注目されている「ジョブ型雇用」は、
すべての会社にとって有効というわけではありません。
会社が人材についてどのような問題を抱えているかによって、
毒にも薬にもなり得るのです。
今回はジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用について、
そしてそのメリット・デメリットについて解説いたします。
昨今の情勢によって、企業ではテレワークという働き方を推奨する声が広まっています。
テレワークはこれまでの一般的な働き方とは異なり、自宅での勤務という体型です。そのため、出勤時間の削減やリラックスして仕事に臨めるというメリットがあります。一方で社員の管理がしづらく、実際に仕事をしているのかどうかを確認するのが難しいというデメリットも持ち合わせています。
そのような中で、注目を集めているのが、「ジョブ型雇用」という言葉です。一体ジョブ型雇用とはどのようなものなのでしょうか?
そもそもジョブ型雇用とはどういった働き方を指すのでしょうか。
ジョブ型雇用とは、仕事の内容が予め明示されている雇用形態の事です。職務記述書(ジョブディスクリプション)に仕事の内容が事細かに記載されており、その仕事に特化した専門的なスキルが求められ、勤務時間ではなく、成果によって評価されます。
一般的にジョブ型雇用では、勤めている会社で仕事がなくなってしまった場合、他の会社で同様な仕事をする部署に転職します。会社間での人材の流動性があるのです。
一方で日本でずっとされてきた働き方は、メンバーシップ型雇用と言います。
メンバーシップ型雇用とは、仕事内容を限定せず、広く人材を集める雇用形態です。様々な仕事内容をローテンションして、満遍なくこなしていくことが求められるので、総合力が重視されます。
メンバーシップ型雇用では、現在の仕事がなくなってしまった場合、会社内で他の仕事をする部署に異動するのが一般的です。会社内で人材の流動性があると言えるでしょう。
人事は、安易な考えで流行りに乗ってしまうのではなく、その体制や施策が本当に自社に必要かどうかを、しっかりと考える必要があります。
現在、日本の多くの会社では、メンバーシップ型雇用で新卒一括採用をしています。新卒採用のメリットは、若手を長期育成することができることです。しかし、本当に新卒一括採用をして全員を長期育成する必要があるのでしょうか?「昔から採用とはこういうものだから」と、漫然と新卒採用を行っていないでしょうか?
もちろんジョブ型雇用にもデメリットはあります。ジョブ型雇用では、専門化された1つの仕事しか経験できません。将来的に経営陣として迎えられるような社員、つまりコア人材を育成したい場合、ジョブ型雇用で可能なのでしょうか?
確かにジョブ型雇用は近年かなりの注目を集めています。ただ、このようにメリット・デメリットについて十分に検討し、明確に理由を持って施策を行う必要があるのです。
ジョブ型雇用は、20年前にはすでに提唱されていましたが、導入して上手くいったケースは残念ながらそれほど多くありません。自社の方針と噛み合わず上手くいかなかったり、やりすぎてしまったりして、結局元のやり方に戻る、という場合が多いのです。
「新しく注目を集めているやり方だからいいものに違いない」と安易に考えて、流行っているものに飛びつくようなことはやめた方がいいでしょう。
先の例で言えば、コア人材を育てたいと思っている場合に、ジョブ型雇用を進めてしまうのは悪手です。経営に携わるためには、会社全体を広く見渡す必要があります。会社内で様々な仕事を経験する「メンバーシップ型雇用」と比べ、一つの仕事しか経験できない「ジョブ型雇用」では、経営に携わる人材を育てるのは難しいと言えるでしょう。
「ジョブ型雇用」や「メンバーシップ雇用」といった雇用形態は、会社をうまく運営していく上での、「道具」でしかありません。良い「道具」を導入しても、使い方が不適切だったり、中途半端だったりすれば、良い結果は生まれないのです。
本質をきちんと捉えて、よくよく検討をしていくことが重要です。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
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この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
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どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
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いま再び注目を集めている「ジョブ型雇用」や「成果主義」は決して新しい考え方ではありませんが、これからの働き方を考える中では重要な要素です。 その実現のためにはジョブディスクリプション(職務記述書)が必要とされています。しかし、ジョブディスクリプションの策定や運用には、様々な課題も想定されます。 「働き方」「雇用のあり方」「管理のあり方」「評価のあり方」「給与・処遇のあり方」といった「考え方」そのものをどこまで変えるのか、といったことをよく考える必要があります。 今回は代表西尾から、これからの時代の働き方や評価についてお伝えしていきます。
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