2018.12.27
本来、喜ぶべきボーナスですが、
予想額を下回ると却って社員の不満になります。
社員に納得してもらうためには評価基準の開示と、
それをしっかりと反映させることが重要になります。
通常の給与とは別に半期に一度などのタイミングで支給されるボーナス。多い時には月給の数倍もの金額が支給されるということもあり、ボーナスのシーズンになると社員がその話題で持ち切りになることも。
ただその分、予想の支給額を下回った時には「こんなに頑張って成果を出しているのに、どうしてこんなに少ないんだ!」と社員から不満が出てくることもあります。社員のモチベーション維持につながるボーナスは、使い方次第で社員の不満を引き起こす諸刃の剣なのです。
そこで今回は、社員が納得できるボーナスにするために必要なことをお伝えします。「どうやら社員の間でボーナスに関する不満が溜まっているらしい」「何を基準にボーナスを決めたらいいかわからない」といった悩みを抱えている人事担当者は必見です。また、支給額がどういう基準で決められているのか、ということもお話しますので、「どうして自分のボーナス支給額は低いのだろう……」と悩んでいる方も、ぜひお読みください。
社員が納得するようなボーナスを実現するためには、まず評価基準を社員に伝えるところから始める必要があります。「評価」はなんとなく触れがたいタブーのように扱われ、ブラックボックスと化している企業が多いですが、実はこの状態こそが社員の不満を生む根源になっています。
ブラックボックスの中にいる人事担当者には、「そこで何が行われているか」つまり「どういった基準で評価しているか」はもちろん把握しています。しかしブラックボックスの外にいる一般社員にとっては、どういう基準で評価が行われているのかは分かりません。そのため「個人的な好き嫌いで支給額を決めているのでは?」「本来はもっともらえるはずだったのに!」という不満につながるわけです。
ボーナスに対する不満は、評価そのものに対する不信感からきています。その不信感を解消するためには、あらかじめ会社が求めている要素を社員に伝え、ボーナス支給のタイミングでしっかりとフィードバックを行うことが重要です。「会社はあなたにこういったことを求めています。それに対しあなたはこの程度満たしているので、いくらのボーナスを支給します」というように具体的に伝えましょう。
「どうして自分のボーナス査定は低いのだろう……」と悩んでいる場合は反対に、会社から提示された評価基準を満たせるように努力を重ねていってください。例えば、会社にとって「売上げ」はとても大切なものですが、果たしてあなたに求められているのが「売上げを上げること」だけなのかどうかは分かりません。本当は「部下のマネジメント」に重きを置くことを求められているかもしれないのです。それなのに自分の売上げばかりを追求していたら、いくら努力しても会社に評価はされません。
ただ、評価をする担当者が社員に求めるものと言ってもすぐには思い浮かばないかもしれません。また、評価をされる側の社員としても、会社が求めるものを提示してくれなければ、どんな努力をすればいいかわかりませんよね。そのような時は、クラスごとに求められるコンピテンシーを簡単に紹介したこちらの記事を参考にしてみてください。
年齢は評価に関係ない!そんなことはありません。
クラス別でみる「評価に値する行動」とは ~若手・中堅編~
クラス別でみる「評価に値する行動」とは ~管理職クラス編~
評価基準を公開したら、もちろんしっかりと評価に反映させる必要があります。頑張って社員が会社の要求に応えたのに見返りを渡さなければ、モチベーションが一気に下がる原因となってしまいます。
その際の評価システムは、可能な限り絶対評価で構築してください。相対評価の場合、例えばA評価が3枠しかないところに会社の要求を満たした社員が5人いたら、残りの2人は「なんで会社が求める成長をしたのにB評価なんだ!」と不公平につながります。このように、相対評価だと頑張っている社員を正当に評価できなくなる恐れがあるので、できるだけ絶対評価で評価するようにしましょう。
最後に人事担当者が持っておくべき、ボーナスに対する意識についてお話ししようと思います。
一般的に「ボーナス」というと、臨時収入的なイメージが強いと思います。いつも通り働いていたら、ある日まとまった金額がお給料と一緒に振り込まれる。この側面にだけ言及すれば、確かに臨時収入以外の何物でもありません。
しかし、人事担当者であるならば、あるいは「もっとたくさんボーナスをもらいたい!」と考えているならば、ボーナスも評価の一環であるということを忘れないでください。そのことを忘れてしまうと、ボーナスは勝手に給料と一緒に振り込まれる「会社からのプレゼント」のような認識になってしまい、工夫や努力をしなくなってしまうからです。半期を振り返って、「どこが成長しているか」「どこがまだ会社の求める水準に達していないか」「会社にどれだけ貢献しているか」といった、社員の成長度合いに対して支払われるのがボーナスの本来あるべき姿です。
もちろんボーナスの目的が利益の還元だけというのなら、全社員の月給に一律の倍率をかけて支給する横並びのボーナスもいいでしょう。しかし社員を成長させるために有効活用したいというのであれば、評価の一環であるという意識を忘れず、一人一人に評価をつけて、それに応じた額を支給することをお勧めします。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
創業したてのベンチャーから成長後期、大企業クラスの規模に至るまで、
会社には様々な変化があります。そしてそれは、人事部も同じ。
今回は各ステージごとの人事部の立ち位置の違いと、
人事が陥りがちなことをお伝えします。
若手人事が必ず悩む、現場との距離感の問題。
実際にどのように現場と付き合っていけばよいのか、
人事での経験を元にお話しいたします。
「あ、これは危ないかも」と気づくヒントにしていただけますと幸いです。
総合人事コンサルティングのフォー・ノーツ株式会社は、代表取締役社長・西尾太の著書『この1冊ですべてわかる 人事制度の基本』出版記念特別セミナー【聞いた後でジワジワくる‼西尾太の「地味な」人事の話】を2022年11月17日、TKP東京駅日本橋カンファレンスセンターにて開催いたしました。本記事は、このセミナーの内容を再構成・加筆してお届けしています。今回のテーマは、「45のコンピテンシーモデル」。これは人事担当者だけでなく、社員全員が理解していなくはいけません。
同じ会社で同じレベルの仕事をしているのに、評価される人とされない人が出てくる。
これは評価基準となる「45のコンピテンシー」を知っているかどうかの違いです。
リモートワークが日の目を浴びるようになって、はや数ヶ月。
上手く機能している企業とそうでない企業に分かれ始めています。リモートワークをより効率的にするためには、どのような人事評価を行えばよいのでしょうか。
リモートワークの特質と、そこでの評価項目の決め方についてお話しいたします。
評価制度の導入は会社にとっての変化。
中には良く思わない人もいるかもしれません。
しかし、だからといって引き下がると制度の導入が進められないばかりか、
人事が“なめられる”原因になってしまいます。
コロナ禍での企業のリストラが止まりません。45歳以上の早期退職制度などによって、今年だけでも既に1万人以上の中高年が退職しています。ただし現在のリストラは、業績悪化によるものだけではありません。「黒字リストラ」は、果たして本当に適切な施策なのでしょうか。人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、中高年に対する施策についてお伝えします。
人事ポリシーとは会社の「人」に対する考え方を表明したものです。
会社が抱える「人」の悩みの大半は、社員との間にある意識のミスマッチが原因です。
自社に即した人事ポリシーによって意識をすり合わせることができれば、
複数の課題が一気に解決することも珍しくありません。