2019.04.05
これからの人事は、「人」だけでなくロボットやメカ、AIなど、
「人以外」のリソースも管理する必要があります。
会社から必要とされる人事になるためのリソース戦略とは、
いったいどのようなものなのでしょうか?

日本の人事部にあたる部署は、欧米ではヒューマンリソース(human resource)と呼ばれています。ヒューマンリソースは、直訳すると「人的資源」。日本では残念ながらまだまだ管理部門的な性格が強い人事部ですが、欧米では「労働者を貴重な資源と見なし、会社の発展のために活用していくための工夫」が求められていることが、この言葉からわかると思います。そして、それは日本の人事部が目指すべき姿とも言えるでしょう。
もちろん日本には日本独自の文化がありますので、何でもかんでも欧米に倣えというわけではありません。しかしこのままだと、日本の多くの人事部はそう遠くないうちに会社から「必要ない部署」と見られてしまう可能性があります。会社というのは営利組織。人事部門といえども、人的資源である社員の活用を通して利益に絡んでいかなければ、その有用性をアピールできないからです。
しかし、最近では欧米のHRですら、近い将来に時代遅れになるのではないかと感じさせる流れがあります。それは、ITシステム、メカ、ロボット、RPA、AIなど、人以外の労働資源の台頭です。そこで今回は、これからの人事に求められるHRのさらに先、会社のリソース戦略についてお話しします。今後も会社から必要とされる人事担当者であるために、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
日本では今後少子高齢化がすすみ、労働人口が減少していくのはもはや既定路線であると考えられています。それに加えて、近年では若者の仕事への意識の変化も目立つようになってきました。かつてはがむしゃらに働きながら出世を夢見ることが美徳とされていましたが、今では「成長には特に興味はなく、とにかく楽をして生活したい」という考えを持つ若者も多いそうです。決してこの考えが悪いとは言えませんが、日本全体の労働力という点ではあまり嬉しいことではありません。
こういった状況を鑑みると、すでに一部の業界で広がっている人手不足による深刻なダメージは、今後も多くの業界で問題になると言えるでしょう。その人手不足を解消するために、ITシステム、メカ、ロボット、RPA、AIなど人以外の労働資源の活用が見込まれています。
特にロボットやメカは、考えながら行わなくてもいいような単純作業が得意です。「かなりのボリュームを占めていながら今までは人がやらざるを得なかった作業」を人以外のリソースに振ることができれば、人手不足によるダメージの大幅な軽減は夢ではありません。

しかし、どの仕事をロボットに置き換えるかの判断は、人間が行う必要があります。その人間こそが、人事担当者なのです。つまりこれからの人事担当者には、「人以外のリソースがそれぞれどのような分野を得意としていて、どこに配置すれば最高のパフォーマンスを発揮するか」に関する知見が欠かせません。
また、もちろん一部の仕事がロボットなどに置き換わったといっても、当然これまで同様に人材も管理する必要があります。いくら技術が発達しているといっても、(少なくとも今の段階では)ロボットが自発的に仕事を見つけることはできないからです。
これらを総合すると、次世代の人事担当者には、「人」と「人以外」の2つのリソースを管理する力量が求められているといえるでしょう。逆に言うと、この2つのリソースの管理ができなければ「人事担当者として失格」とまで言われるような時代がすぐそこまで来ているとも考えられます。
人事担当者がその力量を問われるのは、会社が最初にロボットを導入する時です。つまり、どんなに遅くともロボットによる単純作業の代替が広く一般化する前までには「それぞれのロボットにどのような特徴があって、適性はどこか」という知識を得ておかなければなりません。RPAなどの技術は日々すさまじいスピードで進化しています。まだまだ先の話なんて高を括っていると、時代の波に飲み込まれる可能性があるでしょう。
ただし、これらの話は人事担当者に「労働資源を管理する」という自覚があることが前提の話です。いつまでも事務手続きなどの作業だけをしているようでは、ロボットの普及を待たずに会社から「不要」の烙印を押されてしまうかもしれません。まずは人事が今何をすべきなのかをしっかりと考える。リソースマネジメントは、その先の話ということを忘れないようにしてください。

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