採用面接官が面接時に見るべき、聞くべきポイントとは何でしょうか? 今回はフォー・ノーツ株式会社の代表であり、これまで30年に渡り採用・昇格面接を行ってきた『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太がキャリア面接における5つのポイントを紹介します。良い人材を採用するために必見です。
私はこれまで30年に渡り、数多くの採用面接や昇格面接に立ち会ってきました。面接のOK例・NG例は語り尽くされているテーマですが、面接時に見るべきポイントは、いまだに採用する側の皆さんからよく聞かれる質問です。今回は、キャリア面接に絞って、私が重視している5つのポイントを紹介します。
【面接で見るべき5つのポイント】
①今まで何をやってきたか?
②5年後、何をしていたいか?
③自分を客観的に見られるか?
④その人の働く目的は何か?
⑤お金に対してどう考えているか?
私が見ているのは、おもにこの5つです。ただし、それ以前に、まずは「自社における良い人材とは何か」を考えておくことが重要です。
例えば、求める人材像としてよく聞くのは「明るく元気で素直。指示に従って言われたことをきちんとこなす」です。たしかにこうした人材は、企業の成長期や安定期には欠かせません。しかし、変革期には向いていません。「言われたことを言われた通りにする」従順な人材だけでは、イノベーションは起こせません。
企業が変わるべき時期には、「変える奴」「壊す奴」「創る奴」といった「変な人材」を戦略的に採用する必要があります。良い人材は、会社によって異なります。企業ステージによっても異なります。いま必要なのは、どんな人材なのか。採用活動を始める前に「自社における良い人材」を明確に定義しておきましょう。
では、面接における5つのポイントについて解説していきます。私のキャリア採用におけるテーマは「人生が美しく流れる」。この会社に入ることによって、その人の人生は美しく流れるのか。正社員、契約社員、アルバイトなど雇用形態を問わず、その人は今まで何をしてきたのか、これからどんな人生を歩もうとしているのか、自社でその希望を叶えることはできるのか、こうしたポイントを詳しく聞いていきます。
①今まで何をやってきたのか?
その人は、今まで何をしてきたのか。人生がどう流れてきたのか。それを確認したうえで、自社に入ることが、その人によって良いことなのか、美しく流れることなのかを判断します。今までのキャリアが使えないのであれば、イチから学ぼうという姿勢はあるか。今までのキャリアを活かしたいということであれば、そういう場が自社にあるのか。質問するだけでなく、自社の状況とも照らし合わせながら確認していきます。もちろん、キャリア採用では、想定した仕事ができる知識やスキル等を身につけてきたかどうかも確認します。
②5年後、何をしていたいか?
相手の年齢を問わず、必ずする質問です。「5年後こうなっていたい」と具体的に答えられる人が理想です。「こういう力を身につけたい」「こういう経験をしたい」「こういう価値を出して5年後にこうなりたい」と言える人であれば、本人が望むものが自社にあるかどうかで採用の判断ができます。しかし、将来のビジョンが漠然としている人は、その判断ができません。「定年まで働きたいです。中学生の娘がいるんで」と言われても、それは結果であって目的ではありません。数年後に本人が望むような力を身につけることができ、そのときに自社の中にやれることがあれば、それをやってもらえばいいし、「卒業だね」ってことであれば、次のステージに行ってもらえばいい。そうすれば、その人の人生が美しく流れていきます。
③自分を客観的に見られるか?
人生どこかで失敗するものです。新卒時の会社選びに失敗した、転職に失敗した、営業が嫌いなのに営業を志望してしまった。そんな失敗は誰にでもあるでしょう。問題は失敗したことではなく、どのように棚卸しをしているか。過去の失敗をどう捉えているか。「自分の認識不足でした」「勉強不足でした」と認識したうえで、同じ失敗を繰り返さないように考えているか。コミュニケーションを深めながら確認し、自分を客観視できている人を採用します。自己客観視ができるかどうかは、仕事ができる人の重要な条件です。
④その人の働く目的は何か?
働く目的も大切です。自分がより価値を出せる場所はどこだろうと考え、会社を探しているか。「会社に入れば何とかなる」と思っている人が多いですが、大変なのは入ってからです。新しい会社でポジションを獲得し、周囲からの支持を得て、価値を出していく。その大変さを理解しているか。会社から「与えられること」ではなく、自分が「与えられること」を考えているか。これも確認しておきたい重要なポイントです。
⑤お金に対して、どう考えているか?
面接官は、お金のこともちゃんと話さなくてはいけません。キャリア採用の場合、「これ以下では厳しいっていう年収はいくらですか?」と必ず聞きます。転職すれば、年収が下がるかもしれません。年収が下がってでも、やりたいことがある。そういう人が転職を成功させ、結果的には年収も上がります。「せっかく転職するので年収アップしたいです」と甘い認識をしている人に対しては、「それはうちじゃないですね」と判断します。
面接で大事なのは、質問だけではありません。さまざまな企業の面接に立ち会っていると、偉そうな態度の面接官が少なくありません。そういう人は、自分も「見られている」という意識が抜けてしまっています。
面接とは、企業と応募者の「お見合い」です。自分たちも「選ばれる立場」であることを忘れてはいけません。失礼な態度があってはなりませんし、30分なり1時間なりの同じ時間を過ごすのですから、応募者のためにも、自分のためにもなる、有意義な時間を過ごせるようにすべきです。
また、お見合いである以上、自分たちのことも話す必要があります。会社の理念、歴史、募集の背景などを、ちゃんと自分の言葉で語れるか。仕事がハードな職場なら、ブラック企業とは言わないまでも「うちはブラック的ですけど、よろしいでしょうか?」程度のことは言ってもいいと思います。そのうえで「でも社員はこういう気持ちで働いています」と伝えたほうが、求める人材を採用しやすくなるはずです。
採用の先には、その人の人生があります。配置の先には、その人のキャリアがあります。採用したら「はい終わり」では済みません。人事の皆さんには、常にそれを意識しながら面接に臨んでいただきたいです。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
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ー「なぜ、あの人が?」
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11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
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