2019.12.27
現状維持を好む安定志向の若者が増えてきていると言われています。
その考え方は本当に「安定」につながっているのでしょうか?
そして、現状維持を好む若手の成長を促したい場合、
人事担当者・経営者がすべきこととはなんでしょうか?
以前の日本では、「都会に出て大手企業に就職しお金を稼ぐ」ということが憧れの対象でした。もちろんこのような、いわゆる「上昇志向」を持っている人がいなくなったわけではありませんし、また、上昇志向が絶対に正しいということでもありませんが、このような野心を持つ方は徐々に減ってきていると言われています。
「上昇志向」に対して「安定志向」とも言えるそのような考えを持っている方が望むのは「現状維持」です。同じ給料のままで、同じ仕事をし、毎日同じ生活を送る――確かにその生活は、「究極の安定」と言えるかもしれません。
ただ、「現状維持」を望み毎日同じことをし続けることは、果たして本当の意味で現状維持につながっているのでしょうか?
社会は、変化の連続です。誰も思いつかなかった新しい製品が生まれ、たくさんの流行が生まれて消え、オリンピックなどの競技大会では常に世界新記録が狙われ、新たな技術を生み出すべく様々な研究がなされています。その変化の連続の中で、「常に同じ仕事をし続けること」は果たして現状維持につながるでしょうか?
たとえば、今まで人の手で行われてきた様々な事務作業は、だんだんとRPAやAIなどのツールによる処理を多くの企業が検討し、実際に導入している企業も増えてきています。その背景には人材不足もありますが、一人分の人件費を払うより遥かに安い料金で利用できるツールと検討すれば、ツールに切り替えようと考えるのも無理はありません。仕事をRPAやAIに奪われた社員がどうなるのか・・・そこからはその社員のモチベーション次第、と言えるでしょう。
いささか極端な例を出しましたが、たとえ仕事を奪われる立場にいなくても安定志向は社会に適応できなくなっていく可能性が高いです。
安定志向を持っている方は貯金を好みます。若いうちから生活費や交際費を切り詰め、とにかく将来に備えてお金を貯めておくことが安定につながると考えているのです。そのような考え方で貯金をしている方は、自分の経験やスキルのための消費もしない傾向があります。つまり、お金は溜まっていくものの、自分自身の成長はほとんど(あるいは全く)できていない状態です。一方、上昇志向のある方は、自分への投資を惜しまず、どんどんスキルを身に着け経験を積みます。その結果自身のできることが増え、企業内においては昇進したり給与が上がったり、また、転職してもっと収入がアップしたりするのです。
上昇志向を持つ同僚は自分より偉くなっていきます。後輩も、気づけば自分の立場を抜かしています。果たしてこの状態は「現状維持」と呼べるでしょうか?そしてそのような成長しない社員を、企業は何も言わずに雇用し続けるでしょうか?
もしかしたら「うちの会社は年功序列の給与体系だから、仕事はそれなりでも大丈夫」と考えている方もいるかもしれませんが、私たちは、年功序列の給与体系は近い将来に破綻すると考えています。なぜなら、高年齢の給与を支える若者の数そのものが減ってきているからです。年功序列の給与体系が破綻した会社で、あなたは働けるのか。もし転職が必要になった場合、経験もスキルもない人間をどれだけの企業が雇ってくれるのか。そう考えると、現状維持は安定には程遠いと言えるでしょう。
さて、ここからは人事担当者・経営者目線のお話をしましょう。社員のモチベーションが上がらない。面談などで聞き取りをしてみても「偉くなりたくない」「今のままでいい」と答えられてどうすればいいかわからない。成長の大切さを説いても行動に移してくれない。そのようなお話はよく耳にします。
なぜ以前と比べると上昇志向を持っている若者が少なくなっているのかは諸説あると思われますが、一言で「成長」と言ってもどのようなことをすればいいのかわからない、という方は多くいらっしゃいます。そこで、評価制度を用いて成長のためのステップを「見える化」することは有用です。本人が何をすればよいかわかりやすくなるのと同時に、上司もどのように管理していけばよいかの方向性が見えるようになります。
日常的に自身の成長について考え、マネジメントされるようになれば本人の意識にも変化が訪れるはずです。ぜひこの機会に評価制度を見直してみてください。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
今の日本には仕事そのものにモチベーションを持てない人がたくさんいます。
その理由は「働くこと」を押し付けられていると感じているから。
解消するには「目の前に広がる選択肢に気づいてもらい、
どれかを自発的に選んでもらう事」が重要です。
会社がある程度の規模(社員数50〜100名程度)に成長してくると、評価や給与に不満を感じる社員が増え、優秀な社員ほど離職してしまう傾向が見られます。そんな状況になったときに必要となるのが、評価制度や給与制度などの人事制度です。しかし、人事制度の失敗例は、数限りなくあります。制度は運用できなければ意味がありません。なぜ制度を導入しても失敗してしまう企業が多いのでしょうか?
社員の育成というと「研修」を思い浮かべる方が多いですが、
実は研修よりも効果的な育成方法があります。
それは、現場を理解した上での評価制度の策定及び改善です。
テレワークであっても成果を出すために、社員の働き方を監視する「監視ツール」を導入する企業が増えています。しかし、監視ツールを導入するよりも重要なのは、「適度なルール」と社員との「大人の関係」。
今回は、テレワークにおける人事管理の大事なことについてお話します。
人事は、人員計画・配置・採用・給与・厚生・育成・評価といった分野と、それぞれに戦略、企画、運用、オペレーションという機能があり、幅広い分野の領域に関わる職種です。一領域の人事担当者からマネジャー、人事責任者になるには、何をどのように学べばいいのでしょうか?本記事では、担当者レベルから人事責任者を目指すために重要なポイントを「人事の学校」主宰・西尾太が解説します。
転職市場が活性化している昨今、「出戻り制度」を設ける会社が増えています。
しかし、人事担当者は安易にこうした制度に飛びついてはいけません。メリットとデメリットを理解して判断することが重要です。
人事にエースを配置する企業はそれほど多くありません。
しかし、会社が成長し続けるかぎり、社内に顔が広いエースに
人事全体を引っ張っていってもらわなければならない瞬間が必ず訪れます。
「人事の仕事」と言われてすんなりイメージできる人は少ないはず。
その理由は、人事の仕事の特性と会社の求めることとのギャップにありました。
このギャップに気づけないと、
会社からの期待に応えられない人事担当者になってしまうかもしれません。