2024.04.03
がんばっているのに評価されない。昇進できない。給料が上がらない。 そんな不満があって転職を考えている人もいると思います。 たしかに今いる会社がすべてではありません。自分の能力をより発揮できる会社、より評価してくれる場所を求めて転職するのもキャリアアップのひとつの方法です。
がんばっているのに評価されない。昇進できない。給料が上がらない。
そんな不満があって転職を考えている人もいると思います。
たしかに今いる会社がすべてではありません。自分の能力をより発揮できる会社、より評価してくれる場所を求めて転職するのもキャリアアップのひとつの方法です。
ただし転職を考える際に大切なのは、その目的です。中途採用の求人広告でよく見かける「転職で年収アップ」といったフレーズに惹かれて安易に転職することはすすめられません。
これまで多くの転職者を見てきた経験を根拠に言わせていただくと、転職したからといって必ずしも年収が上がるとは限りません。もっとはっきりいえば、年収アップを転職の目的にすると、だいたい失敗します。
「鳴り物入りで入社した中途採用は鳴らない」
これは人事の間では、半ば常識とされています。年収アップを目的に入社した中途採用は、年収に見合った働きができないことが多いもの。そのため採用する場合は、年収に見合った働きをしなければ、2年目からは年収を落とせるように準備しているケースも多々あります。
企業側のニーズと転職者側の希望が100%マッチすることはまずありません。年収アップを目的に転職してしまうと、企業側が求めるニーズと自身が求める方向性が大きくズレてしまうことが多く、長続きしないのです。
ですから、仮に転職をしようと思うのならば、「年収」よりも「理念」を優先したほうが成功しやすいと言えます。
企業には、それぞれの理念があります。理念とは、その会社の目的であり、存在意義であり、世の中にどのような価値を提供するのかを示すもの。会社は、その理念を実現するための場所なのです。
理念とは、いってみれば会社の思想のようなものです。年収だけを目的にして、共感できない考え方の会社に入ってしまうと、たとえ年収はアップしても長続きしません。理念を見ないで転職すると、次の会社でもまた同じ失敗を繰り返します。
逆に、理念に共感できる企業に転職すれば、働く目的も会社と一致するため、自身の能力を発揮しやすくなり、継続的に成果を出しやすくなります。
リーダークラスの評価基準として「理念浸透」という項目を設けている会社も数多くあります。会社の理念に共感し、理念に基づいた行動をとっているか。理念の浸透をメンバーに働きかけているか。これは昇進に大きく影響する評価項目なのです。
よって年収を下げてでも、その会社で働きたい、その仕事をしたい。そんな「自分が本当にやりたいこと」を実現できる場所が見つからないのであれば、一度立ち止まって考えてみたほうがいいでしょう。
そうはいっても「転職」について考えてみること自体は、実はとても重要といえます。なぜなら、自分の「市場価値」を見つめ直すことができるからです。
私たちの会社では、人事制度の構築や見直し、評価、育成、給与など、企業の人事全般にわたるコンサルティングを行っているため、300社以上の企業から、さまざまなご相談をいただく立場にあります。
その中でも特に多いのが、「困った人をどうしたらいいでしょうか?」というご相談です。
困った人とは、仕事をしない、成果が上がらない、周囲と協調できない、部下を育てられないなど、個別の事例はさまざまですが、その代表格といえるのが「年収に見合った働きをしてくれない社員」です。
定期昇給でどんどん給与が上がってしまい、年収は高い。しかし、業績・成果は上がらず、年収に見合った働きをしてくれない。
年収と成果にギャップがある社員はできれば辞めてほしい。それが会社の本音ですが、辞めさせてしまったら、本人は他に行くところがありません。他社に行ったら、絶対年収が落ちてしまいます。
それは本人も自覚しているので、給料が下がっても辞めないし、会社も退職勧奨をしづらい。仮に給料を下げられたとしても、それ以上にやる気も下がり、ますます「困った人」になっていく。
こうした負のサイクルに悩んでいる企業が数多くあります。会社にとっても、本人にとっても、これほどしんどいことはありません。
つまり、「転職」を考えるということは、「自分が困った人になっていないか」「自分には転職できる力はあるのか」「他社に行っても通用するのか」、といったことを見つめ直すことにつながるのです。
会社にとって理想なのは、「どこに行っても通用する力を持った社員が自社にいること」。そういう人が評価され、昇格も昇給もしていきます。そうした状態を目指しましょう。
そのために必要なのは、普遍的な力を身につけることです。
私たちはキャリアを積むごとに、その役割や年収に応じた高い成果を求められます。高い成果を上げ続けるためには相応のコンピテンシー(成果につながる行動)が必要となります。
組織の規模などによって階層ごとに求められるコンピテンシーは異なる場合もありますが、「計画立案」「進捗管理」、あるいは「人材育成」「傾聴力」「動機づけ」といった普遍的なスキルはどんな組織においても必要です。
これらのスキルがどんな組織でも通用するからこそ、私たちは転職して、別の会社や異業種でも仕事を続けることができるのです。
そして何より「この会社を辞めたら行くところがない」と不安を抱きながら働くよりも、「いざとなったらどこへでも行ける」と思えたほうが幸せに生きられます。
今の自分は他社でも通用するのか?
しないとしたら何が足りないのか?
自分の現在のスキルを改めて確認してみましょう。それがあなたの「市場価値」を高めることにつながります。
安易に転職を考えるのではなく、その前に一度自分の価値を顧みてみることをおすすめします。
次回に続く
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
このたびの社会情勢により、日本は未曾有の不況に陥ろうとしています。働き方に対するこれまでの常識もすべて崩れ去り、リモートワーク、オンライン会議、よりフレキシブルな通勤タイムなど、「新しい働き方」の価値観が根付いていくのは避けられそうにありません。このように労働環境が激変する中にあって、「より企業に求められる人材」とはどういったタイプなのか、これからの時代を生き抜いていくためには「何」をしなくてはいけないのか、私たちは改めて考える必要があります。
新人研修、ビジネススキル研修、コミュニケーション研修、プレゼンテーション研修、管理職研修、問題解決研修、ハラスメント研修……。 会社にはさまざまな社員研修があり、年々増え続けているように思えます。 その一方、20代の多くが「研修なんて時間の無駄」と考えているという話もあり、 30代以上の管理職でも「研修って必要なの?」「役に立たない」と口にされる方も少なくありません。
総務省統計局が2020年5月に発表した「労働力調査」によると、役員を除く雇用者5661万人のうち、正規の職員・従業員数は3508万人と、前年同期に比べて51万人の増加。非正規の職員・従業員は2153万人と、9万人が減少していました。「非正規雇用から正規雇用になるには、どうしたらいいのでしょうか?」私は非正規雇用の方々からこのような質問を受けることがあります。この数値が表しているように、実は正規雇用になるのはそれほど難しいことではありません。
ビジネスパーソンにとって、大きな悩みのひとつが「上司」です。ダメな上司の部下になってしまい、悩んでいる人も多いでしょう。私も先日、このような相談を受けました。 「うちの部署は離職率が高い。上司がダメ管理職なので困っています」 人材育成は、管理職の重要な役割。上司が本当にダメな管理職だったら、然るべき対処が必要です。ただ、その前に知っておいてほしいことがあります。
あなたは、現在の自分の評価やポジション、給与などに満足していますか? このような悩みはないでしょうか。「高い業績をあげているのに、会社から評価されない」「実力と給与が見合わない」「自分ではなく、○○が昇進するのが納得できない」 私はこれまで1万人以上のビジネスパーソンの昇格面接や管理職研修を行い、300社以上の企業の評価・給与・育成などの人事全般にたずさわってきました。そして、多くの方々から上記のような不満や悩みを伺ってきました。評価されない、給与が上がらない、昇進できない。これらのケースの場合、その理由はさまざまですが、実は多くの人が気付いていない盲点があります。
業績をあげているのに評価されない、給与が上がらない、昇進できない、そんな不満や悩みがある場合、自分では気がつかない原因があるものです。 そのひとつとして考えられるのが、「提出物」です。 交通費や経費の精算、業務報告書、決裁書、請求書、タイムシート、年末調整申請書、自己申告制度のアンケートなど、会社にはさまざまな提出物があります。
リモートワークの浸透によって、日本の雇用制度のあり方が大きく変わろうとしています。「成果」を評価することは、リモートワーク時代におけるマネジメントの方向性として正しいと思います。「成果」は、そこに至る「プロセス」によってもたされますが、リモートワークにおいて「プロセス」が見えにくいとすれば、「成果」を重視せざるを得ない、ということは間違いないでしょう。
「うちは、好き・嫌いで評価していますから……」 給与、昇進、ボーナス、異動、さらには左遷やリストラなど、会社員の人生はすべて「評価」によって決まります。 評価が高ければ、給与が上がり、昇進し、ボーナスも上がる。 評価が低ければ、給与は上がらず、昇進もできず、リストラもあり得る。 ビジネスパーソンにとって本来「評価」は極めて重要なものです。 にもかかわらず、何をすれば評価が上がり、評価が下がるのか。ほとんどの会社では、その基準を明らかにしていません。