2024.04.24
昇進、昇給、ボーナス、異動、進退……。これらは何によって決まるのでしょうか? そう、人事評価です。その評価を決めるのは、あなたの上司です。 ところが、この評価をきちんとやらない上司が少なくありません。 「そんなことやっているヒマはない」「面倒くさいことやらせやがって」と人事に文句を言う人も多く、中には部下の自己評価をコピペして提出する管理職もいます。 いうまでもありませんが、人の上に立つ立場になったら、部下やメンバーを育てることが重要な任務です。
昇進、昇給、ボーナス、異動、進退……。これらは何によって決まるのでしょうか?
そう、人事評価です。その評価を決めるのは、あなたの上司です。
ところが、この評価をきちんとやらない上司が少なくありません。
「そんなことやっているヒマはない」「面倒くさいことやらせやがって」と人事に文句を言う人も多く、中には部下の自己評価をコピペして提出する管理職もいます。
いうまでもありませんが、人の上に立つ立場になったら、部下やメンバーを育てることが重要な任務です。
課長クラスは、部下の能力開発を支援する「人材育成」が重要な評価基準になります。個別の目標や課題設定を促して、業務遂行を支援し、そのうえで評価を行い、部下それぞれの課題点を明らかにする。伸ばすべき点と改善すべき点のフィードバックを行い、適切な「気づき」を与えて成長の機会を。
これらが「人材育成」として求められることです。「評価者」になることは、「部下の育成責任を負う」ということになります。
部長クラスになると、社内の優れた人材を見出して引き上げ、社外からも優秀な人材を引っ張ってきて入社させるなど、優秀な人材を見出し、成長の機会を提供する「人材発掘・活用」が評価基準に加わります。
また組織全体の人材育成を働きかけ、将来性のある人材を育てる仕組みを構築することが求められます。
しかし、そういう立場になっても、いつまでもプレイヤーとして振る舞い、人を育てることをしない。あるいは、部下を雑用係のように扱っている人が少なくありません。
30代以上で「困った人」と呼ばれ、社内で問題視されるようになるのは、このような、部下を評価し、成長させることが自分の「仕事」だと認識していない上司です。
部下が悩んでいても、励ましや助言ができない。弱点や課題を指摘しない。個々のキャリアビジョンを把握せず、何を目指しているのかも知らない。個別の目標設定もできない。相談にも乗らない。そして、部下が突然の退職者を出す……。
このような管理職は、個人としては高いパフォーマンスを発揮していても、人事はもちろん、経営者からも、部下からも「困った人だ……」と思われています。
そもそも、なぜ、そういう管理職が多くいるのでしょうか?
それは管理職とは「何」をする仕事なのかを理解していないことに原因があるのでしょう。私は管理職研修の講師を務める際には、いつもこんな質問から研修を始めます。
「みなさん、管理職って“何”を管理する仕事だと思いますか?」
すると、多くの管理職が「部下、ですか?」「数字とか?」「時間?」「進捗?」と、自信なさそうに答えます。
管理職になっても、何をすればいいのかわからない。マネジメントの基本を学ぶ機会がなく、勘や経験にたよった自己流になりがち。そのため優秀なプレイヤーだった人が、管理職としてはなかなか力を発揮できず、評価も評判も落としていく。
そんな悲劇が多くの会社で起こっています。
マネジメントに必要なのは、「経営資源を効率的に活用し、最大の成果をあげること」。経営資源とは、「モノ・カネ・情報・時間」、そして「人」です。
すなわち「人」の管理を通じて「モノ・カネ・情報・時間」を管理し、最大の成果をあげることが、管理職の仕事なのです。そのため「タスクマネジメント」「ヒューマンマネジメント」「リスクマネジメント」の3本の矢が必要になります。
タスクマネジメントとは、仕事を段取りよく行い、成果をあげること。
ヒューマンマネジメントとは、人を育てること。
リスクマネジメントとは、ハラスメントや不正、重大なミスなどをしない、させないこと。
これら3つのどれかが欠けていても、管理職として高い評価は得られません。パワハラやセクハラなどは論外ですが、人を育てることができない管理職に対しては、今後ますます厳しい目が向けられていくでしょう。
部下を育てることができない管理職が多いのは、必ずしも本人の責任だけではなく、会社の仕組みにも原因があります。
日本のほとんどの企業は、プレイングマネジャーが基本です。プレイヤーとして個人の目標達成が求められる一方で、マネジャーとしても人材育成・進捗管理・計画立案・問題分析といった、さまざまな領域で高い成果が求められます。
どんな職種にしても、プレイとマネジメントを両立させるのは、そもそも無理のある話です。80年以上にわたる日本プロ野球の歴史を振り返っても、プレイングマネジャーとして成功したのは、故・野村克也さんただひとりではないでしょうか。
本来であれば、管理職には個人としての目標や数字は持たせず、マネジメントに専念できる環境をつくるべきでしょう。
とはいえ、そういう仕組みが整っている会社は滅多にありません。管理職になると個人としての目標も達成しながら、組織の目標達成に向けても尽力し、人材育成もしなければなりません。それができないのであれば、専門職や独立の道を模索すべきでしょう。
しかもここ数年は、「1on1ミーティング」(以下、1on1)が大きな注目を集めています。1on1とは、上司と部下が1対1で対話すること。週に1回、もしくは月に1回は30分程度の時間をとり、部下の現状や悩みに寄り添って話を聞く人材育成の新しい手法です。
米国シリコンバレーでは当たり前の習慣とされ、ヤフーやメルカリといった有名企業や成長企業が次々に実施するようになり、日本でも導入する企業が増えてきました。
この現象は、何を意味しているのでしょうか?
そう、「部下の育成」が世の中の大きな流れになってきているのです。若者人口の減少は止まりません。若手の採用が困難な時代に、せっかく採れた人材を育てることができない、あるいは優秀な若手を辞めさせてしまうことは、企業にとって大きな痛手です。
それがわかっているからこそ、変化が激しく忙しい会社ほど、部下との対話としての1on1に力を入れていると言えるでしょう。
「部下なんて育てなくても、個人として高い目標を達成できていればいいじゃないか」
「仕事は教えるものではなく、自ら見て学ぶものだ」
そういった意識では通用しない時代が、すでに始まっているのです。
今はまだ管理職になっていない人も、課長クラスに昇格すると「人材育成責任」を持つことになります。そのときに向けて準備を始めましょう。
管理職に限らず、30代以上に求められる重要なコンピテンシー(成果につながる行動)は、「動機づけ」です。周囲に仕事の目的や意味を伝え、情熱を持って働きかけ、チームの活性化を促す。なぜそれをするのか、するべきなのか、その結果どうなるのかを具体的に示し、各自が納得して目標を目指す雰囲気をつくる。
チームの一人ひとりの言動にも注意を払い、モチベーションが低下しているメンバーがいたら適宜フォロー。やる気が落ちた原因を探り、その原因を取り除く努力をする。
課長補佐をしながら、部門全体を盛りあげ、後輩の面倒を見たり、仕事のやり方を教えたりして、チームで成果をあげるためにはどうしたらいいのかを考えていく。
つまり、自分ひとりだけではなく、周囲を巻き込んで組織やチームの目標を達成していくことが、30代では特に重要になってくるのです。
この「周りを巻き込む力」が、将来的には部下を育てる力になり、何かをやろうと思ったときに仲間を集める力になり、お客様や人脈を持つ力になります。
「自分さえよければいい」という意識で仕事をしていると、やがて会社にとって不要な存在となり、居場所を失ってしまうかもしれません。
周囲を活性化するのが自分の仕事。そういう認識を持ち、来るべき日に備えましょう。
次回に続く
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
最も上司にしたくないタイプの代表格といえば、イエスマンの管理職です。イエスマンの管理職は、部下にとって最悪の上司といってもいいでしょう。イエスマンの管理職は、極端な言い方をすれば、自分の上司しか見ていません。部下のことはまるで眼中になく、上の言いなりになって、平気で部下に無茶振りをしたりします。
「うちは、好き・嫌いで評価していますから……」 給与、昇進、ボーナス、異動、さらには左遷やリストラなど、会社員の人生はすべて「評価」によって決まります。 評価が高ければ、給与が上がり、昇進し、ボーナスも上がる。 評価が低ければ、給与は上がらず、昇進もできず、リストラもあり得る。 ビジネスパーソンにとって本来「評価」は極めて重要なものです。 にもかかわらず、何をすれば評価が上がり、評価が下がるのか。ほとんどの会社では、その基準を明らかにしていません。
あなたは自分の会社の「給与の仕組み」を知っていますか? 何をしたら、どれくらい給料が上がるのか? そもそも、なぜ給料は毎年上がっていくのか? 昇給の具体的な仕組みを知っている人は、おそらくあまりいないと思います。 なぜなら、ほとんどの企業では「給与の仕組み」を公開していないからです。
このたびの社会情勢により、日本は未曾有の不況に陥ろうとしています。働き方に対するこれまでの常識もすべて崩れ去り、リモートワーク、オンライン会議、よりフレキシブルな通勤タイムなど、「新しい働き方」の価値観が根付いていくのは避けられそうにありません。このように労働環境が激変する中にあって、「より企業に求められる人材」とはどういったタイプなのか、これからの時代を生き抜いていくためには「何」をしなくてはいけないのか、私たちは改めて考える必要があります。
リモートワークの浸透によって、日本の雇用制度のあり方が大きく変わろうとしています。「成果」を評価することは、リモートワーク時代におけるマネジメントの方向性として正しいと思います。「成果」は、そこに至る「プロセス」によってもたされますが、リモートワークにおいて「プロセス」が見えにくいとすれば、「成果」を重視せざるを得ない、ということは間違いないでしょう。
のハラスメントが、深刻な社会問題になっています。2019年5月には、パワハラを防止するための「パワハラ防止法(改正労働施策総合推職場進法)」が成立。大企業では2020年6月1日から、中小企業では2022年4月1日から、パワハラ防止のための措置が義務づけられました。これによって必要な措置を講じていない企業は、是正指導の対象となります。そこで今回は、パワハラやセクハラの「加害者」にならないように、人事の立場から防止策をお伝えしたいと思います。
総務省統計局が2020年5月に発表した「労働力調査」によると、役員を除く雇用者5661万人のうち、正規の職員・従業員数は3508万人と、前年同期に比べて51万人の増加。非正規の職員・従業員は2153万人と、9万人が減少していました。「非正規雇用から正規雇用になるには、どうしたらいいのでしょうか?」私は非正規雇用の方々からこのような質問を受けることがあります。この数値が表しているように、実は正規雇用になるのはそれほど難しいことではありません。
会社に不利益を与える社員=「モンスター社員」が、多くの会社で問題になっています。今回は、前回に引き続き、こうした「頭が痛い社員」の代表的なタイプをまとめてみました。問題のある社員には、どう接したらいいのか、また気づかないうちに自分もそうなっていないか、あなたもチェックしてみてください。まず挙げられるのは「勤怠不良型モンスター」。つまり、ちゃんと働かない社員です。