2025.04.02
いい人が採れない。定着しない。すぐ辞めてしまう…。採用活動が成功しないときは、ぜひとも見直していただきたいポイントがあります。それは自社が発信している採用広報の情報です。実は、ここがズレてしまっている会社が多いのです。その採用メッセージ、求める人材に届いていますか?
私たちは多くの経営者や人事担当者の皆さんから「人」に関する相談をいただきます。お悩みはさまざまです。まずは「採用」に関するもので、「いい人が採れない」という問題です。次に、入社後に関するもので「定着せずに辞めてしまう」という問題。そして「育たない」「成長しない」という問題です。
人が採れない、辞めてしまう、育たない…。これらの問題にはいろいろな理由が考えられますが、最近気になっているのは、求める人材像と採用メッセージがズレているケースです。
ある会社の社長は、「コア人材」を求めていました。しかし、新卒採用ページには「こんなに休める会社だと思いませんでした」といった内容の座談会が載っていました。それを見た当社でアルバイトしていた学生が「いい会社ですね」と言うので、私は思わず「君は“休むため”に就職するのか」と言ってしまいました。
これが、求める人材像と採用メッセージがズレている典型的なパターンです。
採用活動で重要なポイントは、まずは求める人材像を明確にすること。そして、適切なメッセージを発信すること。私たちは、求める人材を大きく4つのタイプに分けて考えることを推奨しています。
それは、コア、スペシャリスト、オペレーションマネージャー、オペレーター。これらは求められる働き方もライフスタイルも異なります。そのため、発信すべき採用メッセージも大きく異なります。どのように異なるのか、それぞれ確認してみましょう。
●コア
組織を通じて変革と価値創造を行う人材です。企業や事業の方向性を打ち出し、新たな価値を創造しようとし、それを実現します。経営層およびその候補も言えます。
●スペシャリスト
特定の領域で高い価値観を提供する専門性の高い人材です。個人として変革と価値創造を行います。社内育成だけでなく、外部活用も多く見られます。
●オペレーティングマネージャー
組織を運用・管理する人材です。店長・職長などを指します。決められたことを組織で遂行するのがおもな業務。いわゆる一般的なサラリーマンの管理職ともいえます。
●オペレーター
定型的な業務を運用する人材です。マニュアルなどの手順があり、想定された結果を出すことが求められます。正社員とは限らず、アルバイトなどを活用する場合もあります。
オペレーティングマネージャーやオペレーターは、やるべきことが決まっています。そのため、仕事には一定の「終わり」があります。オペレーティングマネージャーは、オペレーターが足りないときなどに休日出勤するようなケースもありますが、比較的ワークライフバランスを大切にできます。オペレーターは、決められた時間で働くため、プライベートを優先した生活ができます。
求める人材がオペレーティングマネージャーやオペレーターでしたら、年間休日の多さや残業の少なさ、福利厚生の充実など、「オン・オフが明確になっている企業」という採用メッセージを発信することが、応募者の増加につながり、採用後のモチベーション維持・向上にも効力を発揮するでしょう。
「こんなに休める会社だと思いませんでした」という社員のコメントを見て、学生が「いい会社ですね」と言ったことは、まさしくそれを象徴しています。しかし、求める人材がコアやスペシャリストの場合は、ワークライフバランスの実現をアピールするような採用メッセージは、むしろ逆効果です。
コア人材は、常に情報を収集し、分析し、新たなことを企画し、人を巻き込みながら実現していくため、仕事中心のライフスタイルでなければ生き残れません。答えが見えないわけですから、その仕事にキリはありません。厳しい生き方ですが、結果を出し続けることができれば、高収入を得られます。
スペシャリストも、価値を出し続けるには、新たなスペシャリティを身につけ続けなければなりません。答えが見えない仕事も多く、ライフスタイルは仕事中心となります。
コアやスペシャリストは、新たな価値を出し続けることが求められるため、仮にプライベートがあったとしても、いつも仕事のことを考えているような「ワークライフブレンド」型のライフスタイルが必要となるはずです。そういう働き方を志向する人材でなければ、すぐに辞めてしまい、成長も期待できないでしょう。
私はベンチャーで採用担当をしていたとき、「新卒採用はコア人材候補を想定」としていました。そのため新卒採用広報においては「ハードワークをしたい、できる、コアを目指したい人材」を求めるということを伝え、それに応えてくれた人たちに入社してもらいました。
どのような人材に来てほしいか、残ってほしいかによって、採用広報におけるメッセージは大きく異なります。「18時に帰社してスポーツクラブに行けます」「仕事とプライベートのメリハリをつけて働けます」といった、ワークライフバランスをアピールした採用メッセージでは、コア人材やスペシャリストの採用も育成も難しいのではないでしょうか。
コア人材には「ハードワークだが経営を担うチャンスがある」、スペシャリストならば「たいへんな仕事だが専門的知識・技術を身につけられる」といったメッセージを発することが必要です。
あなたの会社では、どのような人材を求めていますか? 仕事への適性はもちろんですが、志向するライフスタイルも踏まえて、求める人材像を明確にし、適切なメッセージを考えていきましょう。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
上層部と現場の板挟みという人事担当者って多いですよね。
この状態ではどんな施策を打っても現場で働く社員との溝は深まるばかり。
場当たり的な人事制度ばかりになってしまい、「ブレて」しまうからです。
ブレる人事制度を生み出さないためには、人事ポリシーの策定が欠かせません。
今回は人事担当者が持っておくべき心構えについて、
フォー・ノーツ代表の西尾がお話いたします。
人事部に配属されてまだ日が浅いうちは、目の前の仕事で精いっぱいかもしれません。
そんなときには心構えを思い出して、必要なことを再確認してみて下さい。
戦略、企画、運用、オペレーション、そして、人員計画、採用、異動、労務、評価、給与、規程、教育研修など、業務の幅が非常に広い人事職。人事担当者は、どのように学習し、キャリアを構築していったらいいのでしょうか?本記事では、新任担当者から主力メンバーになるまでのキャリア構築の方法を「人事の学校」主宰・西尾太が解説します。まずは反面教師として「イタイ人事担当者」について知っておきましょう。
テレワークが主体となっている企業において、新入社員研修の新たな方法が求められています。会社の事業理解やマナー研修、ビジネス基礎知識に関する研修などについて、リモート時代に求められる人事のの取り組みはどのようなものなのでしょうか。そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、テレワークにおける人材育成の方法について提言します。
人手不足が深刻化する現在、企業の約8割(82.9%)が2024年に賃上げを実施予定だといいます。「うちは給与が安いので人が採れない」「給与が低いので人が辞めてしまう」「給与を上げたいのはもちろんだが、現実的には厳しい」とおっしゃる経営者が多くいます。しかし、給与を上げれば人が採用でき、定着し続けてくれるのでしょうか。今回は、この問題を深掘りしてみたいと思います。
2009年の開講以来、述べ5000人以上の人事担当者が受講し、「人事の原理原則を体系的に学べる」と人気の講座「人事の学校」がリニューアルしました。2022年5月18日より新たにeラーニングサービスを開始。PCやスマートフォン、タブレットなど各種デバイスで受講可能となるなど、人事担当者がより気軽に学習できるよう生まれ変わりました。本記事では、「人事の学校」主宰・西尾太にインタビュー。リニューアルの理由や人事担当者の皆さんへのメッセージをお伝えします。
評価制度の導入は会社にとっての変化。
中には良く思わない人もいるかもしれません。
しかし、だからといって引き下がると制度の導入が進められないばかりか、
人事が“なめられる”原因になってしまいます。
人事の仕事というのは売り上げ・利益に直結するものではありません。
そのためか、人事担当者には「会社に貢献している」という意識が低いようです。
今回は人事対象者を対象に行われたアンケートを参考に、人事担当者の現状とあるべき姿を見ていきます。