2020.04.24
受け身人事が自発的に受け身人事を脱却することは簡単なことではありません。
今回は受け身人事が生まれる理由と脱却できない理由をご紹介するとともに、
自発的な人事の理想形とも言える「攻めの人事」について解説いたします。

アウトソーシングやRPAなどが普及し、事務的な作業を正社員以外のリソースに任せるようになると、受け身体制で仕事をしている社員は仕事がなくなる可能性があります。とくに人事部は受け身になりがちです。そのままだとリストラの対象になってしまう日が来るかもしれません。
今回は、「受け身人事がなぜうまれるのか?」そして「なぜ受け身人事をなかなか脱却することができないのか?」の大きな原因をご紹介いたします。
人事の業務というものを段階で分解すると、「人事戦略の決定」「企画」「運用」「オペレーション」にわけられます。戦略を立てたのちに企画をし、運用プランを組み立てそのプランに添ってオペレーションが行われるのです。
経営者の多くの方は戦略を立てることを好むため、オペレーションは部下に任せる傾向にあります。単純に経営者自身が忙しくオペレーションにまで手が回らないというケースもありますが、オペレーションのような「受け身業務はつまらない」と感じている方が多いのも事実です。そのため、会社の規模が小さいうちは社長が「運用」「企画」「戦略」といった、判断を要する分野を担当し、判断の必要がない「オペレーション」は社員に任せがちに。この「オペレーション」における業務こそが人事担当者の業務の基本になります。
そのような経緯から、「人事はつまらない業務をしている部署」という認識を持ってしまう経営者は残念ながら少なくありません。結果として、優秀な人材は人事には不要とされてしまうことがあるのです。
「受け身」の反対は「自発」。すなわち「自分から動くこと」です。中には自分から積極的に仕事を増やすことを億劫に感じている人もいます。
もちろん自分から仕事をとりに行くことは、出世のための近道です。しかしそれは、能力に応じた職位・給与がもらえる職場での話。年功序列のような、旧態依然な評価をされる会社では、「頑張っても無意味だ」と判断し積極的に仕事をとりに行かなくなります。長期的に見れば自身のキャリアになるかもしれませんが、短期的に見ると見返りがないというのは想像以上に辛いものです。なかなかその意識を変えるのは難しいでしょう。
とはいえ、そのような状況でも積極的に動いている人もいます。その原動力がどこにあるのかというと、「仕事の面白さ」です。
「仕事は辛く、苦しく、つまらないものである」といったイメージは、多くの方がお持ちのことでしょう。ただ「仕事が面白くてしょうがない!」という方は一定数います。そういった方は、仕事の中に面白さを見出すことが得意であると言えるでしょう。「なぜこういったプロセスになっているのだろう?」と疑問を投げかけたり、「こうしたらもっと良くなりそう」と改善点を見つけたりなど、単調になりがちな仕事に変化をつけます。それがやりがいや面白さにつながるのです。
自発的な姿勢は、受け身な仕事ばかりだった人事の変化のきっかけになるかもしれません。現状を打破したい!という場合には、まずはいまの仕事の中で変化を生み出してみてください。
これからの時代は「攻めの人事が必要だ」と言われ続けています。ではそもそも、「攻めの人事」とはなんでしょうか?それは、会社のビジョンや経営戦略という会社の根幹にあるものに寄り添った人事戦略を指します。会社が進みたい、成長したい方向にともに進むために必要不可欠のものです。自発的な人事の理想形ですね。
しかし、この「攻めの人事」は常に全ての会社に求められているもの、というわけではありません。会社のステージや経営者自身の考え方によっては、まだ必要とされていないこともあるのです。
それは、経営者自身が人事に深く携わり、全ての社員の顔と名前が一致するのはもちろんのこと、性格や能力の特性まで把握することができている場合です。経営者自身が人事に対するビジョンを具体的に持ち、社員一人ひとりと会社の将来像を共有できているのであれば、人事担当者は自ら人事戦略を立てていくのではなく、経営者のビジョンを実現するための支援に回った方が良いでしょう。
ですが、会社が成長すると、経営者が会社の隅々まで目を届けることができなくなってきます。そのときには、人事担当者が会社の現状を把握し、適切な人材を適切な部署に配置するなどの「攻めの人事」が求められるようになるのです。来るべき日のために、現場とのコミュニケーションは欠かさず、経営陣と現場をつなぐ役割を担えるようにしておきましょう。

人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?

中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。

ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!

テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。

人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
社員の育成に欠かせないキャリアステップ。
しかしいざ策定するとなると
何から始めればいいのかわからないのではありませんか?
そこでキャリアステップ策定の方法や意識しておいてほしいことを、
前後編に分けてご紹介します。
社員の離職を食い止めるために重要な要素である「臨場感」。
今回の記事では「臨場感とはいったい何なのか」「どうして臨場感が離職を防ぐのか」
を解説していきます。
説明会や面接で大切なのが採用担当者の第一印象です。
採用担当者は企業の顔といっても過言ではありませんので、
ここで悪い印象を持たれると優秀な人材はすぐに他の企業を選んでしまいます。
今回は、悪い印象を持たれないためのファーストインプレッションについて解説いたします。
人手不足が深刻化しているこの時代において、
採用活動はますます難しくなっています。
「この人に入社してほしい」と感じる人ほど、他の企業からの内定を選んでしまう。
今回はそういった課題を解決する手段として
「採用マーケティング」の考え方をお伝えいたします。
経営陣から下りてくる人事施策が果たして本当に人事ポリシーに則っているのか?
それを判断するのは人事の役目です。
そのために必要な「人事の人事ポリシー」とは?
バブル崩壊後、企業は採用を抑制し、ジョブ型雇用に切り替えようと試みました。
しかしその試みが上手くいった企業は少ないのが現状です。
ジョブ型雇用が注目を集める昨今、
会社は過去の教訓を活かしどのように動くべきなのでしょうか?
いい人が採れない。そもそも応募者が来ない。多くの企業が人手不足に悩む一方で、優秀な人材がいきいきと活躍している会社もあります。求める人材を獲得する方法は、「採用」だけではありません。それは本当に「雇用契約」でなければならないのか、改めて考えてみる必要があるのではないでしょうか。
年功序列の処方箋としてブームになった成果主義やジョブ型雇用で、日本企業は本当に「脱・年功序列」を実現できるのでしょうか? 多くの企業はポリシーを持たずに、小手先の手法を取り入れて痛手を負っています。手法の導入だけに走った企業はどうなってしまうのか、改めて考えてみましょう。総合人事コンサルティングのフォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP )の著者・西尾太が、年功序列を脱するための方法についてお伝えします。