2018.10.14
人事の仕事というのは売り上げ・利益に直結するものではありません。
そのためか、人事担当者には「会社に貢献している」という意識が低いようです。
今回は人事対象者を対象に行われたアンケートを参考に、人事担当者の現状とあるべき姿を見ていきます。
「私の仕事は会社に貢献している!」
人事担当者のあなたは、胸を張ってそう言うことができますか?
人事は売上をあげない管理部門なので、目に見える会社への貢献というのは実感できないかもしれません。しかし管理部門である人事だからこそできる別の形で、会社へ貢献することができるのです。それは、会社の将来を見据えた人事施策を描くこと。いわゆる戦略人事と呼ばれるものです。
会社というのは社員がいなければ回りません。その社員を採用・育成し、活躍できるようにしていくのは人事担当者です。本来人事というのは会社の根幹、将来を担う部署であるはずなのです。では、実際に人事に携わっている現実の人事担当者たちは、どのような認識を抱いているのでしょうか?
ビジネスでは他社との競争に勝たなくてはなりません。そのための競争優位を生み出すことに人事部門は貢献しているか、を「人事担当者本人に」を問うたアンケート(株式会社アイキュー 日本の人事部 人事白書2017。以降のアンケートも、こちらより引用しております)を参照してみましょう。
結果はなんと、貢献していると答えた人事担当者はわずか33.7%。自分の仕事っぷりを聞かれているにもかかわらず、なんとも自信のない結果です。
このアンケートをもう少し詳しく見ると、業績の良い会社の人事部門ほど、競争優位を生み出すことに貢献していると感じている割合が高く、自身の働きに自信を持っていることが分かります。もっとも割合にすれば、それでも半分以下でした。
それでは今度は、自分たちが「戦略人事」として活動できているかを聞いたアンケートを見てみましょう。
ちなみに戦略人事というのは「企業経営において経営戦略と人材マネジメントを連動させることによって競争優位を目指そうという考え方及びそれを実現させるための人事部門の機能や役割などを示す概念」のことで、要するにタスク消化型ではなく会社にとって何が必要かを考えて施策を打ち出す人事を指す言葉です。当たり前のことだからいまさら言葉にしなくても……、という思いはありますが、ひとまず進めていきす。
このアンケートでは、戦略人事として「活動できている」と答えた人の数はわずか33.2%しかいません。人事部門の3人に2人は、自身を戦略人事ではなくタスク消化型の人事だと評価しているのです。
自分たちが競争優位を生んでいるか?戦略人事を行えているか?
この2つの質問で人事担当者たちの自己評価がいかに低いかが分かりました。日本の人事担当者のうちの3人に2人は、自分が会社に貢献できていないと思っているのです。果たしてこれでいいのでしょうか?
もちろん、良いわけありません。人事担当者が会社に貢献するのを阻んでいる原因は、いったい何なのでしょうか?「経営戦略と人事戦略のリンクの阻害要因」に関するアンケートもありますので、こちらを参考にしてみます。
挙げられた原因として圧倒的に多いのが、人事部門のリソースの問題です。次にメンバーの能力の問題、経営陣の問題……、と続いていくわけですが、これらは正直周囲の環境を言い訳にしているようにしか見えません。自分たちの意識の低さを、リソース不足や自分たちへの理解不足といった、どうしようもないような原因にすり替えて逃げているのです。
確かに他の部門や部署なら、こうした状況をひっくり返すのは難しいかもしれません。しかし、人事担当者ならばこの言い訳はするべきではないでしょう。
なぜなら、人事の仕事には社内調整も含まれているからです。上層部には振り回され、現場からは突き上げられる。そこを上手く調整して、会社、経営者、社員を同じ方向に向けていくのが人事の仕事です。せめて自分たちのことくらいは解決できるようでないと、ちょっと頼りないですね。
社内において、人事部門ほど多くの社員や役員とコミュニケーションをとれる部署はありません。積極的にいろんな人とコミュニケーションをとって味方を増やしていけば、いつか人事部門が自信を持って仕事をできる日も来ると思います。
人事の仕事で胸を張る。これには戦略人事が欠かせません。
いきなり戦略人事と言われても難しいかもしれませんが、人事についての勉強から味方集めまで、出来るところからコツコツと頑張っていきましょう。
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