2019.05.10
採用活動に欠かせない「求める人物像」。なんとなくでごまかしていませんか?
今回は「自社の立ち位置」と「会社の価値観」「成果につながる要素」をポイントに、
求める人物像の定め方を紹介していきます。
会社にとって大切な業務のひとつ、新規人材の採用。もちろん、一筋縄ではいきません。何となく求人を出して、応募してきた人の中から優秀そうな人を採用する、という方法では十中八九失敗してしまうでしょう。ゴールがなければ正しい方向に走れないのと同じで、求める人物像という「こんな人を採用したい」というゴールがなければ、採用活動自体が迷走してしまうからです。
しかし、今までしっかりとした人物像を定めていなかった会社にいきなり「どんな人が欲しいのか決めてください」と言っても、何から始めればいいのかわからないと思います。そこで今回は、求める人物像を策定する際に最低限意識しておいてほしいポイントをご紹介します。
求める人物像を定めるにあたって、まずするべきなのは自社の立ち位置の確認です。
会社の経営戦略においても、現場レベルの販売戦略においても、まずは自社がどのような状況に置かれているのかがわからなければ、何も決めることはできません。これと同じで、採用においてもまずは自社がどのような状況に置かれているのかをきちんと把握することが必要なのです。
なかでも求める人物像の策定において特に重要になるのは、「会社が今どのステージにいるか」です。創業したてで右肩上がりに売上げを上げていかなければならないベンチャー企業の場合、とにかく元気で成長意欲の強い社員を採用する必要があります。反対に売上げもある程度落ち着いてきて安定期に入った企業は、ガツガツした人材よりも、今ある環境をどうやったらうまく回していけるかを考えられる人材が欲しくなることでしょう。
また、運輸や建設など力仕事がメインになる場合と、経理など事務作業がメインになる場合とでは、求める特性が全く異なってくるように、業種によっても欲しい人材は異なります。人材の採用というのは、会社の将来を左右するとても大切な仕事です。将来を考えるために、まずは自社の現状を正しく冷静に把握することから始めてください。
自社の置かれている状況を把握したら、つぎは採用する人材に求める要件を抽出していきます。要件の抽出の際に意識してもらいたいのは、「価値観」と「成果」という2つの軸です。
1つ目の「価値観」とは、会社の価値観です。企業理念や行動指針を参考に、「自社の従業員っぽい人」の要素を抽出し、その要素を求める人物像に盛り込むのです。価値観の相違は会社と社員のミスマッチの大きな原因となるので、可能な限り避けられるようにしておくことが大切です。
人事や経営者の中には、「仕事には価値観など関係ない。成果さえ出せればいい」という方が稀にいらっしゃいます。しかし、最近の研究によると、「価値観がずれたまま成果を出す」のは難しい、という結果が出ています。
同じ職場にいる2つのチームを比べてみた時、「職場にホーム感を抱いている社員が多い」チームの方が、「職場にアウェイ感を抱いている社員が多い」チームよりも圧倒的に業績が良かったそうです。ここで言うホーム感やアウェイ感というのは、言うまでもなく会社と価値観が合致しているかどうかで決まります。つまり、社員に存分に成果を出してもらうためには、社員の価値観と会社の価値観が同じであることが重要だ、という結果に出たのです。
2つ目の「成果」は、やはり会社である以上、採用する人材は利益を生み出せなければなりません。自社において成果につながるであろう要素も、人材を採用する前に洗い出しておかなければならないでしょう。
ただ、この「成果につながる要素」を抽出するのはかなり難しい作業です。現場との連携を密にとって、どのような特性を持った社員が活躍しているのか、丁寧に検証していかなければなりません。
例えば昨年新卒の社員が5人配属された部署のマネージャーに、新人の中でだれが一番活躍しているかをヒアリングしてみてください。そして、その新人はどうして活躍できたのか(本人が持っていた特性が発揮されたのか、それとも職場との相性が良かっただけなのか、あるいは現場の育成が良かったのか)を丁寧に検証していくのです。検証を重ねていくと、徐々に成果につながる要素が見えてくるでしょう。
求める人物像を定めるのは地道で大変な作業です。しかし、会社の将来を大きく左右する、一大プロジェクトでもあります。まずは自社の状況を把握したうえで、「自社の価値観に合致した人物像」と「自社で成果を上げられそうな人物像」を体系的にまとめていくことから始めてみてください。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
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ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
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金融業界を中心に、「通年採用」を採用しはじめた企業が登場しはじめた2020年。ニュースでも世の中を大いに賑わせ、注目を集めました。さて、この「通年採用」は、今までの採用制度とどう違うのでしょうか?また、通年採用は、採用力に影響はあるのでしょうか?「通年採用」を行ううえで押さえておかなければならない大事なポイントは何でしょうか?今回は、「通年採用」の効用について、お話しします。
新卒採用というのは、
本来であれば明確な目的意識をもって取り掛かるべきことです。
しかし世の中には、
目的があいまいなまま新卒を採用している会社も少なくありません。
新卒採用を始める前に、
もう一度その意味を確かめてみましょう。
1年間で退職した人の割合を表す離職率。「離職率が高い=悪い会社」「離職率が低い=良い会社」と言った認識が世間では一般的になっていますが、果たして本当にそうでしょうか。 実は、離職率だけをみて、その会社の良し悪しを判断することは非常に危険です。 重要なのは離職率の「数字」ではなく、「どんな人が辞めているのか」という離職率の「中身」です。 今回は、人事担当者として「離職率」というテーマとどう向き合い対応するべきなのかをお話しします。
人事ポリシーを適切に運用できている企業は、
残念ながらそれほど多くないというのが現状です。
ではなぜ、せっかく策定した人事ポリシーを活かすことができないのでしょうか?
2009年の開講以来、述べ5000人以上の人事担当者が受講し、「人事の原理原則を体系的に学べる」と人気の講座「人事の学校」がリニューアルしました。2022年5月18日より新たにeラーニングサービスを開始。PCやスマートフォン、タブレットなど各種デバイスで受講可能となるなど、人事担当者がより気軽に学習できるよう生まれ変わりました。本記事では、「人事の学校」主宰・西尾太にインタビュー。リニューアルの理由や人事担当者の皆さんへのメッセージをお伝えします。
管理職って評価することはあっても評価されることはないと思っていませんか?
実は管理職であっても、評価基準やコンピテンシーは存在します。
会社が管理職に求めているコンピテンシーを理解して、
もう一歩先のステージへ挑戦しましょう。
人事が効果的な採用や配置をするための手段として
注目されている「人材ポートフォリオ」。
人的資源を可視化できるため、
どのような人材がどれぐらい必要かが見えやすくなります。
ではどのように活用すればよいのでしょうか。
採用活動というと面接を思い浮かべる方が多いと思いますが、
実は面接で得られる情報はそんなに多くないことが分かってきました。
これからは、客観的な評価ができる「適性検査」が採用活動の主役です。