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第1回 人事を「敵」に回しても何もいいことはない!

あなたは、現在の自分の評価やポジション、給与などに満足していますか? このような悩みはないでしょうか。「高い業績をあげているのに、会社から評価されない」「実力と給与が見合わない」「自分ではなく、○○が昇進するのが納得できない」 私はこれまで1万人以上のビジネスパーソンの昇格面接や管理職研修を行い、300社以上の企業の評価・給与・育成などの人事全般にたずさわってきました。そして、多くの方々から上記のような不満や悩みを伺ってきました。評価されない、給与が上がらない、昇進できない。これらのケースの場合、その理由はさまざまですが、実は多くの人が気付いていない盲点があります。

人事の目を意識していますか?

あなたは、現在の自分の評価やポジション、給与などに満足していますか?
このような悩みはないでしょうか。

「高い業績をあげているのに、会社から評価されない」
「実力と給与が見合わない」
「自分ではなく、○○が昇進するのが納得できない」

私はこれまで1万人以上のビジネスパーソンの昇格面接や管理職研修を行い、300社以上の企業の評価・給与・育成などの人事全般にたずさわってきました。そして、多くの方々から上記のような不満や悩みを伺ってきました。

評価されない、給与が上がらない、昇進できない。これらのケースの場合、その理由はさまざまですが、実は多くの人が気付いていない盲点があります。

それは「人事の目を意識しているか?」ということです。評価、給与、昇進・降格を決めるのは、あなたの上司だけではありません。経営陣だけでもありません。そこには多くの場合、「人事の目」が大きく影響しています。

人事は、成果や業績だけを見ているわけではありません。勤務態度、日頃の言動、出勤時間、就業規則の遵守、会社の理念に沿った行動など、その視点は多岐に渡ります。それらを経営者や管理職に伝えることが、人事の重要な役割なのです。

あなたが「思うような評価や給与を得られない」「昇進できない」といったことで悩んでいるのなら、「人事的な観点」が抜けていることに原因があるのかもしれません。

人事は経営に近いところにいる

人事担当者や人事部門に対して、「細かいことにうるさい」「面倒くさい」「胡散くさい」「秘密を握ってそうで怖い」「何をしているのかわからない」といったイメージを持っている人は多いと思います(本当はそうとは限らないのですが……)。

しかし、たとえそう思っていたとしても、人事とはうまく付き合った方がいいでしょう。媚びを売る必要なんてありませんが、少なくとも「敵」に回すことだけは避けるべきです。なぜなら、人事を敵に回しても何もいいことはないからです。

たとえば、重要なポジションが空いて、誰かを抜擢する際には、人事がリストをつくります。その際に、たとえ営業成績はトップでも「協調性を欠く」「就業規則を守らない」「部下の育成を行わない」といった社員は、人事では「問題社員」と見なして、リストから外すことがあります。

また、人事は経営に非常に近いポジションにいるため、経営者や役員から「アイツはどうだ?」「コイツはどうなんだ?」と意見を求められる機会が多く、人事の発言は、社員の評価、給与、昇進・降格などに大きく影響します。

そんな人事を敵に回してしまったら、あなたの将来は閉ざされてしまいます。

人事の発言は、あなたの評価に大きく影響する

人事は、採用、配置、登用、昇降格、評価、育成、給与、厚生、労務など、非常に幅広い領域を扱っている部門です。だからこそ「何をしているのかわからない」といった印象を持たれてしまうのでしょう。

ただ、ひと言でいえば、人事とは「人」のことを考えている部門です。

営業や企画が「商品・サービス」について考えているように、経理が「お金」、法務が「法律」について考えているように、人事担当者は「人」のことだけを考えています。

一例を挙げれば、人事は直接、社員の評価はしません。しかし、評価制度を整えたり、適切な評価が行われるように、評価会議を司ったりはしています。なぜなら、評価を通じて「人」を育てることが人事の重要なミッションだからです。

たとえば、管理職の中には「部下の何をどう評価したらいいんだろう?」と頭を悩ませている人が多く、甘い評価をつける人もいれば、辛い評価をつける人もいます。そのため、管理職によって部下の評価にはバラつきがあります。

それらの評価が適切かどうかを判断するのも、人事の重要な役割です。甘い評価をつけてきた管理職には、次のような指摘をします。

「部下に『A』の評価をつけるということは、今のままでOKですよ、と伝えることです。逆に『B』であれば、よくやっているけれど、もう少し改善してほしいということです。今、あなたの部下に伝えるべきメッセージはどちらでしょうか?」

最終的な評価を下すのは管理職です。しかし、このように「人事の発言」はあなたの評価に大きく影響しているのです。

人事の悪口は、すべて聞かれている

だからこそ、人事の発言は公正であるべきです。好き嫌いで社員を評価したり、処遇を決めるようなことがあってはなりません。

そのため人事担当者の中には、公正性を疑われないように、社員と二人で飲みに行くことを避けたり、他部署の同期と会う場合も会社から離れた場所を選んだりする者もいます。私はそこまでしなくてもいいと思いますけどね。

しかし、人事も人の子です。公正であるべきと自分を戒めてはいても、個人的な感情を完全にゼロにすることは難しいと言わざるを得ません。

人事を敵に回さないためには、人事の悪口は避けましょう。部下の評価や社員研修など、人事の施策には面倒くさいと思うことも多いかもしれません。それに対して真っ向から批判をされたり、意見を戦わせることは人事としても望むところですが、陰で悪く言っていると、信頼できない社員と判断されてしまいます。

人事は、社内の「人」の情報が集まる部門です。誰が誰の悪口を言っているといった情報はもちろん、社内恋愛すらも把握しています。陰で悪口を言っていると、必ず人事の耳に入ります。ほんの些細なひと言が、あなたのキャリアに大きな影響を与えてしまうことがないとは言えないのです。

この連載では、人事の目を通じて、評価や給与を上げる方法、昇進するためのポイントなどを、これから具体的にお伝えしていきます。人事が「何」を見ているのかを把握することは、あなたのキャリア形成においても有益な情報になるはずです。

次回に続く

 

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