2024.07.17
中高年の皆さん、暇ってありますか?もし暇な時間があるのでしたら、その活かし方こそが生きる道となります。中高年になると、仕事はそこそこでいいかなと考え、プライベートを充実させようとする人が増えてきます。それはそれで、いいことだと思うのです。プライベートが充実していれば、「暇」ではなくなります。
中高年の皆さん、暇ってありますか?
もし暇な時間があるのでしたら、その活かし方こそが生きる道となります。
中高年になると、仕事はそこそこでいいかなと考え、プライベートを充実させようとする人が増えてきます。それはそれで、いいことだと思うのです。プライベートが充実していれば、「暇」ではなくなります。
私自身もそんなに暇ではありません。最近太ったので時間があればスポーツクラブに行きますし、休日のどちらかはゴルフです。実家の母親の様子も見に行かなくてはならないので、空いている時間はあまりないです。
しかし、もし会社のなかで暇があるようでしたら「危ない」と思ったほうがいいです。週のうち半日ぐらい暇ならいいですが、毎日のように暇があるとしたら、会社にとって「いらない人」になってしまっているのかもしれません。
暇であること自体が危ない。そう認識したほうがいいでしょう。すぐにリストラされることはないとしても、時間の使い方について考える必要があります。
人生、先が短いのですから、暇な時間を無駄にしている場合ではありません。
会社にいる以上は、仕事に役立つことをすべきです。
では、何をしたらいいのでしょうか?
私のおすすめは、「小ネタのモジュール」を作ることです。
「小ネタのモジュール」とは、私の元上司が使っていた言葉ですが、要はちょっとしたエピソード集。自分が経験したことを、後進のために書き残すのです。
ネタは何でもいいのです。「クレームがあったときは、こうしよう」といった対応の仕方でもいいですし、「謝りに行くときは、〇〇の羊羹を買っていこう」といったちょっとしたアドバイスを残してもいい。「上司とうまくやるには、こうしよう」でも「お客さんと飲みに行くなら、〇〇がいいよ」でもいいでしょう。
大事なポイントは、抽象論ではなく、具体的なエピソードを簡潔に書くこと。
「仕事はマジメにやるべし」なんて書いても、誰も読んでくれません。「やりがいのある仕事だよ」だけでは、抽象的すぎてピンときません。
「こういう大事件があったときに、こういう対処をしたよ」とか「こういうヤツがいて、こういう失敗をしていなくなったよ」などと、できるだけ具体的に書く。
起承転結をつけて長々と書く必要もありせん。原稿用紙1枚くらいで十分です。
具体的で簡潔なエピソードなら、誰かに読んでもらえるでしょうし、そういう小ネタって面白いじゃないですか。
書きためたものは、会社のサーバーに上げてもいいですし、退職するときにデスクの上に置いていってもいいでしょう。きっと誰かの役に立つはずです。
たとえ誰にも読まれなくてもいいのです。「小ネタのモジュール」を作ることは、あなた自身の役にも立ちます。
具体的なエピソードを簡潔に語れるスキルは、いろいろな場面で役に立ちます。
例えば、人事の場合、面接の際に「こんなエピソードがありました」とか「こんな面白い人がいてね」と、会社の様子をありありと伝えられる採用担当者は強いです。
具体的なエピソードは、会社の様子がイメージしやすいので、応募者にも会社の魅力がシンプルに伝わり、新卒の内定辞退も少なくなったりします。
それは求職者も同じです。私はクライアント企業の「社長の近くで働く人を募集」という採用活動のお手伝いをしているのですが、自分の経験を具体的なエピソードとして話せる応募者は、自身の魅力が相手に伝わりやすく、経営者のウケもいいです。
逆に、抽象論しか語れない人は、どんなに立派なことを語ったとしても、風景がまったく見えてこないので、だいたい面接で落ちます。
会社で暇な時間が多くなってしまっている人は、リストラに備え、転職についても考えておいたほうがいいでしょう。自身の経験やスキルを端的に伝えることができるエピソードをまとめておけば、転職活動でも活かすことができます。
キャリアの振り返りは、今の会社でも定年後でも役に立ちます。小ネタのモジュール作りは、キャリアの棚卸しになります。「あ、自分の強みってこういうところだったんだ」と改めて気づくことができるはずです。
自分の強みを仕事で活かすことができれば、成果が上がり、活躍の場も広がったりします。暇ではなくなり、会社にとって必要な人材になれます。
書くだけではなく、口頭で伝えてもいいでしょう。この連載の第15回で「年を取ってやっちゃいけないのは、説教と昔話と自慢話」(リンク:https://www.alphapolis.co.jp/business/official/nishio/6132)とお伝えしましたが、1分で簡潔に話すことができるのなら、昔話もありかもしれません。
「昔はこうだった」という中高年の昔語りも、具体的なエピソードとして簡潔に話すことができれば、若い世代にも興味深く聞いてもらえるのではないでしょうか。
具体的な小ネタは聞いている方も面白いですし、仕事に活かせるネタであれば、後進や会社の役に立てます。
私たちの世代は、60歳や65歳で定年退職しても、その後も何かの仕事をしていく可能性が高いです。「自身の経験値を具体的に話せる」「1分で簡潔に相手に伝えられる」、こうしたスキルは、定年後の仕事探しにも活かせます。
暇になっている人だけに限りません。空いた時間を有効活用して、小ネタのモジュールを書いてみましょう。いろんな場面で、あなたの役に立つはずです。
次回につづく
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
年収とパフォーマンスが一致していない人は要注意 コロナ禍以前から増えてきた、45歳以上の早期退職・希望退職という名のリストラ。その候補となっているのは、パフォーマンスより年収が高い人です。それはどういうことなのか、詳しく説明しましょう。
50代のリストラ対策のひとつは、若手の指導です。「あの人、若手を育てるのがうまいよね」「あの人に預ければ、育ててくれるよね」と社内で評判が立つのは、リストラを防ぐ有効な手立てとなります。
50代のビジネスパーソンの皆さんに質問します。通勤時間は何をされていますか?まさかゲームをしてないですよね…。なぜこんな質問をしたのかといいますと、管理職研修をしていると、伝統的な会社でも上場企業でも新聞を読んでない人が多いのです。新聞、特に日経はビジネスパーソンにとって読んでいるのが当たり前のはずですが、読んでいない人がほとんど。ゲームを楽しむのもいいですが、私たちがやっているのはビジネスです。
会社はあなたを不要と判断したとき、どんな動きをするのか。前回は中高年のリストラ回避法についてお伝えしましたが、今回はこのテーマについてもう少し深掘りしてみましょう。 この人は給与に見合った働きをしていない、このまま会社にいてもらっては困る。会社がそう判断したときの最初の動きは、「解任」と「異動」です。
2021年は、黒字リストラが2020年の1.7倍に増えました。日本たばこ産業、KNT-CTホールディングス、LIXIL、オリンパス、アステラス製薬、藤田観光、博報堂などの上場企業を中心に希望退職・早期退職が実施され、1万人以上が退職に至っています。今後もさらに増えていくかもしれません。
大リストラ時代に突入しても、50代の転職者を求めるニーズはある 「円安や物価高騰によって、50代の転職はさらに […]
あなたは「磯野波平さん」の年齢を知っていますか? そう、あの国民的人気アニメ『サザエさん』に登場する、サザエさん、カツオくん、ワカメちゃんのお父さんで、フネさんの旦那さん。家ではいつも着物姿で、ハゲた頭頂部に1本だけある髪の毛がトレードマークの波平さんです。
ここ数年、「50代についての意見を聞かせてください」というご依頼が増えてきました。当連載もそうですし、『人事の超プロが教える 会社員 50歳からの生き残り戦略』(PHPビジネス新書)という本も出させていただきました。やはり中高年を対象とした黒字リストラや早期退職・希望退職を募る企業が増えているからでしょう。今回も「人事は中高年を実はこう見ている」というリクエストをいただきました。私は人事部時代、中高年の社員をどう見ていたのか。今回はこうしたテーマで、率直な意見や感想をお伝えしたいと思います。