2019.08.30
「人事異動」は誰にとっても大きなイベントですが、人事担当者にとってはまた異なった意味を持ちます。
では人事担当者はどのように進めるべきなのでしょうか?
そして人事になりたての人間は「人事異動」に向けてどのように振る舞えばよいのでしょうか。
著者の経験談も混じえて解説いたします。
勤め人の一大イベントとも言える「人事異動」。大多数の企業では、春と秋の年に二回が大きな異動のタイミングでしょう。多くの人に大きな影響力を持つ「人事異動」ですが、人事担当者にとっては、また異なった特別な意味を持っています。さて、一体どのような意味があるのでしょうか。
現在すでに人事に所属している方は、人事異動の調整がいかに困難か、身をもって体感されているのではないでしょうか。人事異動は、いわば野球のドラフトのようなものです。有り体に言ってしまえば、どの組織長も優秀な人材を欲しがります。新卒で入社した社員の配属調整に関しては、なおさらです。また、残念なことですが、「外に出したいなぁ」と思っている人材もいることでしょう。
もちろん、優秀な人材を引っこ抜かれると、組織長は嫌がります。たとえば「この人を入れるなら、代わりにこの人を出してほしい」や「この人とセットで、この人も異動させてほしい」など、各組織長の意向を汲みつつ、間に立って調整するのが人事の仕事です。聞いただけで「大変そうだなぁ」と思った方もいると思います。
しかし、人事異動の調整は絶好の交渉タイミングでもあります。私の経験談を一つお話ししましょう。
ある企業で人事を担当していた時、普段からなかなかタフな交渉が必要な事業部長がいました。私が人事担当者として、経営陣や他の部門の要望を持って行って調整しようとしても、なかなか同意を得ることができません。
しかし、ある時、新卒採用した社員が研修を終え、配属を調整するタイミングで、その事業部長が「新人8人の中で、絶対にこの社員が欲しい」と強い希望を人事に出してきました。その新入社員はとても優秀な社員で、他の組織からも配属希望が相次いでいます。さて、皆さんが人事担当者ならば、どうしますか? 「普通の調整でも難航するのに、新卒採用の配属で事業部長が折れる訳がない」――。そう思われた方も多いかもしれませんね。
結論としては、そのとおりです。その新入社員の特性や、他の部門とのバランスも慎重に高所した上で、私はその事業部長が希望した新入社員をその部署の配属としました。しかし、それだけではありません。「今こそがチャンス」と思い、事業部長の希望を叶える代わりに、日ごろお願いしたかったことを全部通してしまいました。
トラブルや、困難な調整ごとが起きたときでも、逆に冷静にそれを利用する。人事はとにかく、経営陣と社員間や、利害が対立する部門間など困難な調整ごとが多いものです。しかし、そういった時の調整にこそ、一歩引いて状況を見る冷静さや、バランス感覚が大切になりますので頭の片隅に置いておいてください。
ここまで読んでいただいた人事担当以外の方は「人事の仕事って大変だな」と思われたかもしれません。ただ、いま人事以外の仕事をしていても、突然人事に異動になる可能性もないとは言いきれないでしょう。では、今まで他の部門で仕事をしてきた人が、突然人事に異動になったらどうすればよいのでしょうか。
私のおすすめは、まず社内をぶらぶらして、顔を覚えてもらうことです。全ての社員に話しかけるのは難しい場合でも、最低限自分が担当する部門の組織長には早めに顔を覚えてもらうようにしましょう。まずは廊下ですれ違ったり、喫煙所で会ったりしたときに、気軽に会話ができる関係性を築きたいですね。やりとりをしていけば、その組織長の人となりや性格などが見えてくるはずです。気軽に業務上の悩みなどを話し合える関係性になるのが理想だと言えます。
もちろん、様々な調整ごとは会議の場で決まりますが、突然会議で内容を知るのと、組織長とあらかじめすり合わせができているのとでは、後者のほうが問題解決に割ける時間が増えます。円滑に仕事を進めるためにも、早めに仲良くなっておくことが得策です。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
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ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
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転職市場が活性化している昨今、「出戻り制度」を設ける会社が増えています。
しかし、人事担当者は安易にこうした制度に飛びついてはいけません。メリットとデメリットを理解して判断することが重要です。
総合人事コンサルティングのフォー・ノーツ株式会社は、代表取締役社長・西尾太の著書『この1冊ですべてわかる 人事制度の基本』出版記念特別セミナー【聞いた後でジワジワくる‼西尾太の「地味な」人事の話】を2022年11月17日、TKP東京駅日本橋カンファレンスセンターにて開催いたしました。本記事は、このセミナーの内容を再構成・加筆してお届けしています。今回のテーマは、「会社が社員に求めるものとは?」。人事制度の構造とキャリアステップについて解説します。
人事制度を考える上でまず「絶対評価」と「相対評価」の違いを
知っておく必要があるでしょう。
それぞれのメリット・デメリットをお伝えし、
今の人事評価制度を作るうえで重要なポイントをお伝えいたします。
バブル崩壊後、企業は採用を抑制し、ジョブ型雇用に切り替えようと試みました。
しかしその試みが上手くいった企業は少ないのが現状です。
ジョブ型雇用が注目を集める昨今、
会社は過去の教訓を活かしどのように動くべきなのでしょうか?
日本の人口の年齢別分布の現状と予想されている推移を考えると、
年功序列型の給与体系を維持するのは難しいと言えます。
年功序列型給与体系を脱却する糸口となるのが、「給与が下がる仕組み」です。
どのような基準で下がるのかを明確にする必要があります。
現状維持を好む安定志向の若者が増えてきていると言われています。
その考え方は本当に「安定」につながっているのでしょうか?
そして、現状維持を好む若手の成長を促したい場合、
人事担当者・経営者がすべきこととはなんでしょうか?
人事が効果的な採用や配置をするための手段として
注目されている「人材ポートフォリオ」。
人的資源を可視化できるため、
どのような人材がどれぐらい必要かが見えやすくなります。
ではどのように活用すればよいのでしょうか。
一見華やかに見える人事というポジション。
しかし実際は、アヒルのように水面下でばたばたと、
時に土まで巻き上げる勢いでもがきながら前進しているものです。
人事の仕事に関するありがちな誤解と、必要とされる意外な知識について解説します。