2026.04.28
人事マネージャーには、最低限持っているべきコンピテンシー、スキル、知識があります。なかでも重要なのは、コミュニケーションに関するスキルです。マネージャーはメンバーよりも強い「発信力」「受信力」、さらには「説得力」が求められます。人脈づくりにも大きく影響する、この3つの能力について見てみましょう。

人事マネージャーに必要なコミュニケーションスキルといえば、まずは「発信力」です。マネージャーとは、小単位の組織を率いる、あるいは自己の専門性を活かしながら周囲を巻き込むレイヤー(階層)。否応なく自分ひとりでは済まされません。マネージャーには一般の担当者より強い発信力が求められますが、人事マネージャーになると、より一層そのスキルが重要となってきます。
経営者から新入社員まで、ありとあらゆる階層・部門・拠点の人たちと広く深く関わっていくことが、人事マネージャーの仕事です。人事評価、人材育成、人事異動など、あらゆる場面で、上司の部長に対してはもちろん、経営層や現場の管理職に対しての大きな発信力が望まれます。
人事マネージャーにとって重要なのは、どんな相手に対しても伝えたいことを効果的に伝え、理解と共感を得られるプレゼンテーション力を磨いていくことです。
社長に何かを伝えようとしても、相手は多忙です。時間をとってもらおうとしても「1分」とか「エレベーターの中だけ」なんて言われてしまうことも珍しくありません。以下のポイントに留意し、簡潔かつ的確に物事を伝えるコミュニケーション力を身につけましょう。
・わかりやすく、はっきりと、要点を効果的に伝える
・プレゼンテーションツールや技法を効果的に用いて賛同を得る
・聞き手の理解と共感を得ながら、伝えるべきことを伝える
人事マネージャーは、積極的で能動的な「受信力」も必要です。話したくない人からも、話をしない人からも、話を聞かなければいけないのが人事の仕事。受動的な態度では、社内のあらゆる人たちから話を聞き出すことはできません。受信力を高めるには、次のような“傾聴”のスキルを身につけることが大切です。
・相手の口が重いときには、「はい」「いいえ」で答えられる簡単で限定的な質問から始める
・相槌やうなずきを交えながら、話の大事なところでその都度、相手の考えや想いを引き出す
・相手の言いたいことを正しく理解するために、話のポイントごとに要約する
・自分の価値観を混ぜずに、相手が話した内容を言い換えながら、徐々に質問の幅を広げていく
傾聴のスキルは、受信力のなかでも難易度の高いコンピテンシーですが、人事マネージャーには不可欠です。重要なポイントは、相手が「自分の考えや想いを理解してくれた」と思う状態になるまで「聞きつくす」こと。その人は「なぜそう言っているのか」「背景にあるものは何か」と考えをめぐらせ、相手が伝えたいことをこちらが理解できるまでじっくり話を聞いていきます。
傾聴には、「相槌」「うなずき」「要約」「言い換え」をはじめ、「限定質問」「拡大質問」「関連質問」などの体系化されたスキルがあります。これらを身につけ、相手の想いを引き出すことで、信頼関係を確立しましょう。
交渉の場面では、相手から同意を取りつける「説得力」が重要になってきます。説得力とは、傾聴と発信によって相手からの信頼を得て、その考えや行動を自分が意図した方向へ変えていくことです。
自分がやろうと思っていることを、相手に納得してもらったうえで実行してもらうためには、発信力と受信力の両方が必要になります。重要なのは、相手のメリットも伝え、合意が形成できるポイントを提示すること。
交渉を続けながら、適切なタイミングでクロージングを働きかけ、結論が出ない場合は、それが滞る理由を明らかにして問題を払拭したうえで説得する。傾聴力とプレゼンテーション力をそれぞれ発揮したうえで、Win-Winを示し、合意を形成していく。
「説得力」は、非常に高度なスキルですが、人事マネージャーには必須です。相手が納得していなければ、強引に同意させているだけで「説得力」とはいえません。
論理や客観性だけで押し通すのではなく、相手から感情的な否定をされないよう理解を示す。相手の話をよく聞き、想いや立場を理解したうえで自分の考えを伝え、自分が意図した方向へと導いていく。
このような説得力のスキルを高め、社内のキーパーソン(決定に影響を持つ人)と人脈を築けると、「あいつが言っているならしょうがない」「そこまで言うならやってみよう」と言われるようになり、実行の許可ももらいやすくなります。そして、コミュニケーションの総量を減らしても相手を説得しやすくなります。
多くの人脈を築くためには、相手のメリットになる情報を提供することや、人と人をつなぐ場を設けるなどの努力が不可欠。「説得力」のスキルアップは、人脈づくりにも役立ちます。以下の行動リストを参考にして、多くの人と関係性を深め、いざというときに頼りになる人間関係を築いていきましょう。
【OKな行動】
□ 双方のWin-Winを示し、合意形成する
□ 相手のニーズをとらえた的確な提案により、同意を得られる
□ 相手の不安を払拭し、説得に成功する
【NGな行動】
□ 相手にとってのメリットが見えない、相手が拒絶する状況をつくってしまう
□ 相手のニーズをとらえない一方的な提案を繰り返し、説得できない
□ 相手の不安が増幅し、説得に失敗する

人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?

中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。

ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!

テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。

人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
日本企業はなぜ年功序列から脱却しなければいけないのでしょうか? 90年代のバブル崩壊からながらく脱年功序列、脱日本型雇用が掲げてられていましたが、結局ほとんどの企業は年功序列を脱し切れていません。企業を破滅に導く「年功序列」の弊害を改めて考えてみましょう。 総合人事コンサルティングのフォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP )の著者・西尾太が、年功序列の現状と課題についてお伝えします。
管理職の能力が不足している、期待した成果を出してくれない。そんな場合、人事はどのように降格を伝えたらいいのでしょうか? 年功序列の撤廃、ジョブ型の導入などによって、今後、人事は管理職に降格を伝える場面が増えていくでしょう。そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、降格人事の伝え方と、管理職の降格基準についてお伝えします。
いま再び注目を集めている「ジョブ型雇用」や「成果主義」は決して新しい考え方ではありませんが、これからの働き方を考える中では重要な要素です。 その実現のためにはジョブディスクリプション(職務記述書)が必要とされています。しかし、ジョブディスクリプションの策定や運用には、様々な課題も想定されます。 「働き方」「雇用のあり方」「管理のあり方」「評価のあり方」「給与・処遇のあり方」といった「考え方」そのものをどこまで変えるのか、といったことをよく考える必要があります。 今回は代表西尾から、これからの時代の働き方や評価についてお伝えしていきます。
新卒社員の「配属ガチャ」による早期離職が話題になっています。本人の希望を叶える人員配置は、人事担当者の重要な役割です。強い企業は、どのように人事異動を行っているのか、そもそも人事異動の目的とは何なのか。人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、企業における人材育成という観点から深掘りします。
人事異動を拒否する人が稀にいます。拒否するにはそれなりの理由があるはずです。人事部はどのように対応したらいいのでしょうか? 今回は「人事異動」シリーズ第2回。『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、人事異動を拒否された際の正しい対処法について紹介します。
人事部門とは会社の将来を決める「人材」に関する部署。
だから、あるべき姿は経営者と同じく長期的な視点で仕事に取り組むことなんです。
人事10年目は経営と現場の橋渡しとして、会社の将来をより良い方向に導いていくことが求められます。
人事マネージャーには、最低限持っているべきコンピテンシー、スキル、知識があります。人事評価や人材育成、人事異動など、さまざまな課題を解決するための“意志決定”は、その重要なひとつ。意志決定のプロセスでは、「情報収集」「問題分析」「解決案の提示」の3つのコンピテンシーが必要になります。
総合人事コンサルティングのフォー・ノーツ株式会社は、代表取締役社長・西尾太の著書『この1冊ですべてわかる 人事制度の基本』出版記念特別セミナー【聞いた後でジワジワくる‼西尾太の「地味な」人事の話】を2022年11月17日、TKP東京駅日本橋カンファレンスセンターにて開催いたしました。本記事は、このセミナーの内容を再構成・加筆してお届けしています。今回のテーマは、「会社が社員に求めるものとは?」。人事制度の構造とキャリアステップについて解説します。