2018.11.26
社員の働き方をハード面で変えるのが働き方改革なら、
「働く考え方改革」はソフト面から社員の働き方を変える施策。
みんながポジティブに仕事を捉えるような会社を目指しましょう!
来年の働き方改革関連法の施行を控え、何とか新しい法律に適合させようと職場の整備に追われている人事担当者も少なくないでしょう。しかし、それ以上に大切で、「今」まさにしなければならないことがあるのをご存知でしょうか?働き方改革以上に必要なもの。それは「働く考え方改革」です。
働き方の多様性を認め、それぞれが望むような働き方を実現できる社会を目指す「働き方改革」。労働時間の抑制が進み、ワークライフバランスがしっかりとれるようになると期待されていますね。
ただ、この働き方改革は手放しで喜べるものではありません。というのも、現状のままでは日本全体の生産量が落ちてしまうことが明らかだからです。「最低限働いたら、あとは自分の時間です。そこでもうひと頑張りして仕事をするか、プライベートに充てるかは自由」。こういわれたとき、いったいどれだけの社会人が自発的に働くことを選ぶでしょうか?
「いやいや、うちの社員は仕事に熱心だから大多数が自発的に働いてくれるはずだ」。こういう人事担当者は、正直見通しが甘いと言わざるを得ません。その理由は、社員の仕事に対する意識を見れば明らかです。
世論調査会社として世界的に有名なギャラップ社が行った、「仕事への熱意」に関する調査があります。これによると、なんと今の日本には「熱意溢れる社員」はわずか6%しかいないそうです!そして残りの94%のうち24%は「周囲に不満をいう無気力な社員」で、70%は「やる気のない社員」という結果に。ちなみに、アメリカ、カナダの熱意の溢れる社員の割合は31%だそうです。
この数字を見てどう思われましたか?調査結果から言えば、あなたの会社に熱意溢れる、つまり仕事に対してポジティブな意識を持つ社員は10人に1人もいません。それどころか、20人中19人はやる気のない社員なのです。これでは生産性など上げられるはずもありませんよね。
この調査は世界139ヶ国で行われたのですが、6%という数字は139ヶ国中132番目でした。今の日本は仕事に対して「熱意」や「ポジティブなイメージ」を失ってしまっているようです。これから働き方改革が推進されていくにつれて、日本人の労働時間はどんどん減っていき、全体の総生産量も減少の一途をたどっていくのは明らかでしょう。
「日本」というくくりだとスケールが大きく感じるなら、あなたの会社に限定してみてください。生産効率が変わらないまま労働時間が減れば、その分生産量、つまり売上げは落ちていきます。何も変わらなければ当然、今の水準をキープすることはできません。これからも活気があって社会から必要とされるような会社にするためにはどうすればいいのか。必要なのは、社員の意識を変えることです。健全な労働を後押しする働き方改革ももちろん大切ですが、その先も見据えるならば、社員の仕事に対する意識をポジティブなものに変える、「働く考え方改革」にも目を向けていかなければなりません。
働く考え方改革とは、その名の通り「働く」ことへの意識を変えることを指しています。社員の意識を変えて、もっと能動的に、自律的に仕事に取り組ませることで、働き方改革に呑まれない体制を作りましょう。
そのためにまずするべきなのは、社員の意識の吸い上げです。アンケートを取ったり聞き取り調査を行ったりして、社員が「働くこと」に対してどのような意識を持っているかを確かめてみましょう。
もしかしたら多くの社員が、働く目的を「収入」や「知識・スキルを得るため」と答えるかもしれません。今、これを読んでいる人事担当者の中にも、同じ考えの人がいるかもしれませんね。しかし、働くということの本当の目的は、社会や顧客に対して価値を提供する、というところにあるべきです。収入はあくまでその対価でなければなりません。
ただ、社会に価値を提供していくと言っても、「どのような価値」を「どうやって提供していくか」は会社によって異なります。そして、その考え方は「企業理念」に現れていることがほとんど。人事担当なら、自社の理念くらいは言えますよね。会社の本来あるべき姿というのは、理念に共感した人々が集まって、同じベクトルで社会に価値を提供していく組織です。
ただ、会社の規模が大きくなってくると「企業理念のもとに同じベクトルで全員が頑張る」というのはどんどん難しくなっていきます。やがて理念が分からない、よく知らない、というような社員が増えると方向性がバラバラになり、結局「熱意溢れる社員」の割合もどんどん低下していくのです。働き方改革に呑まれる会社の典型ですね。
社員の仕事に対する意識をポジティブなものに変え、働き方改革が実施されても活気ある会社であり続ける。これには会社がどのように価値を提供していくのかを示した企業理念の浸透が一番効果的です。価値を提供できるすばらしさを再確認させることで、仕事に対する意識もポジティブなものに変えていくのです。
また、理念の浸透による「働く考え方改革」は、働き方改革への対抗手段としてのみ役立つものではありません。「最近会社の雰囲気が悪くなってきた気がする」という時にもぜひ活用してみてください。理念を理解する社員が増えれば、何のために仕事をしているのかについての統一見解が社内で出来上がるはずです。それに伴い「収入のため」「生活のため」に働く社員がいなくなり、代わりに「お客様のため」「価値を提供するため」に仕事をする、という雰囲気が醸成されてくるはずです。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
あなたの会社では、「給与」をどのようにして決めていますか? 私たちが主宰している学習プログラム「人事の学校」を受講している経営者や管理職には「給与の決め方がよくわからない」という方が多くいます。給与の決め方は、「何」を大事にして社員を評価するかによって異なります。今回は、知っているようで意外と知られていない「給与の決め方」について解説します。
注目されている「ジョブ型雇用」は、
すべての会社にとって有効というわけではありません。
会社が人材についてどのような問題を抱えているかによって、
毒にも薬にもなり得るのです。
今回はジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用について、
そしてそのメリット・デメリットについて解説いたします。
コロナ禍で黒字リストラが増える中、従業員シェアやワークシェアリングなどの雇用を守る取り組みが注目されています。どちらも有効な施策ですが、長期的に継続するかどうかが鍵となります。そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、雇用を守るために人事担当者がすべきことについてお伝えします。
第4次人事革命において最も重要なのは、「どこでも通用する人材」をつくる人事施策です。それができれば優秀な人材が集まります。「あの会社に入れば、どこでも通用する」というのは、どんな求人メッセージよりも強力です。今回は、フォー・ノーツ株式会社の代表であり『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、どこでも通用する人材=「超ジョブ型プロフェッショナル」のつくり方をお伝えします。
新しく人を雇う新規採用は、多くの企業が困っているところです。
「せっかく雇ったのにすぐやめてしまう」「求める社員が来てくれない」。
これらの原因は、意識のミスマッチであることがほとんど。
人事ポリシーを利用して、応募者と事前に意識をすり合わせておきましょう。
「そろそろ評価の時期だから、気にしておかなきゃ」
このように考える人は、評価する管理職にも、評価される社員にも少なくありません。
「評価の時期だけ自分の評価を気にする」――果たして、それで良いのでしょうか?
社員の育成に欠かせないキャリアステップ。
しかしいざ策定するとなると
何から始めればいいのかわからないのではありませんか?
そこでキャリアステップ策定の方法や意識しておいてほしいことを、
前後編に分けてご紹介します。
「人事異動」は誰にとっても大きなイベントですが、人事担当者にとってはまた異なった意味を持ちます。
では人事担当者はどのように進めるべきなのでしょうか?
そして人事になりたての人間は「人事異動」に向けてどのように振る舞えばよいのでしょうか。
著者の経験談も混じえて解説いたします。