2020.06.05
人手不足になってから採用を進める補填的人事はおすすめできません。
そもそもなぜ退職者・離職者が多い会社が出てきてしまうのでしょうか?
そして、補填的採用ではない対処法としては、どういったものがあるのでしょうか?
次々と退職・離職者が出ると、現場は人手不足に陥って業務がうまく回らなくなります。そして人手不足に陥ってから初めて、その状況を改善するために採用をする、つまり補填的な採用をやりがちです。
しかし、こうした場当たり的な採用はお勧めできません。退職者が多い会社であればとくに、退職者が出る原因を探り根本から対処していく必要があるからです。そこで今回は、退職・離職者が多い理由と退職者が出てしまった時の対処方法をご紹介します。
退職者が多い会社にはさまざまな共通点があります。全ての退職者が多い会社に全てのポイントが共通するわけではありませんが、一つの目安にはなるでしょう。
1つめは、人間関係が良くないということです。人間関係がギスギスしていれば、居心地が良いわけはありません。上司からの過度な叱責やハラスメントなを受けていたり、職場の雰囲気全体が沈んでいたりなど、さまざまなケースが考えられます。
2つめは、労働時間や休暇に対する不満を持っていること。毎日終電まで残業して、休日出勤も当たり前のような、長時間労働が常態化していると退職者は増えがちです。また、有給休暇が一切取れない、自由に取れないような状況も社員が不満を溜めやすくなる原因です。
3つめは、やりがいを感じられないことです。最近「やりがい」という言葉が独り歩きしていますが、本来のやりがいという言葉は、自分がしている仕事の意義や達成感につながります。仕事に意義や達成感がなければ、仕事に対する意欲もなくなっていってしまいがちなのです。また、キャリアアップを考えている社員であれば、やりがいがないということはこの会社において先が見えないということ。転職を考えるきっかけになり得ます。
4つめは、給与に対する不満です。給与が業務内容に見合っていない、そもそも残業代がでないなどのケースが挙げられます。給与は社員のパフォーマンスへの対価ですから、会社からの評価を数値化したものとも言えます。その数値が低ければ、社員は自分の頑張りを正当に評価してもらえないと思ってしまってもしかたがありません。
以上の4点が、退職者の多い会社にありがちな傾向です。ただ、「退職者が多いことは悪である」とすぐに断言することはできません。会社と社員がお互いに不満を抱えながら、なし崩し的に関係を続けるよりは、潔くすぱっと退職した方がよっぽど健全であるという見方もできます。
とは言っても、人手が減った分の業務をすぐに削減するのも容易なことではありません。そこで、どのようにリカバリーしたらいいのか、その方法をお伝えします。
このような状況に陥ったとき、すぐに思いつく対処方法が、減った数と同じ数の人を採用する、補填的採用です。一見すると、合理的で正しい方法のように思われます。ですが、人事のプロから見ると、それはかなりリスクを伴う方法です。
なぜなら、突発的に採用する必要がでてくると、採用することが目的になり、自社の社風や仕事内容が合わない人材を採用し、ミスマッチが起こりやすくなるからです。ミスマッチとは、会社と社員のそれぞれが違うゴールを目指している状態。これでは、会社が期待するような働きをせず、退職者の穴を埋めるどころか足を引っ張るような結果になりかねません。また、社員にとっても、仕事にやりがいを感じられず、自分を正当に評価してもらえなくなるので、仕事に不満を持ちやすくなってしまうのです。
すると、結局またすぐに退職する可能性が高くなります。また人材不足に陥りますので、新たな人材を採用しようとします。そしてまたミスマッチした人材を雇用してしまい・・・という負のスパイラルに陥ってしまうリスクがあるのです。とくに急いで採用を進めれば、ミスマッチが起こる確率は格段に上がります。
しかし、採用を行わなければ人手不足が解消されないのも事実です。では、業務が回らない状況を解決するためには、どのような施策が有効なのでしょうか?
最も適切な方法は、派遣社員やアルバイトなどの一時的な人材を活用する方法です。その結果、採用人数が若干増えたとしても、自社に合わない正社員を雇い続けるよりは、低コストで済みます。
ただ、専門性の高い職種の場合はなかなか派遣社員やアルバイトに任せることはできないでしょう。そこで、専門職に関しては業務委託をすることをおすすめします。専門職は給与も高くなりがちなので、採用に関してはとくに慎重な判断が求められます。焦って、自社に合わない人材を雇うよりも、業務委託で時間を稼ぎつつ、自社に合う人材をゆっくり探した方が得策です。
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ー「なぜ、あの人が?」
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資金不足を理由に人事制度の策定を先延ばしにする企業は少なくありません。
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まずは会社にとって人事制度がどのような存在なのかを理解してください。
360度評価とは、「上司が部下を評価する」という従来の評価手法とは異なり、部下や同僚なども人事評価を行う評価方式です。この手法を導入する場合、どのような点に注意したらいいのでしょうか? そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、リアルな事例から360度評価のメリット・デメリットについてお伝えします。
人事は時代や景気の波に左右されやすく、
時々によってあったりなかったりを繰り返してきました。
そのため経営層の中には人事の仕事に対して
良くない印象を抱いている人も少なくありません。
人事が経営層から信用されるためには何が必要なのでしょうか?
社員の育成に欠かせないキャリアステップ。
しかしいざ策定するとなると
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そこでキャリアステップ策定の方法や意識しておいてほしいことを、
前後編に分けてご紹介します。
総合人事コンサルティングのフォー・ノーツ株式会社は、代表取締役社長・西尾太の著書『この1冊ですべてわかる 人事制度の基本』出版記念特別セミナー【聞いた後でジワジワくる‼西尾太の「地味な」人事の話】を2022年11月17日、TKP東京駅日本橋カンファレンスセンターにて開催いたしました。本記事は、このセミナーの内容を再構成・加筆してお届けしています。今回のテーマは「制度づくり」。職位制度・評価制度・給与制度の大事なポイントを簡単に説明します。
人事1年目について、フォー・ノーツ代表の西尾がお話します。
1年目というのは、仕事についてもまだまだ分からないもの。
新人の人事は何をして、どんなことに気を付けるべきなのでしょうか。
社員から人事評価について不満が出てきた時、それは「問題点を洗い出すチャンス」でもあります。社員の側に立って話を聞くことで不満の原因はどこにあるのかを探し出します。伝えてもらえるのは良いことなのだと思い、しっかりと向き合うことが大切です。
管理職って評価することはあっても評価されることはないと思っていませんか?
実は管理職であっても、評価基準やコンピテンシーは存在します。
会社が管理職に求めているコンピテンシーを理解して、
もう一歩先のステージへ挑戦しましょう。