人手不足の解消は、多くの人事にとって切実な課題となっています。人材を確保する手段は、正社員だけではありません。それは「正社員」でなければならないのか。人事担当者は、慎重に検討しなくてなりません。正社員雇用の際には、「留意すべきポイント」があります。

人手不足の問題をどのように解消するか。人事担当者にとって、これは喫緊の課題となっています。ひとつは、前回お伝えしたように「雇用」ではなく「活用」という方法も検討することです。
人材確保の手段は、「雇用契約」だけではありません。「請負契約」や「委任・準委任契約」、あるいは「派遣契約」もあります。雇用契約だけにこだわらず、視野を広げることにとって優秀な人材を活用することが可能になるはずです。
そして、「やはり雇用契約を選択する」となった場合でも、それは「正社員」でなければならないのか、ということについて改めて考えてみる必要があります。
もちろん世間一般の傾向としては、「正社員」が良いとされています。正社員であれば、毎月給与が支給されます。正社員でないと生活面で安定性がないと見られたり、信用の面からも住宅ローンが借りにくかったりもします。正社員で働きたいという人が多いのは事実です。
しかし、そもそも「正社員」とはいったい何でしょうか。雇用契約期間と勤務時間から見た、他の働き方との違いを改めて整理しておきましょう。ごく簡単にまとめると以下のようになります。

[注]呼称は一般例を表す
正社員は、一般的には「無期雇用」で「フルタイム(所定労働時間)で働く」人のことを指します。無期雇用とは、雇用期間の定めがない労働契約のこと。有期雇用とは異なり、契約期間の更新の必要がなく、原則として定年まで働くことができるということです。正規雇用ともいいます。
契約社員は、「有期契約社員」の略称です。正社員とは、有期雇用である点が異なります。有期雇用とは、契約期間が定められている雇用形態のこと。契約社員、パート、アルバイトなどが該当します。契約期間が終了すると、契約を更新するか、雇用契約が終了するか、いずれかの選択になります
労働契約法で定められている「有期雇用が5年を超えて更新された人が本人の申し出により無期転換した」無期転換者で「フルタイム」で働く場合には、正社員と同じカテゴリーになりますが、会社によっては正社員と分けて定義していることもあります。
無期雇用、つまり「期間の定めのない雇用契約」をする場合には、人事担当者には留意しなければならないことがあります。それは、「その雇用契約は長期間に及ぶことを想定しているか」です。当たり前に思われるかもしれませんが、これは意外と忘れられがちな重要なポイントです。
雇用期間が長期間に及ぶということは、その間に「勤務する場所」「仕事の内容」「任される仕事の責任の範囲」などが変化する可能性があります。つまり、無期雇用を結ぶときには、これらの「変化」を想定しておかなければならないのです。
「この仕事しかしたくない」「この場所でしか働きたくない」という人を「正社員」として無期雇用することには十分な注意が必要になります。近年は「管理職にはなりたくない」という人も増えています。しかし、雇用契約をする以上、仕事の依頼、業務従事に関する諾否の自由はありません。
会社には「人事権」があります。人事権とは、「使用者(会社)は、労働契約に基づき、労働者の採用、異動(配置転換)、人事評価、昇進・昇格・降格、解雇などを行う権利を有すると解される」というものです。
もちろん、権利を有するといっても権利の濫用は禁止され、法律によって規制されることがあります。特に解雇権は厳しく制限されていますが、いずれにしても正社員については、この「人事権」を会社が行使する可能性があることを十分に伝える必要があるのです。
正社員には、「地域限定職」や「一般職」といった契約形態もあります。地域限定職とは、配置転換の範囲を限定する契約形態。一般職とは、定型的・補助的な業務を行う契約形態です。
これらは人事権を「制限する」契約形態といえますが、一定の範囲で会社の人事権を制限することから、全国転勤もあり総合的な判断を要する基幹的業務に従事する「総合職」と、給与水準や昇進範囲等の処遇に差をつけるのが一般的です。正社員といっても、さまざま契約形態があるのです。契約形態によって人事権にも制限が出てきます。
有期雇用も含めた社員区分には、以下のような種類があります。改めて確認してみましょう。

職種・勤務地・勤務期間等に何らかの制限がある場合は、有期雇用をまずは想定すべきでしょう。また、地域限定職や一般職については、その定義を明確にし、例えばその事業所がなくなったとき、あるいはその仕事がなくなったときに、どうするのかも想定しておかなくてはなりません。
雇用形態については、はっきり定義していない会社が多くあります。有期雇用でありながら働く側は無期雇用と誤解しているケースでは、将来、雇止めする際にトラブルに発展する場合もあります。もし明確にしていないのであれば、早めに整理し働く人たちに誤解を与えないようにしてください。
人材確保の手段は、「正社員」でなければならないのか、また「正社員」を採用する場合は、その仕事内容、期間、場所、またどの雇用形態が適しているのかを十分に検討しましょう。

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