2018.10.20
明確な人事評価制度を持っている企業はほんの一握りだと言われています。
しかし社員の成長、ひいては会社の成長のためには、
評価基準を作り、人事評価制度を導入することが必要不可欠です。
ではそのメリットはどこにあるのでしょうか?
人事評価制度を明確にしている企業は全体の1割程度で、先進的な上場企業の中でも3分の1ほどしかないと言われています。なぜ多くの企業が人事評価制度を具体的に示していないのでしょうか。その理由はいたって簡単。「評価される側」だった人が突然「評価する側」の立場になり、何を、どう評価したらいいかわからないからです。
一般的に、管理職の社員は評価する側、その部下は評価される側という立場になると思われます。たとえば今まで評価される側の人間が管理職になっても、なかなか評価する側の立場に、他の管理職と同じように立つことはできません。新しく管理職となった人間でも、ブレることなく評価をするために、人事評価制度は必要不可欠のものなのです。
では、そもそも人事評価制度とはどのような制度でしょうか。
人事評価制度とは、企業が新人や部長など様々な職位、キャリアに応じて「会社が社員に求めていることをどの程度達成できているのか」を評価する制度です、その評価によって給与、ボーナスの変動や昇進、最悪の場合ではリストラなどを行います。また、社員にとっては、評価で明確化された改善点をフィードバックされることにより、業績を上げるなどの効果を得ることができます。
人事評価制度を明確化するためには評価基準が必要ですが、この評価基準を作るために重要なのが「コンピテンシー」です。コンピテンシーとは、成果につなげられる人や活躍する人に特徴的な行動や考え方のことを言います。
評価基準は職位やキャリアに合わせた具体的な内容(コンピテンシー)で策定しなくてはいけません。コンピテンシーを元に策定された評価基準は、社員一人一人の良い点と悪い点を具体的に示すことができます。「○○ができた」「△△ができなかった」という「できたか、できてないか」の話になるので「あいつはイマイチ最近成果が上がってないけど、頑張ってるから」といった主観的な評価が入り込む余地がなくなるのです。
とは言え、評価基準を策定するための手間(コスト)を考慮した時、本当に評価基準は必要なのでしょうか。
評価基準を策定することによる経営者や管理職のメリットを挙げてみましょう。大きなメリットとしては、もちろん社員の成長を促すことができる、という点です。先述の通り、改善点のフィードバックを行うことで、社員も会社も「今何が足りないのか」が明確にわかります。成長しよう、昇進しようという意欲があるのであれば、その足りない部分をできるようになればいいだけです。その成長がひいては業績の向上や会社全体のモチベーションの上昇につながります。
また、「どのような評価を受けているか」「どのようなことを求められているのか」が明確にされていないことは、社員が不安や不満を抱く原因になります。たとえばあなたが昇進を目指すために努力をしている社員だったとします。あなたと同じぐらい努力をしていて、同じぐらいの能力を持っている社員は他にもいますが、その中の一人だけが管理職の目に留まり、昇進することになりました。当然、同じぐらい頑張っているあなたを含めた社員は面白くないですね。明確な評価基準があれば、このような不平等は生まれることがありません。さらに、社員の目標や努力の方向性もハッキリするので、社員の成長を促しやすいのです。
評価基準は評価する側の人間の公平さにも一役買っています。上司の「好き嫌い」に関わらない平等な評価をすることができるのです。以前よく言われていた「人事担当者のご機嫌取り」もする必要がありません。
社員の離職の原因としてよく挙げられるのが「先が見えない」という不安感です。「何をどう頑張ればいいのかわからない」「ゴールがどこにあるのかわからない」「誰に聞いてもそれがわからない」・・・そのような不安が、未来を覆い隠してしまいます。
評価基準は、未来を照らす灯りになります。その灯り(評価基準)のある場所を通ることができれば、確実に出口(昇進や昇給など)につながるのです。このようにゴールを明確にすることで不安感を拭い去ることができます。もちろん将来に対する不安の原因は他にもありますが、その原因を解決すること自体が「成長」です。会社が手伝えることもあるのではないでしょうか。
このように、評価基準を策定することは、経営者や管理職だけでなく、そのほかの社員にも大きな影響を与え、結果として、会社全体の発展につながります。多少のコストがかかったとしても、将来のためにしっかりと策定し、確固たる人事評価制度を作りましょう。
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