2024.10.02
社長の独断による抜擢は逆効果 ベンチャーや中小企業には「人事部」という部署がなく、社長が人事を兼ねていることが […]
ベンチャーや中小企業には「人事部」という部署がなく、社長が人事を兼ねていることがあります。大企業の人事はどちらかというとロジカルな世界で、仕組みも確立されていますが、小さな会社では社長が直感で人事に口を挟みがち、決めがちです。
これがすべて悪いわけではないですし、よい面もたくさんありますが、今回はそういう場合に陥りがちな、間違った人事ジャッジについてお伝えしたいと思います。
まずは「抜擢」です。社長は、目立つ社員、成果を出している社員がいたら、たとえ若手であっても部長などの要職に抜擢したりします。そうすれば、他の社員も「よし俺も頑張るぞ!」と奮い立つだろう、「もっと頑張ってくれるだろう」と考えているのです。
しかし、これがかえって逆効果なことが多々あります。「なんであいつが!?」「社長に気に入られているからねぇ」「もっと他に頑張っているやつがいるだろう!」と周囲から反感をかったり、嫉妬され、むしろ他の社員のモチベーションが下がってしまうケースがあります。
抜擢された若手自身も、仕事はできても、まだまだ人を育てられなかったりします。そのため余計に周囲の反発を招いて、本人も行き詰まってしまい、結果的に会社を去ってしまうことさえあります。
社長の独断だけによる抜擢は、失敗することが多いと言えます。気をつけてほしい人事ジャッジのひとつです。
また、抜擢でよくあるのは、営業成績トップなどの「エースで四番」的な社員を管理職に登用することです。「エースで四番」を部長などに抜擢すると周囲も納得しやすいのですが、優秀なプレイヤーが優秀なマネージャーになれるとは限りません。
自分と同じ活躍を部下に要求して部下が疲弊する。あるいは、マネジメント力がないから本人が疲弊する。そんな悲劇が起こりがちです。
エースで四番はプレイヤーとしては優秀であっても、コーチや監督として優れているわけではありません。管理職にするなら、管理職としての教育が必要です。
また、管理職になってもプレイヤーとして仕事を続け、マネジメントをまったくしない。逆にマネジメントに専念することになったため、会社の売上が激減。そういうケースも多く、どちらの場合も会社にとってプラスになりません。
本人にとってもプレイヤーとしてずっと活躍できたほうが幸せだったりするのですが、中小企業やベンチャーでは、管理職にならないと給与が上がらないことが多く、エースで四番をきちんと処遇する制度がない場合も多くあります。
エースで四番を活かすには、マネージャーとプレイヤーを上下ではなく、並列の関係にすることも考えられます。「管理職になったら年収が上がる」という制度だけでなく、優秀なプレイヤーにも、同レベルの高待遇をする仕組みを考えるべきでしょう。
また、オーナー社長にありがちな「マイブーム」にも要注意です。あるとき「こいつはいい」と思った社員がいると、いきなり重用する。重用して、重用して、ミッションを与えて、与えて、どこかで砕けると、突然「もういらない」と飽きてしまう。
好きになりすぎて、嫌いになってしまう。社長のマイブームにはそんな傾向があります。
社長に評価されるのは大事なことですが、近づきすぎてしまうのは危険です。
社長のマイブームになって重用されたものの、最終的には飛ばされてしまった、会社を去ることになってしまった、私はそんな人をたくさん見てきました。
社長は、社内のことをいちばんわかっているようで、実はよくわかっていなかったりするものです。メンバー数名のベンチャーならともかく、80名を超えるぐらいの規模の組織になったら、社員一人ひとりをちゃんと見ることができるマネージャーが必要です。部長が4名、課長が10名くらいいれば、組織はきれいにまわります。
そういう管理職をしっかりつくらないと、組織は成長しません。
もうひとつは、お金です。給料を上げれば、社員のモチベーションが上がる。そう考えている社長が少なくないのですが、お金でモチベーションは買えません。
決算賞与を50万円渡したら、社員がものすごく喜んだ。「社長ありがとうございます」というメールもたくさん来た。ところが、翌年も50万円あげたら、さして喜ばれずメールも来なかった。翌々年も50万円だと「少ない!」と文句を言う社員が出てきた。こういう話をよく聞きます。
ボーナス、昇給、インセンティブ、福利厚生…。社長は社員のやる気を高めるために、さまざまな施策を考えますが、お金でモチベーションが買えるのは最初だけ。
すぐに当たり前になり、翌年も同額だったりすると、かえってモチベーションが下がったり、不満を持ったりして、持続しません。社員に適切な報酬を与えるのは大事なことですが、お金の使い方には気をつけなくてはいけません。
昇給についても「一度上げた給料は下げたくない」と考える社長が多いのですが、高齢化する社員の給料を一律に上げ続けていったら、どうなるでしょうか?
給与を上げるだけでなく、下げる仕組みも考えないと、経営は破綻します。実際それで立ち行かなくなっている企業がたくさんあります。
住宅手当や家族手当といった福利厚生も、社員のモチベーションを高める有効な施策になるとは限りません。手当は、もらえる人ともらえない人が出てくるため、これも不満の温床になったりします。そのうえ、一度付けてしまうと外せなくなります。
お金にまつわる施策を打つときは、相当慎重に考える必要があります。
「社員の給料を上げるぞ。そうすれば、みんなもっとやる気になるだろう!」
「優秀なやつにはインセンティブも出すぞ!」
「住宅手当や家族手当もつければ、応募者がもっと増えるだろう!」
社長がそう言い出したときは要注意です。「社長ちょっと待ってください!」と止める勇気も必要です。あなた自身が社長だったら、一度よく考えてみてください。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
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ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
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