2021.04.28
コロナ渦という前代未聞の事態に見舞われた今、人事の課題はますます山積みしています。人事が強い会社でないと、これからの荒波を乗り越えていけません。人事が強い会社とは、どんな特徴があるのか?また、どのようなメリットをもたらすのか? 今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、人材育成の考え方や方法を解説します。
人事が強い会社とは、人事に対するブレない「考え方」を持っている会社です。強権を持っているということではなく、人材育成の考え方や方法などに一貫した信念を持ち、経営陣とも握り、反対があってもやり通す。上げるべき人がいれば上げ、ダメなことはダメと言う。御用聞きではなく、意思・方針を持っている。こうした人事の基盤を築いている会社は、強いです。社員の定着率が高まり、業績も伸び、顧客から高い支持を得ていきます。
一方、人事が弱い会社とは、「考え方」をしっかりさせる前に「やり方」に走ってしまう会社です。「他社で行っているから」「欧米では当たり前だから」と新しい施策を次々と導入しても、軸となる考え方を定め、人事の基盤を確立していなければ、どんな制度も機能しません。その間にも会社に対する信頼は失われていきます。人は離れ、業績は低迷し、会社は崩壊に向かっていきます。
人員計画、採用、配置、キャリアステップ、評価、給与、教育、労務など、人事の領域はすべてが密接に関連しあっています。「考え方」=中長期的な人事戦略と人事ポリシーを定め、それを基にしてこれらの基盤を構築しなければ、どのような制度=「やり方」を導入しても成功しません。
人事の強弱は、企業の将来を決めます。どんな組織を目指すのか、社員に求めることは何か、何をすれば評価され、何をすれば評価が下がるのか、給与を上げる基準は何かなど、会社の方針を明確にする。これが人事に強い会社にしていくための第一歩です。
私たちの長年のクライアントに、ブライダル企業のA社があります。苦しい時もありましたし、業績が厳しいときもありました。しかし見事にそれを乗り越えて成長してきました。それは、人事に対する「考え方」を強く持ち、人事の基盤を確立してきたからです。業容は拡大し、社員の定着率が高まり、顧客から高い支持を得るようになりました。
この会社が人事の基盤を構築したのは10年ほど前でしたが、理念の浸透、キャリアステップの整備、評価制度、評価に基づく給与制度など、一貫してその基盤を運用してきました。人事の責任者は何度か替わりましたが、構築した基盤を守り、大きくは変えず、運用してきました。
その過程で、管理職が定期的に集まり、しっかり時間をかけて「評価会議」を運用してきました。会議の中で個々の社員に育成について話し合い、施策に落とし込みました。昇格審査(昇格アセスメント)についても、客観的な基準のもと厳正に運用し、昇格者を決めてきました。管理職を含め、社員の多くが基盤としての仕組みを理解し、一定の納得感を持っていると思います。
この10年の間に少しずつ状況に合わせて、運用にはバリエーションを展開していましたが、根幹となる「考え方」は変わっていません。理念の浸透、キャリアステップの整備、評価制度、評価に基づく給与制度というハードウェアも変わっていません。人事施策に一貫性が生まれると、会社が社員から信頼を得られます。それこそが、企業を大きく飛躍させる原動力になります。
人事に必要なのは、こうしたブレない考え方を示し、人事の基盤を築ける人材です。ただ、人事領域でリーダーシップを発揮できる人材を育成するには、時間がかかります。どの分野でも成功するには1万時間が必要という「1万時間の法則」がありますが、人事においても同じです。一流の人事部長を育てるには、1万時間はかかるでしょう。
人事部が脈々と存在し、必要な知識・能力を伝えている伝統的な会社であれば、時間をかければ優秀な人事責任者を育てることができるかもしれません。でも、社内に教えられる経験者がいない、育成する仕組みがないという場合は、時間をかけても育ちません。
そういう場合は、社外で学ぶしかありません。私たちが主催する人事担当者の養成講座「人事の学校」は、中小企業の経営者、各社の人事担当者など、延べ5000人の方々が受講され、企業人事の基礎を学ばれています。こうした講座を利用して必要な基礎力を身につけ、将来の人事部のリーダーを育てる方法もあります。
また、人事部長など経験者を連れてきて、社内のことをよくわかっているプロパーを下につけ、その経験者から徹底的にノウハウを学び、基礎を身につけさせる方法もあります。ただし、人選を間違えると、部下も育たず、施策も失敗するケースが多く、リスクは高いです。人事責任者を中途採用する場合には、人事のプロにも判断を仰ぎ、慎重に検討する必要があります。
いずれにしても、人事が強い会社にするには、人事に強い人材を育てることも重要です。人事責任者の育成には時間がかかりますが、人事の優劣は企業の将来を大きく左右します。会社としての「考え方」をしっかりと持ち、会社の将来を担う人材の育成にも力を入れていきましょう。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
人事の仕事というのは売り上げ・利益に直結するものではありません。
そのためか、人事担当者には「会社に貢献している」という意識が低いようです。
今回は人事対象者を対象に行われたアンケートを参考に、人事担当者の現状とあるべき姿を見ていきます。
新型コロナウイルスの影響から、多くの企業でテレワークが普及している昨今。しかし「出勤することが当たり前」な働き方に慣れていると、「テレワークでも本当にちゃんと評価されるだろうか」と不安を抱いている人も多いものです。正当な評価を「されて当然」と考えるのは危険です。 では、正当に評価される行動とはどういったものなのか。逆に、ちゃんと仕事をしているのに損してしまうパターンには、どんなものがあるのか考えてみましょう。
人事が効果的な採用や配置をするための手段として
注目されている「人材ポートフォリオ」。
人的資源を可視化できるため、
どのような人材がどれぐらい必要かが見えやすくなります。
ではどのように活用すればよいのでしょうか。
会社がある程度の規模(社員数50〜100名程度)に成長してくると、評価や給与に不満を感じる社員が増え、優秀な社員ほど離職してしまう傾向が見られます。そんな状況になったときに必要となるのが、評価制度や給与制度などの人事制度です。しかし、人事制度の失敗例は、数限りなくあります。制度は運用できなければ意味がありません。なぜ制度を導入しても失敗してしまう企業が多いのでしょうか?
新型コロナウイルスの影響によって消費が落ち込み、飲食店やショッピングモールなどの営業自粛も相まって、業績が低迷している企業が増えてきました。 こうした緊急事態、かつ長期戦が見込まれる時こそ、企業は数年後の展望を見据えた事業戦略を立てることが大事です。 こうして立てられた事業戦略をもとに今後の人事戦略を考えていきましょう。
採用に関する問題を解決していくためには、「自社が求める人材像」を明確にすることが必要です。今回は「心と能力」という観点に着目してみましょう。「心はきれいだけど、能力が低い人」と「心はきれいではないけれど、能力は高い人」、あなたの会社ではどちら採用しますか?
2009年の開講以来、述べ5000人以上の人事担当者が受講し、「人事の原理原則を体系的に学べる」と人気の講座「人事の学校」がリニューアルしました。2022年5月18日より新たにeラーニングサービスを開始。PCやスマートフォン、タブレットなど各種デバイスで受講可能となるなど、人事担当者がより気軽に学習できるよう生まれ変わりました。本記事では、「人事の学校」主宰・西尾太にインタビュー。リニューアルの理由や人事担当者の皆さんへのメッセージをお伝えします。
いま再び注目を集めている「ジョブ型雇用」や「成果主義」は決して新しい考え方ではありませんが、これからの働き方を考える中では重要な要素です。 その実現のためにはジョブディスクリプション(職務記述書)が必要とされています。しかし、ジョブディスクリプションの策定や運用には、様々な課題も想定されます。 「働き方」「雇用のあり方」「管理のあり方」「評価のあり方」「給与・処遇のあり方」といった「考え方」そのものをどこまで変えるのか、といったことをよく考える必要があります。 今回は代表西尾から、これからの時代の働き方や評価についてお伝えしていきます。