今再び注目を集める「ジョブ型雇用」や「成果主義」。 決して新しい考え方ではありませんが、これからの働き方を考える中では重要な要素です。これらの導入には、ジョブディスクリプション(職務記述書)が必要ですが、策定や運用には多くの困難が存在します。 今回は代表西尾から、これからの時代の働き方や評価についてお伝えしていきます。

リモートワーク時代には、プロセス(働きぶり)が見えにくいので「成果を見る」というのは、方向性としてはありだと考えますが、そもそも多くの会社で導入されている「目標管理制度(Management By Objectives And Self-Control=MBO)は、60年以上前にピーター・F・ドラッガーさんが提唱し、多くの日本企業が導入してきたものです。
目標管理は、働く社員ひとりひとりが組織目標達成に向けて、自分は何をしたらよいか自ら考え目標を設定し、組織の承認を得て、セルフコントロールして達成していく。それにより組織目標が達成されていく……というものです。
人から強制されるのではなく、自主性を重視したマネジメントこそが、モチベーションを高めていく、ともされています。
当時は、肉体労働から知的労働への転換が進んでいた過渡期でした。知的労働のマネジメントには、いちいち指示命令するのではなく、社員のセルフマネジメントに委ねていく形が有効とされていたのです。60年前にリモートワークはありません。しかしこの考え方は、まさに今、改めて求められていることです。
ジョブディスクリプションは誰が作るのでしょうか。会社でしょうか。働く本人ではない、「誰か」が詳細にジョブを決めるのでしょうか。それでやる気になるのでしょうか。少しでもジョブディスクリプションと違うことを求められたり、あるいは自らやろうと思ったりした場合にはどうでしょうか。
ここまで考えたときに、目標管理という考え方は古そうに思えます。
しかし改めて見つめてみると、「ジョブディスクリプションは社員それぞれが作ればいいのではないだろうか」というところに行きつきました。
自分に求められるミッションを自ら考えて、自分で自分の仕事を書いて上司の承認を取る。それにより「ジョブサイズ(責任の重さ)」が示せれば、報酬を自らイメージできる。
また、そのジョブサイズにおける(組織目標を達成するための)自らの目標を明確に設定し、これも承認を得て、あとは自らをマネジメントして成果に向かう。これだけのことではないでしょうか。
ジョブ型でもメンバーシップ型でも、この「セルフマネジネント」をしっかりしていくことができれば、リモートワークも十分に機能するのではないでしょうか。
ちなみに、BSC(バランススコアカード)も昨今流行りのOKRも、根っこのところは目標管理です。
ミッションの規定は、「〇〇をより〇〇する」といった書き方がよいでしょう。「社員がより働きやすい環境を作る」「経営により早い経営数値を提供する」「〇〇という商材を用いて、より顧客満足度を高める」といったところでしょうか。
目標設定場面などで、「あなたのミッションは何ですか?」と伺いますが、しっかりと設定できていない方もいらっしゃいます。ミッションが会社の期待とまるでずれていれば、ジョブサイズも目標も、的外れなものになるリスクがあります。会社とすり合わせれば、そういったケースも少なくなるでしょう。
ジョブサイズ設定については、前回もお伝えしているように階層ごとに、「部長クラスならば、このくらい」「課長クラスならばこのくらい」「専門職ならばこのくらい」と定めれば難しくはありません。
私たちがこれまで提唱してきたコンピテンシーモデルにおいても十分定義できます。
例えば、部長クラスであれば、「部のビジョンをつくり経営の承認を得て明示する(ビジョン策定)」「ビジョンに向けた3年間の戦略を策定し、経営の承認を得て、メンバーに明示する(戦略策定)」「30人規模の組織を率いてマネジネントする(組織運営・業務委任・人材育成)」「●億円規模の売上に責任を持つ(目標難易度)」などです。
課長クラスならば「1年間のチームの業績の責任を負う(目標設定・計画立案・進捗管理)」「チームメンバーの育成に責任を持つ(人材育成)」などでしょう。
専門職ならば「専門性により、部門の戦略策定に参画する」「新たなビジネスアイデアを定義する」「社外の人的ネットワークを持つ」などとなります。
これらを一定の指標にし、各社員がジョブサイズを設定することも想定します。(課長クラスのジョブサイズだが管理人数が大きい、課長クラスのジョブサイズだが新規事業創出の責任者としてのジョブがあるなど。)これらを踏まえて「自ら」申告することが理想的な形でしょう。
ここまでできれば、リモートワーク管理も全く問題になりません。
成果主義の反省として、「短期的視点に偏る」「個人主義に偏る」といった弊害が挙げられますが、ここではBSCの視点が役立ちます。
「売上・利益など財務的な目標視点」「財務的な目標達成のために、顧客にどのような価値を提供するかの視点(提供する商品・サービスの質・量、顧客接点など)」「価値提供のための仕組みの構築、効率化の視点」「人材育成・能力開発の視点」「革新的なイノベーションの視点」と視点ごとに目標を設定すると、抜けもれが少なく、中長期的な視野を持った目標を設定できます。
簡単とは言えませんが、このような運営はリモートワーク時代の人事マネジメントとしては、すぐに始められることです。
流行りものの「やり方」に飛びつくのではなく、自社の「考え方」を改めて明確にして、その上で、できることを着実に実行していくことが求められるのです。
【記事の続きはこちら】
緊急提言! ジョブ型雇用は“本当に導入すべき?” 検討する際に気をつけなければいけないこと <最終回>
【前回の記事はこちら】
緊急提言! ジョブ型雇用は“本当に導入すべき?” 検討する際に気をつけなければいけないこと <第2回>

人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?

中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。

ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!

テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。

人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
「離職率を下げる」という目標を持っている会社は少なくないでしょう。
その目標を持って私たちにご相談いただく企業様は、
ブラック企業でもなく、労働環境が悪いわけでもない、ごく普通の企業様ばかりです。
ではなぜ人が辞めてしまうのでしょうか?
その理由は、「人事ポリシー」にありました。
今再び注目を集める「ジョブ型雇用」や「成果主義」。 決して新しい考え方ではありませんが、これからの働き方を考える中では重要な要素です。これらの導入には、ジョブディスクリプション(職務記述書)が必要ですが、策定や運用には多くの困難が存在します。 今回は代表西尾から、これからの時代の働き方や評価についてお伝えしていきます。
人事5年目に必要なことを、フォー・ノーツ代表の西尾がお伝えします。
人事5年目ともなれば仕事ぶりも板についてきたはず。
このフェーズでは今やっている仕事に意味や理由を、
周りに説明できる能力が求められます。
さらにステップアップしたいという方は、5年後、10年後の会社の姿を考えて、
それまでに何が必要かを考えて行動してみましょう。
新型コロナウイルスの影響によって消費が落ち込み、飲食店やショッピングモールなどの営業自粛も相まって、業績が低迷している企業が増えてきました。 こうした緊急事態、かつ長期戦が見込まれる時こそ、企業は数年後の展望を見据えた事業戦略を立てることが大事です。 こうして立てられた事業戦略をもとに今後の人事戦略を考えていきましょう。
人事担当者が知っているようで知らない「試用期間」。
きちんと理解しておかないと、後でトラブルに発展する可能性も。
人事担当者がぜひ押さえておきたい、「試用期間」に関する基礎知識とは?
テレワークであっても成果を出すために、社員の働き方を監視する「監視ツール」を導入する企業が増えています。しかし、監視ツールを導入するよりも重要なのは、「適度なルール」と社員との「大人の関係」。
今回は、テレワークにおける人事管理の大事なことについてお話します。
人事の仕事というのは売り上げ・利益に直結するものではありません。
そのためか、人事担当者には「会社に貢献している」という意識が低いようです。
今回は人事対象者を対象に行われたアンケートを参考に、人事担当者の現状とあるべき姿を見ていきます。
日本企業はなぜ年功序列から脱却しなければいけないのでしょうか? 90年代のバブル崩壊からながらく脱年功序列、脱日本型雇用が掲げてられていましたが、結局ほとんどの企業は年功序列を脱し切れていません。企業を破滅に導く「年功序列」の弊害を改めて考えてみましょう。 総合人事コンサルティングのフォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP )の著者・西尾太が、年功序列の現状と課題についてお伝えします。