導入事例
事業拡大を考える企業にとって、
早期の人事制度導入は必要不可欠!
ベンチャー企業の経営者にフォーカスを当てたフリーペーパー「ベンチャー通信」の創刊から始まったイシン株式会社。活動拠点を日本のみならず、USAやシンガポールにも置くなど、グローバルで多角的な経営をポリシーとされています。
2005年に旧社名「株式会社幕末」として設立されてから13年、比較的早い段階での人事制度の導入は組織にどのような変化をもたらしたのでしょうか。
そのキーワードとなったのはフォー・ノーツの提供する人事制度の「コンピテンシー(Business Core Action Value45)」の概念だと言います。
人事制度構築の段階から議論に参加されていた管理部部長T.O氏にお話を伺いました。
中間マネジメントが適切な評価をするための基準が人事制度
――人事制度を導入することになったきっかけは何でしたか?
私がイシンに入社した頃は、まだ社員数は15名ほどでした。しかし翌年には20数名、その翌年には30名を超える社員数となり、社長をトップとしたいわゆる文鎮型の組織では限界を迎え始めたんです。
そこで会社の組織図を作成し、中間マネジメントを設けることにしました。
当初、私と創業者である明石、現在USA法人の代表を務めている者の3人で議論しながら組織図作成を進めていました。その中で当時「何となく」で行っていた人事を学び始め、「今必要なものは人事制度と評価基準だ」と確信するに至ります。
評価基準があれば社長が全ての社員を見ていなくても、マネージャーが適切な評価を下せるようになるだろうと。しかし私たちには人事制度を構築するノウハウはない。
そこで「人事の学校」でもお世話になっていた西尾社長にお願いすることになったのです。
――人事制度が構築された際、スタッフの方からの反応は何かありましたか?
西尾社長にお越しいただき説明会を行ったことで「今までよりもわかりやすくなった」という声が多かったです。反発も特にありませんでしたが、ただ最初のうちは「そのように人事評価制度が変わった」という事実があるのみで、考え方が浸透して社員の意識が変わるまでには3~4年かかったように感じます。
弊社は営業職が多いので、「売上成績」というわかりやすい評価基準とは異なる基準、特にコンピテンシーの概念が入り、プロセスも大事にする考え方が浸透するのには時間がかかりました。
――人事制度が馴染んだきっかけは?
マネージャー同士のコミュニケーションを意図的に増やしたことにあります。
例えば週に一度、マネージャー全員が集まる90分の会議を設けました。その場でマネージャーそれぞれの考えを把握します。そして3ヶ月に一度、丸2日かけてマネージャー陣と経営陣でじっくり会議を行うんです。
1日目は事業、2日目に組織についての課題を洗い出しながら議論しています。2年前ぐらいから始まったのですが、段々と恒例となり、評価者ごとの価値観やものごとの良し悪しに対する考え方を共有できるようになってきました。
会議を行う中ではもちろん部下の評価の話にもなります。その際に、コンピテンシーという概念は非常に役立ちました。私たちの価値観の背骨とも言うべき基準になっています。
漠然としていた採用したい人物像を共通言語化
――人事制度の運用しやすさはどうでしたか?
コンピテンシーの考え方が浸透するのに時間がかかったと申し上げましたが、一度浸透してしまえば評価を考える上での大きなキーワードとなって、人事制度の運用がしやすくなりました。
人材育成はもちろんのこと、採用領域でもその考え方は活かされています。
――どのように採用に活かされているのでしょうか?
人事制度を導入する前は、採用したい人物像が漠然としていました。
私は管理部に異動になる前は営業をしていたので、「どれだけ人と仲良くなれそうか」ですとか、「コミュニケーション能力がどれぐらいあるか」といった目線で見がちな部分がありました。
しかしコンピテンシーの概念が入ったことによって「売上を上げてくれそう」というような「何となく」の印象を因数分解することができるようになったんです。
「愚直さが見える」「わかりやすく伝えられる力がある」、欠点で言えば「進捗管理が甘い」「自分を客観視できていない」など、ボキャブラリーが増え、印象を共通言語化して共有できるようになりました。今考えると、「売れそう」とか「人に好かれそう」とかで判断していたのは危なっかしかったなと感じます。
人事や採用に対する考え方も共通言語化できるようになったので、私の後任で採用担当となる部下にも引き継ぎがしやすくなりました。「どのような人材が今会社に必要か」というのを言葉にしなくても理解してくれますし、疑問ができたらすぐに聞いてくれます。
今まで感覚だったものが共通言語となり、その結果言葉を必要としなくなるまで浸透しているという点はかなり大きいですね。
経営者の理念やポリシーを魂として人事制度が出来上がる
――フォー・ノーツのコンサルティングの特徴はどういった部分にあると感じましたか?
人事制度構築にあたり、西尾社長と弊社代表明石が行っていたミーティングを横で拝見していましたが、明石がどのような理念やポリシーを持っているのかのヒアリングに重点を置いていたように感じます。
「人事制度とはこういうものです」という説明と同時に、「どう思われましたか?」「どうしたいですか?」という質問もいただくんです。
おそらく制度自体にある程度の型はあるにしても、制度に魂を入れるタイミングで、経営者の価値観や性格など様々なものが合わさって初めて「その企業の人事評価制度」が出来上がる。そのような考え方をお持ちなのだろうなと感じ、とても安心したのを覚えています。
とにかく西尾社長には、相談がしやすいんです。
更に講義一つをとっても、様々な経験や実践に裏打ちされていると端々で気付くようなお話をされるのでとても勉強になります。
先日弊社にお越しいただいて実施した管理職研修でも、新任の管理職が多かったこともありますが、評価に対するスタンスを変えていただいたと感じました。実際に研修後のアンケートでも評価と真剣に向き合う姿勢を意識し始めた、という声が多かったです。
――今後の目標についてお聞かせください。
経営理念にも掲げている「グローバル」「差別化」「事業家」は今後も経営のキーワードとなります。
「世界的視野を持った事業家たちが差別化された事業を通じて社会の進化に貢献する」を標榜しており、今後ますますグローバルに、かつ新しい事業を行なっていきたいと思っています。
その時、例えば海外の方の採用や評価をどうするか、事業が多様化してきたときに、どうやって人事制度を運用するかなど、様々な課題が出てくると思います。
ですので、人事評価制度のブラッシュアップはこれからも行っていきたいですね。
今でも年に一度は西尾社長にお時間をいただいて相談をし、常に改善し続けています。
――現在、人事制度導入や人事に関することに悩まれている企業へメッセージをお願いいたします。
弊社はまだ従業員数が少ない時期に人事制度を導入しました。一般的には早いタイミングに感じるかもしれませんが、逆にこれがよかったと感じています。
特に事業の拡大を図っていくのであれば早めに導入した方がいいと思いますね。
人事制度を構築するにあたって企業のポリシーに立ち返ること、逆に人事制度でポリシーを具現化することは事業拡大において必要不可欠なことだからです。
もちろん人数が少ないうちから導入することで浸透率を上げられるという利点もあります。
ただ、その成長フェーズにおいてゼロから人事制度を作れるほどのリテラシーを持つ人が社内にいるはずはないので、フォー・ノーツさんのような外部の人物・企業に相談をし、まずは知恵を求めるといったアクションが大事なのではないでしょうか。
会社名:イシン株式会社
代表者:代表取締役 片岡 聡 氏
設立:2005年4月1日
従業員(グループ計):76名
事業内容:メディア事業 /グローバル事業/投資育成事業
WEB:http://www.ishin1853.co.jp/