2024.07.03
「年下上司と、どのように付き合ったらいいのでしょうか?」50代の方々から、このようなご相談をよくいただきます。かつての部下や後輩が出世して自分の上司になってしまう。たしかに悩ましい問題ですよね。そこで今回は「年下上司との上手な付き合い方」について、お伝えしたいと思います。
「年下上司と、どのように付き合ったらいいのでしょうか?」
50代の方々から、このようなご相談をよくいただきます。かつての部下や後輩が出世して自分の上司になってしまう。たしかに悩ましい問題ですよね。
そこで今回は「年下上司との上手な付き合い方」について、お伝えしたいと思います。
まず大事なのは、年下上司と一回、腹を割って話し合うこと。年上部下が「年下上司はやりづらい」と思っているのと同じように、年下上司も「年上部下はやりづらい」と思っています。
実際30〜40代の方々からも「年上部下とは、どのように付き合ったらいいのでしょうか?」というご相談を同じように多くいただきます。お互い、同じ気持ちなのです。
ですから、まずはサシで飲みに行くことをおすすめします。飲みニケーションは古いと言われていますし、コロナ禍も続いているため難しい状況ではありますが、1対1で腹を割って話すことで人間関係やコミュニケーションが深まることは実際にあります。
年上部下と年下上司が良い関係を築くためには、まずはお互いに最低限のリスペクトを持つことが必要です。それぞれが歩んできた道や、これまでやってきたこと敬意を持てるように、まずは一度、心を通じ合せる活動をしてみてください。
年上部下はマネジメント力では年下上司に劣るかもしれませんが、何かがあるから、今もそこにいるわけです。年下上司もすべての面で優れているわけではありません。それぞれの得意分野や役割に対して敬意を持って、人間関係を築く。まずはここから始めましょう
では、実際にどのような関係を築いていけばいいのでしょうか?
上司をうまく使い、うまく使われる関係を目指しましょう。
これは50代に限った話ではなく、部下は上司に使われているようではダメです。部下は、上司をうまく使うことが重要です。上司には、次の7つの役割があると言われています。
【上司の7つの役割】
・キャリア・コーディネーター(キャリアの相談に乗る)
・アセッサー(評価をする)
・スタンパー(承認をする)
・トラブルシューター(トラブルを処理する、謝罪する)
・ハイパープロフェッショナル(ノウハウを教える)
・コ・ワーカー(部下ができない仕事を代わりにする)
・ネットワーカー(仕事に必要な人脈を紹介する)
上司には、これだけのことをする役割があるのです。部下にしてみれば、キャリアの相談に乗ってくれて、自分を評価して良い点と改善点を教えてくれて、やりたいことを承認してくれて、いざとなったら謝ってくれて、ノウハウも教えてくれて、難しいことは代わりにやってくれて、仕事に必要な人も紹介してくれる。しかもすべて無料です。
部下にとって上司は、非常に使い勝手のいい存在なのです。上司が年下の場合、すべてというわけにはいかないかもしれませんが、うまく使えば、あなたのやりたいことを実現させてくれる、めちゃくちゃ便利な存在です。これを使わない手はありません。
もちろん上司を使うだけでなく、上司にうまく使われることも重要です。いちいち指示を待たず自ら動く。上司に確認だけ取ったら「じゃあやっとくわ」と率先して行動する、余計な面倒はかけず、上司の仕事を助ける。そして、年下上司の相談にも乗りましょう。
年下上司も楽ではありません。年下上司が困っているときは、相談相手になってあげるのです。相手のほうが立場は上でも、年齢も経験もこちらが上。「そういうときは、こうしたらいいんじゃないの?」と助言してあげられることが何かあるはずです。年下上司の良き相談相手になることも、年上部下の重要な役割です。
また、年下上司の上長が出世した自分の同期ということもあるでしょう。そういう場合は「あいつ同期だから俺から言っとくよ」「一本電話入れとくから、あとで相談に行ってみな」などと言ってあげるのもいいと思います。そういうことができる年上部下はカッコよくないですか? 年下上司にとっても頼もしい存在になるはずです。
上司と部下は、組織における役割でしかありません。学校でいえば、相手は学級委員、こちらは飼育係、その程度の違いと考えてみてくだい。同級生が困っていたら助けるのは当たり前。まして相手は年下の後輩です。相談に乗ってあげたり、フォローしてあげるのは、先輩として当然の務めなのです。
後輩が上司になったからといって、自分を卑下する必要なんてありません。萎縮する必要もありませんし、遠慮する必要もありません。自分のできることや得意なこと、これまでの経験や人脈を活かして、お互いに助け合える関係を築いていけばいいのです。
「部下や後輩が出世して上司になった場合、今まで通りタメ口でもいいのでしょうか?
呼び方も変えたほうがいいのでしょうか?」
50代の方々から、このような悩みもよく伺います。部下や後輩が上司になったらタメ口から敬語に変えた方がいいのか? 呼び捨てをやめて「さん」付けで呼んだほうがいいのか?
会社の雰囲気や相手との関係性にもよりますが、私はタメ口のままでいいと思います。
多くの人々の前など、丁寧な言葉を使った方がいい場面もあるかもしれませんが、1対1の会話だったら、これまで通りの話し方でいいのではないでしょうか。
呼び方も「〇〇課長」などと役職をつけて呼ぶのはありですが、普段の会話では「〇〇さん」と敬称をつけたりせず、これまで通りの呼び方でいいと思います。
相手が出世しても、先輩・後輩の関係は変わりません。急に態度を変えたりせず、これまで通りの関係を続けることが私は理想だと考えます。年下上司にしても立場が変わったからといって、先輩が急に態度を変えたらしんどいのではないでしょうか?
上から目線で年下上司を馬鹿にしたり、「俺の後輩なんだからな」みたいな偉そうな態度をとるのはNGですが、立場をわきまえながら、普通に話したらいいのではないでしょうか。「俺はこう思うけど、お前はどう思う?」そんなスタンスで全然OKだと思います。
年下上司にしても、立場が上になったからといって急に威張り出したりするのはどうかと思います。年上部下が急に態度や呼び方を変えたら「いやいや、そのままでいてください」「さん付けなんてしないでください」と伝えることも、年下上司の大事な役割です。職位というのは、役割の違いであって、偉さの違いではないのです。
今、定年後再雇用制度によって60歳を過ぎて定年になっても多くの人が再雇用されることが現実的に起こっています。65歳以降も努力義務になっていますから、役職から外されてプレイヤーとして働く中高年がどんどん増え、年上部下は今後ますます増えていくでしょう。
これからは会社全体として、あるいは社会全体として、年上部下と年下上司がお互いをリスペクトし合い良い関係を築いていくことが望まれていくはずです。サッカーの三浦知良選手も50代になってもプレイヤーとして活躍しています。おそらく年下のコーチとも良い関係を築いているのではないでしょうか。50代は、そんな働き方を目指していきましょう。
次回につづく
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
会社はあなたを不要と判断したとき、どんな動きをするのか。前回は中高年のリストラ回避法についてお伝えしましたが、今回はこのテーマについてもう少し深掘りしてみましょう。 この人は給与に見合った働きをしていない、このまま会社にいてもらっては困る。会社がそう判断したときの最初の動きは、「解任」と「異動」です。
40代・50代になっても、ビジネスパーソンは学び続けることが重要です。今回は、40~50代からでも十分学べる「リストラ回避」のためのスキルをお伝えします。まずひとつは、「ロジカルシンキング」です。ロジカルシンキングとは、物事を体系的に整理し筋道を立て、論理的に分析する思考法のこと。管理職研修でもよくお伝えしているのですが、管理職の役割は全体像を見ること。全体を見たうえで、何が大事で何は捨てても良いのかを考える、物事を俯瞰的に捉えるスキルが必要となります。
中高年のリストラが止まりません。東京商工リサーチ によると、2021年の上場企業における早期・希望退職の募集人数は約1万6000人。前年の2020年は約1万9000人でした。2年連続で1万5000人を超えたのは、ITバブル崩壊後の2001〜2003年以来だといいます。リストラを実施している企業は、赤字とは限らず、好業績でも早期・希望退職を募っているため、「明日は我が身」と不安になっている方も多いでしょう。では、会社での自分のポジションが、どうであったらヤバイ、どうであったらセーフなのでしょうか。今回は、その目安について、お伝えしたいと思います。
40代・50代になって、「専門職を極めていくか」「社内マネジメントに積極的に関わるか」といった今後の選択について悩んでいる人は多いのではないでしょうか?この二者択一は、リストラに関わる非常に重要な問題です。人事もまさにそこを見ています。40〜50代で何らかの専門性を持っていても、同程度の専門性を持っている20〜30代の人材がいるなら、会社はそちらを選びます。
新連載「人事の超プロが明かす、リストラ時代の生き残り戦略」 2021年4月1日、高年齢者雇用安定法が改正されました。これによって「70歳までの就業機会の確保」が企業の努力義務になりました。 少子高齢化が急速に進展し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境の整備を目的として、「高年齢者の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」の一部が改正され、令和3年4月1日から施行されています。
50代のリストラ対策のひとつは、若手の指導です。「あの人、若手を育てるのがうまいよね」「あの人に預ければ、育ててくれるよね」と社内で評判が立つのは、リストラを防ぐ有効な手立てとなります。
2021年は、黒字リストラが2020年の1.7倍に増えました。日本たばこ産業、KNT-CTホールディングス、LIXIL、オリンパス、アステラス製薬、藤田観光、博報堂などの上場企業を中心に希望退職・早期退職が実施され、1万人以上が退職に至っています。今後もさらに増えていくかもしれません。
中高年の皆さん、暇ってありますか?もし暇な時間があるのでしたら、その活かし方こそが生きる道となります。中高年になると、仕事はそこそこでいいかなと考え、プライベートを充実させようとする人が増えてきます。それはそれで、いいことだと思うのです。プライベートが充実していれば、「暇」ではなくなります。