2024.01.22
業績をあげているのに評価されない、給与が上がらない、昇進できない、そんな不満や悩みがある場合、自分では気がつかない原因があるものです。 そのひとつとして考えられるのが、「提出物」です。 交通費や経費の精算、業務報告書、決裁書、請求書、タイムシート、年末調整申請書、自己申告制度のアンケートなど、会社にはさまざまな提出物があります。
業績をあげているのに評価されない、給与が上がらない、昇進できない、そんな不満や悩みがある場合、自分では気がつかない原因があるものです。
そのひとつとして考えられるのが、「提出物」です。
交通費や経費の精算、業務報告書、決裁書、請求書、タイムシート、年末調整申請書、自己申告制度のアンケートなど、会社にはさまざまな提出物があります。
「業績」と「提出物」、あなたはどちらが重要だと思いますか?
おそらく「業績」と考える人が大多数でしょう。本来の業務で多忙な日々を過ごす中で、交通費を精算したり、報告書を作成したり、すぐに必要とは思えないアンケートに記入したりするのは、面倒なだけの雑務に思えるかもしれません。
しかし、正解は「どちらも重要」です。業績をあげることと同じように、必要書類をきちんと提出することも、会社員にとってはとても重要なのです。
もし、以下の傾向があるのなら要注意です。
・提出物の期限を守らない。
・何度も催促されないと提出しない。
・書類にいつも不備がある。
書類の提出を催促したり、領収書と金額や日付が違うなどの記入ミスを指摘して再提出を求めたりすると「こっちは忙しいんだよ!」「業績あげているんだから、いいだろう!」と逆ギレする人もいますが、これは最悪な態度といっていいでしょう。
なぜならこういう考え方と態度では、業績をあげても、人事からの評価は下がり、給与も上がらず、昇進もできなくなってしまうからです。場合によっては、退職勧奨されるかもしれません。
提出物の期限を破る。何度言っても提出しない。提出しても間違いだらけ……。
こうした社員がいた場合、人事はまずその部署の部長に相談します。ただ直属の上司は「だけど業績あげているからなぁ」「大目に見てよ」とかばうケースが多いので、そういう場合、人事は役員に相談します。
役員の反応も鈍い場合は、社長にも報告します。
嫌な奴と思われるかもしれませんが、人事としては仕方がないことなのです。
なぜ人事がそこまで必死になるのか、不思議に思う人もいるかもしれません。
それは、会社のルールを破り、他の社員に迷惑をかけているからです。
たとえば、交通費精算の提出期限を破られると、総務や経理の社員がその対応のために残業をしなければならなくなったりします。提出書類に不備があれば、再提出を依頼しなければならず、処理にかかる手間や時間がさらに増えます。
また、請求書など他社に関わる書類の場合は、信用問題に発展することもあり、総務や経理といった管理部門の社員が連帯責任を取らされる場合もあります。
そのため管理部門では、提出物の期限遅延や書類の不備に対して非常にナーバスになっていることが多く、ストレスを抱えている社員も少なくありません。
人事は、社員全体のモチベーションを高めることが重要な仕事です。他の部署にストレスを与える、余計な残業をさせる、会社の信頼や経営にマイナスの影響を与えるなどの迷惑行為に対しては、厳しい措置を取らなくはならないのです。
提出物の期限を破る、何度言っても提出しない、記入ミスが多い。こうした社員は、評価会議で必ず問題になります。たとえ人事が何も言わなくても、管理部門から「あの人どうにかなりませんか?」「すごく迷惑しています!」と大ブーイングが起きます。
さらに「うちは苦労して期限を守らせているのに、そっちはどうなっているんだ!」と、他の真面目にやっている部署からもクレームが出ます。
となると、成績優秀で上司からは高く評価されている社員であっても、上司もかばいきれなくなり、社長や役員からも是正が入り、厳しい評価が下されるのです。
社員の評価は、業績だけで決まるわけではありません。「成果」と「行動」によって、総合的に判断されます。
業績がよければ「成果」の評価は高くなりますが、「行動」に問題があれば、全体的な評価は低くなります。「行動」を判断する基準は多岐に渡りますが、提出物の遅延や書類の不備は以下に該当します。
・会社のルールや規則を破る、約束・期限・時間を守らない。
・人に対してストレスや不快感を与える
・謝らない、反省しない、自分の非を認めない
・周囲に協力せず、他者を助けない
・ケアレスミスが多い、現状を改善する工夫をしない
・状況を客観的にとらえず、主観的な理解にとどまっている
要は、自分のことしか考えていない、組織に不適格な人間と判断されるのです。
業績のいい社員なら「成果」によって支給額が決まるボーナスが減額されることはないかもしれません。しかし「行動」に問題がある場合は、基本給を抑えて昇給させない、という措置が取られます。
また、組織に不適格な人間を昇進させる会社はまずありません。組織のルールを守らず、他人にストレスを与え、周囲に協力しない。そういう社員を昇進させたら、会社がそれを認めることになってしまうからです。
業績がよければ、たとえ問題のある社員でも会社側も雇用しているメリットがあります。しかし、業績が落ちたら、会社にとって有害なだけの存在と見なされるようになります。
その後に待っているのは、退職勧奨やリストラです。
「経費の精算なんて、ちょっとくらい遅れても平気」
そんな風に甘く考えていると、昇給も昇進もできなくなり、絶望的な未来が待っています。経費精算に限らず、異動希望などについて意思確認を行う「自己申告制度」のアンケートなどに記入がない社員も、「やる気なし」と判断されます。
たった一枚の書類であっても、組織で働くうえでは極めて重要なのです。
仕事は実力がすべて、提出物で判断されるなんてバカバカしい。そう思う人もいるでしょう。それなら、会社を辞めて独立すればいいのです。他人に迷惑をかけても許されるほどの業績をあげられる人なら、独立しても成功できるかもしれません。
(でも本当は、独立した方が、このような「お約束事」はきっちり守らないと、仕事が来なくなってしまうんですけどね)
いずれの道を選ぶにしても、提出物の期限を守って、不備のないように記入しましょう。
些細なことかもしれませんが、そんなことがあなたの将来のためでもあるのです。
次回につづく
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
あなたは自分の会社の「給与の仕組み」を知っていますか? 何をしたら、どれくらい給料が上がるのか? そもそも、なぜ給料は毎年上がっていくのか? 昇給の具体的な仕組みを知っている人は、おそらくあまりいないと思います。 なぜなら、ほとんどの企業では「給与の仕組み」を公開していないからです。
かつて喫煙所は、社内人脈の宝庫だった 仕事をするうえで、社内の人脈は広いほうがいいです。社内のキーパーソンとの […]
「人事は『老害社員』と『経験値が高い社員』をどのように判断しているのか」 今回は、そんなテーマについて掘り下げたいと思います。 中高年の会社員の処遇は、日本企業が直面している大きな問題のひとつです。私自身も、さまざまな会社から以下のような相談を受けることが増えてきました。
のハラスメントが、深刻な社会問題になっています。2019年5月には、パワハラを防止するための「パワハラ防止法(改正労働施策総合推職場進法)」が成立。大企業では2020年6月1日から、中小企業では2022年4月1日から、パワハラ防止のための措置が義務づけられました。これによって必要な措置を講じていない企業は、是正指導の対象となります。そこで今回は、パワハラやセクハラの「加害者」にならないように、人事の立場から防止策をお伝えしたいと思います。
今回は「残業」について、人事がどのように考えているかをお伝えしたいと思います。残業については、もちろん厳しく見ています。だらだら残業をして毎月7〜8万円稼いでいる人は、半年たったら残業代だけで50〜60万円くらいの収入になります。ボーナスで50〜60万円はなかなかつけられません。となると、効率よく仕事して毎日定時で帰っている人よりも収入が多くなってしまいます。
仕事における失敗は、どのくらい人事評価に影響するのでしょうか?今回は、このテーマについて掘り下げてみたいと思います。仕事の失敗には、大きく分けて3種類あります。「挑戦による失敗」「過失や怠慢によるミス」、そして「不慮の事故」です。挑戦には、失敗がつきもの。挑戦による失敗が人事評価にマイナスの影響を与えることは、基本的にはありません。想定したリスクの範囲内であれば、むしろプラスに評価されます。
新人研修、ビジネススキル研修、コミュニケーション研修、プレゼンテーション研修、管理職研修、問題解決研修、ハラスメント研修……。 会社にはさまざまな社員研修があり、年々増え続けているように思えます。 その一方、20代の多くが「研修なんて時間の無駄」と考えているという話もあり、 30代以上の管理職でも「研修って必要なの?」「役に立たない」と口にされる方も少なくありません。
会社に不利益を与える社員=「モンスター社員」が、多くの会社で問題になっています。私たち人事の間では「困った人」「困ったちゃん」などと呼ばれているのですが、今回はこうした困った社員の代表的なタイプをまとめてみました。問題のある社員には、どう接したらいいのか、また気づかないうちに自分もそうなっていないか、あなたもチェックしてみてください。