2026.04.28
人事マネージャーは、最低限持っているべきコンピテンシー、スキル、知識があります。人を育てる「ヒューマンマネジメント」は、その重要なひとつ。愛のない人事評価は、本人だけでなく、企業の成長機会も奪います。人事マネージャーは「人材発掘・活用」のスキルも求められます。人材育成について改めて深掘りしてみましょう。

マネジメントには「タスクマネジメント」と「ヒューマンマネジメント」という2つのベクトルがあり、それぞれ求められる能力が異なります。タスクマネジメントは、目標達成に向け、計画を立案し、進捗を管理し、計数も管理しながら、成果を上げていくこと。チームのPDCAサイクルを回し、段取りよくタスクを実行していきます。
一方、ヒューマンマネジメントは、人を育てること。マネージャー層は、部下のタスク管理だけが仕事ではありません。一人ひとりのメンバーのキャリアビジョンやライフビジョンを把握し、その実現のためにメンバーと一緒に能力開発計画を立て、どうすべきかを考える「人材育成」というコンピテンシーが求められます。
メンバーは3年後、5年後にどうなりたいと思っているのか、何を目標にしているのか、キャリア上の悩みは何かを把握し、課題や克服方法について適切にアドバイスをしていく。
「人事評価」は、人を育てる有力な手段のひとつです。適切な評価を行い、フィードバックをし、個々の強みや課題点を明らかにし、個別の目標設定を促し、それぞれの知識の向上を積極的に支援していきます。
人材育成の大事なポイントは、褒めるべき点は褒め、改善すべき点は改善するように求めること。どう改善すればよいのか、それをアドバイスするのがマネージャーの仕事です。部下ができていることを認めて、褒める。足りないところは指摘し、認識させ、改善策を一緒に考える。
評価制度は、人を育てるための仕組みです。仕事に必要な行動やスキルを細かく分解していけば、褒めるべき点と改善すべき点が明らかになっていきます。
ただし、人を評価するのは簡単なことではありません。時間も手間もかかります。そのため、すべての項目を標準評価の「A評価」にしている評価者が少なくありません。そんな無難で手抜きともとれる評価結果で、部下は成長できるでしょうか。人には必ず凸凹があるもの。何のメリハリもない手抜きの評価結果では、必死に頑張ってきた部下に対して、何が良かったのか、悪かったのか、何ひとつメッセージとして伝わりません。
評価制度を導入しても、社員が成長しない、あるいは形骸化している企業には、このような傾向が多く見られます。
「目標達成に向けて努力していた」「よくやっていた」「問題なし」といった具体性に乏しい漠然としたコメントばかりというケースもよくあります。評価が抽象的だとフィードバックも抽象的になり、部下は何を伸ばせばよいのか、何を改善したらよいのかわからないばかりか現状維持でよいのだと勘違いをします。そうなると、もはや次への成長は望めません。
フィードバックは、部下にとって最も大切な成長の手がかりです。部下と真剣に向き合わない“愛のない評価”は、部下の成長の機会を奪っていることとイコール。近年の若い世代は、成長できる環境を求める傾向が強く、そうでない企業は離職する人も少なくありません。“愛のない評価”は、自社の成長機会も奪っていることにほかならないのです。
上司との関係なくして部下の成長はありません。愛のない評価を下す上司に信頼を感じる部下もいません。その判定が信頼できる言葉でフィードバックされなければ、部下の成長につながりません。“愛”を持ってメンバーを評価し、強みも弱みも指摘する。これが人材育成における、もっとも重要なポイントです。
また、人事マネージャーは、各現場で評価のフィードバックが確実に実行されるよう人事担当者に伝えることも重要です。すべての社員にアンケートをとってフィードバックの実情を追跡調査するなどして管理職にフィードバックの重要性を伝え、すべての社員の能力を最大化するように主体的に動いてもらうよう指導する必要があります。
評価フィードバックは、人材育成の要。場合によっては、評価者の上司(部長・役員・社長など)にも評価会議に同席してもらうなどの打ち手を講じていく必要があるでしょう。その評価に「愛」はあるか。そこに注視し、評価と育成を直結させる仕組みを取り入れていきましょう。
人事マネージャーは、自部署のメンバーだけでなく、社内外の優秀な人材を見極め、より能力を発揮できる機会を与える「人材発掘・活用」のコンピテンシーも求められます。「人材発掘・活用」は、他職種では部長以上に求められるレベルの高いコンピテンシーですが、人事の場合はマネージャーになったら必要です。
社内の優秀な人材は、半期に一度の評価会議に参加すればおおよそ把握できますが、直属上司の評価がすべてではありません。多くの人と交流して、社員の動向をキャッチし、優れた人材を見極め、活躍する機会を与えていきましょう。
社外の優秀な人材を引き抜く場合は、待遇面だけでなく、夢やビジョンで惹きつけられる自分自身の魅力も必要です。また、「自社に合うかどうか」も大事なポイント。優秀な人材を外部から採用できても、自社に合わなければ、すぐに辞めてしまいます。自社の情報もしっかり相手に伝えることが、採用のミスマッチを防ぐ有効な手段となります。
「人材発掘・活用」で重要なのは、決して主観だけで判断しないこと。人には当然、好き嫌いがあります。個人的な「好き嫌い」と「優秀か否か」は、分けて考えなくてはいけません。「好きだけど、仕事はいまいち」「嫌いだけど、仕事はできる」と、客観的に判断することが必要です。
また、優秀な人材は、個性的で非常識な人が多い傾向があります。採用に成功しても社内で軋轢を生む場合もあります。採用すべきかどうか迷ってしまう人材は、社長の判断に委ねることも必要になるでしょう。
ヒューマンマネジメントは、人事マネージャーにとって極めて重要な職務です。社内外の多様な人材の内面や実力について知見を深め、組織全体に人材育成を働きかけ、将来性のある人材を育てる仕組みを構築していきましょう。

人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?

中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。

ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!

テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。

人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
人事部門が優れている企業ほど、業績がいいことをご存知でしょうか。人事担当者の優劣は、実は企業の業績や成長力に大きく影響しています。では、優れた人事担当者を育てるには、どのような教育が必要なのでしょうか? そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、人事向けの研修に必要なカリキュラムを解説します。
人事5年目に必要なことを、フォー・ノーツ代表の西尾がお伝えします。
人事5年目ともなれば仕事ぶりも板についてきたはず。
このフェーズでは今やっている仕事に意味や理由を、
周りに説明できる能力が求められます。
さらにステップアップしたいという方は、5年後、10年後の会社の姿を考えて、
それまでに何が必要かを考えて行動してみましょう。
あなたの会社では、「給与」をどのようにして決めていますか? 私たちが主宰している学習プログラム「人事の学校」を受講している経営者や管理職には「給与の決め方がよくわからない」という方が多くいます。給与の決め方は、「何」を大事にして社員を評価するかによって異なります。今回は、知っているようで意外と知られていない「給与の決め方」について解説します。
いま再び注目を集めている「ジョブ型雇用」や「成果主義」は決して新しい考え方ではありませんが、これからの働き方を考える中では重要な要素です。 その実現のためにはジョブディスクリプション(職務記述書)が必要とされています。しかし、ジョブディスクリプションの策定や運用には、様々な課題も想定されます。 「働き方」「雇用のあり方」「管理のあり方」「評価のあり方」「給与・処遇のあり方」といった「考え方」そのものをどこまで変えるのか、といったことをよく考える必要があります。 今回は代表西尾から、これからの時代の働き方や評価についてお伝えしていきます。
部下とのコミュニケーションは、上司にとって普遍的な悩みです。人事評価のフィードバックでも「部下と何を話したらいいかわからない」という声を多く聞きます。そこで今回は、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、その解決策となる支援ツールを紹介します。
学生が企業を「選択する」立場となった就職活動。しかし、多くの学生は選ぶ基準が分からずブランド力や知名度のある企業に流れてしまいがち。そんなときに試されるのが採用担当者の”営業力”です。
人事にとって「離職」は悩みの種の1つです。採用難に加えて「定着せずに辞めてしまう」という課題が、人手不足をますます深刻にしています。離職率が高いのは、いわゆるブラック企業に限りません。近年はホワイト企業であっても辞める若手が増えています。その根本的な原因を探ってみましょう。
このたび、代表西尾の著書「人事の超プロが明かす評価基準」が増刷となりました。