2020.06.19
バブル崩壊後、企業は採用を抑制し、ジョブ型雇用に切り替えようと試みました。
しかしその試みが上手くいった企業は少ないのが現状です。
ジョブ型雇用が注目を集める昨今、
会社は過去の教訓を活かしどのように動くべきなのでしょうか?
テレワークの普及により、「ジョブ型雇用」が最近注目を集めています。実はバブル崩壊後にも一度注目を集めていたのはご存知でしょうか?
今回は、バブル崩壊後に企業が採用や雇用形態に関してどのように動いたか、そして流行りのジョブ型雇用に対してどのように考えていくべきかについて解説いたします。
バブルの崩壊は、日本経済にとって大きな危機でした。業績悪化を乗り切るために、企業は新卒採用の抑制。もちろんリストラも行われていましたが、人事にとっては社員をリストラするよりも、採用を減らして身内を守る方が楽なので、リストラより採用抑制を積極的に行っていたのです。
崩壊後に採用が抑制されたため、バブル崩壊前に入社した社員にとっては、「後輩が少ししか入ってこない」ということになります。そのため、崩壊の少し前に新卒で入社した社員は、会社内で長い間一番下のポジションにいなければならなくなりました。
そこで問題となっているのが、管理職などのポストについているにも関わらず、後輩の指導経験をほとんど持っていないバブル入社をした社員です。景気の良い悪いで採用人数を大幅に変えているため、会社内での年齢のバランスも崩れるといった、弊害も生じています。
今も景気が悪化し、企業が採用抑制をしていますが、こういった過去を教訓として注意して進めることをおすすめします。業績悪化を乗り切るためには、新卒採用だけを抑制すると年齢層に偏りが生じてしまうため、同時にリストラの検討も行った方が良いでしょう。
もちろん、リストラも慎重に行う必要があります。過去に企業が過度なリストラをしたせいで、優秀な人材が海外に出て行くという事態に陥ってしまいました。過度なリストラをすると、残った社員も「この会社は社員の面倒を見てくれないのか」と感じてしまい、愛社精神も育ちません。
昨年、一昨年は希望退職者を募る「黒字リストラ」が行われていましたが、これからは「赤字リストラ」が増えていくでしょう。もちろん社内の非効率性を正していくことは大切です。ただ、考えなしに中途半端にリストラをするのは得策ではありません。企業のステージや展望を考慮し、計画をしっかりと練るべきです。
それと同時に、バブル崩壊後には、「成果主義」も注目を集めました。それまでは、年功序列が当たり前で、それほど働かない年配の社員にも、高い給料を払っていましたし、「働かないから給料を下げよう」といった考えもありませんでした。そこで、業績悪化を乗り切るための緊急避難的措置として、働かないのに給料が高い社員の給料が下げられる成果主義が導入されたのです。成果主義と同時に年俸制も多くの企業で導入されました。年俸制も従来よりも、給料を下げることができる制度です。
しかし、成果主義や年俸制による賃金の格差は、社員のモチベーションに結びつかず、失敗してしましました。当時の考え方においては、成果主義は「やりすぎ」に感じられたのでしょう。失敗した結果年功序列に戻すといった、揺り戻しが起こったのです。
結局、成果主義は中途半端で年功序列は生き残っているという、どっちつかずの状況になってしまっています。
「ジョブ型雇用」の考え方は、20年以上前のバブル崩壊当時からありました。「ジョブ型雇用」は、職務の専門性が求められる「職務主義」と、「成果主義」が組み合わされた制度です。バブル崩壊後も、職務内容が記載されている「ジョブディスクリプション」に従って職務主義を導入しようとする企業はありましたが、ほとんどのケースで失敗に終わっています。
「ジョブ型雇用」を導入するためには、過重な階層で組まれた組織構造を大幅に変更し、フラット化しなければいけません。また、会社内の多くの職種、階層の1つ1つに「ジョブディスクリプション(仕事内容に関する詳細な記載)」を用意する必要もあります。
人を異動させ、組織を変更させる中で、ジョブディスクリプションを書ける人は中々いませんし、相当な時間もかかります。また、外部に作成を頼めば莫大なコストがかかる上に、実情と合わないジョブディスクリプションが出来上がることもあります。今後の企業の展望を考え、多大なコストと労力をかけてでも、本当に「ジョブ型雇用」を導入する必要があるのかどうかを、しっかりと考える必要があるでしょう。
方針がしっかりとしていないまま流行りものの施策に飛びつくと中途半端な結果に陥るのは過去の例が示しています。業績が低迷し、リストラや給与体制の見直しを行おうとしている企業は、今一度過去の経験を振り返り、熟考することから始めてください。
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この記事では人事担当者に求められる知識を解説していきます。
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どのような基準で下がるのかを明確にする必要があります。
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