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人事担当者が「最低限持っているべきコンピテンシー」とは?

人事担当者には、普遍的に求められるコンピテンシー、スキル、知識があります。キャリアステップごとにそれらを理解して身につけていくことは、これからますます大切になっていきます。今回は、人事担当者が最低限持っているべき4つのコンピテンシーを紹介します。

好奇心を持って変化を受け入れる「創造的態度」

人事部門では時々、勘違いしたエリート意識を持った人を見かけます。「人事担当者は会社の重要な仕事を任されているから偉い」「大企業の社員だから自分はイケてる」「一流大学を出ているから自分は他の人より優れている」。こういう人は得てして他者の意見を聞こうとしないので、興味の幅が狭く、考えることが表層的です。現場に甘んじてしまうと、成長の機会を失ってしまいます。

人事担当者は、好奇心を持ってどんなことにも広く興味を持ち、前向きに物事を捉えることや、新しい考えや教えられたことを柔軟に受け入れ、それを発展させていく「創造的態度」が求められます。

ここでいう「創造的態度」とは、他者の意見や考え方、新たなアイデアや変化を前向きに捉え、それを発展させようとする姿勢と行動を意味します。人事担当者に求められているのは、さまざまな人の話に耳を傾け、変化を受け入れる謙虚な姿勢です。

なぜなら人事における最優先事項は、その時々で変化します。例えば、少子高齢化による人手不足が深刻となっている昨今は、離職を防ぐためにも若年層のエンゲージメントを高めることが特に重要になってきています。インターネットの進化にともなって、効果的な採用手法も年々変化しています。

今の自分に満足せず、人からのアドバイスを素直に受け入れ、現状がより良くなる方法を常に模索していかければなりません。上司だけではなく、同僚や他部門の社員、外部の取引会社の方や、他社の人事担当者など多くの人と交流し、幅広い情報や考え方を吸収していくことが大切なのです。
 

周囲の雰囲気を高める「動機づけ」

「動機づけ」とは、周囲の雰囲気を良くし、仕事の目的や意味を伝え、情熱を持って働きかけ、モチベーションを高め、チームの活性化を促すことです。

人事は、自部署だけでなく、会社全体の社員のモチベーションを高めることが必要な仕事です。すべての社員の言動に注意を払い、元気のない人がいたら「どうしましたか」と声をかけてみる、やる気が落ちている人がいたら、その原因を探り、取り除く努力をする。さらには「こういうふうにやってみたらどうでしょう?」と提案するなど適宜フォローすることを心掛けていきましょう。

特に最近の若い世代は、仕事の意味や目的、また「社会の役に立つかどうか」も重要視するようになってきたといいます。なぜそれをするのか、すべきなのか、実際に行動したらどうなるのかを具体的に示し、各自が納得して目標を達成する雰囲気をつくることが重要となります。

また、人事制度の見直しも「動機づけ」につながります。例えば、自己申告制度を導入すれば、「本人が異動を希望しています」と優秀な部下を手放したがらない上司を説得しやすくなります。少しずつでも社員の希望を叶えていけば、個々のモチベーションが上がり、会社全体の雰囲気ががらりと変わります。

どうしたら社員のモチベーションが上がり、幸せになり、会社がもっと良くなるのか。その仕組みを常に考え続けていくことも人事の仕事なのです。

客観的に事実を捉える「情報取集力」と「問題分析力」

人事担当者にとって特に大切といえるコンピテンシーは、「情報収集力」と「問題分析力」です。必要な情報を多方面から入手し、多くの人の意見を聞き、大量の情報の中から必要な情報とそうでない情報を選り分け、客観的に事実を捉えていく。

例えば、ある社員が「上司からパワハラされた」と訴えてきた場合、大事な情報として受け止めることも重要ですが、それが事実なのかどうかを客観的に検証することも必要になります。1人だけが言っていることなのか、それとも周囲も言っていることなのか、情報を集め、事実を確かめるのです。

人に関する情報は、真偽の判断が難しいため細心の注意を払わなくてはいけません。なぜなら、社員の一生を大きく変えてしまう可能性があるからです。

いったい何が起こっているのか、複数の社員から話を聞くと「この人とあの人が言っていることは違う」「この情報は多くの社員が証言している」など、次第に事実が明らかになっていきます。誤った情報を鵜呑みにせず、必ず複数の情報を入手し、物事の本質を見極めるようにしてください。

だからこそ大切になるのは、日頃からさまざまな社員と交流し、人的ネットワークを広げ、複数の情報ソースを持つこと。情報を収集したら、問題の本質や物事の原因を客観的かつ多面的に捉えていきましょう。

問題分析力とは、多くの情報の中から課題解決のための重要な情報とそうでない情報を選り分け、問題を客観的かつ構造的に抜け漏れなく捉えること、また物事の原因の本質を見抜くことです。複雑な問題は、図解して“見える化”することによって、わかりやすく構造的に理解できるようになります。

その際に有効なのが、「ロジカルシンキング(論理的思考)」のツールです。プロセス図、マトリクス、ロジックツリー、ピラミッドストラクチャーなどがあり、これらは過不足なく情報を整理し、問題の本質に迫ることに有効です。

「人事」という領域はエモーショナル(感情的)に捉えられがちですが、だからこそ客観的に物事を捉えることも重要なのです。ロジカルシンキングについては、簡単な本でも良いので、全体に目を通して基本を習得しておくと良いでしょう。人事担当者として確実にスキルアップできるはずです。

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