・勤務場所を指定する必要がなく、依頼した業務の成果を出してもらえれば良い」という考え方で人材を募集するのであれば、請負契約でもいいわけです。
それは「雇用契約」でなければならないのか。このような観点も加えることによって、人材確保の幅は大きく広がります。上記の比較も踏まえ、どの契約形態が自社に適しているのか改めて検討してみてください。

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