2018.10.21
会社は利益を追求する組織ですが、社員に求めるものはそれだけではありません。
会社における「困った人」を出さないために、人事は社員を評価する制度をしっかりと定めましょう。
会社とは売上げを伸ばし、利益を確保することが目的の組織ですから、社員全員が利益を出すことを求めています。ただ、社員がよく勘違いしていることなのですが、会社というのは社員にただ単純に利益を出すことのみを求めているわけではありません。会社が本当に社員に求めているのは、「常に変化、成長しつつ利益を上げていく」ということ。ですから、例え利益を上げていたとしても、変化して成長していかなければ「困った人」になってしまいます。
もちろん、「仕事をしない」、「成果を上げられない」、「協調性がない」、「空回りしてしまう」といったものから、「不正をしている」、「勤務時間を守らない」、「そもそも会社に来ない」といった人は、問答無用で「困った人」です。
しかし中には「隠れ困った人」とでもいうべき社員が存在します。なぜ隠れているのかというと、バリバリ成果を上げていて、周囲からはとても仕事ができるように見られている社員だからです。現場の目線で見れば文句のつけようもないけど、会社全体から見ると問題がある。そんな人が、「隠れ困った人」です。
「問答無用の困った人」は、確かに困った人ではあるものの、おそらく同僚や上司、会社全体から見ても「困った人」だというのがわかりやすく、注意もしやすいと思われます。問題は「隠れ困った人」です。慢心していると、今は大丈夫でももしかしたら、あなたも自分では仕事ができているつもりがいつの間にか「隠れ困った人」にされてしまうかもしれません。
そうならないためにも「隠れ困った人」になる原因を知り、努力することが大切です。では、「隠れ困った人」という存在はなぜ生まれてしまうのでしょうか?その理由は、「今は結果を出していても、変化も成長もしていない」からです。
たとえば1人で平均の何倍もの売上げをたたき出す、敏腕営業マンがいたとしましょう。周囲からの人望も厚く、みんなの目標のような存在です。そんな彼ですが、徐々に本人も気づかぬうちに会社から「困った人」扱いをされるようになってしまいました。なぜなら、自分に求められているものを理解していなかったからです。
彼はおそらく、会社員の本分はとにかく目の前の数字を上げ続けることだと思っているのでしょう。しかし、それは彼自身がどの段階にいるかによります。すでに一人前の営業マンとしての実力を備えている彼に、会社は次のステップ「マネジメント」を期待していていたら……。
しかし、彼にはそんなこと及びもつきませんから、とにかく目の前の数字を追い続けます。このギャップこそが「隠れ困った人」を生んでしまうのです。
「隠れ困った人」を生まないためには、単純に会社側が求めていることを、人事を通して社員に伝えてあげることが必要です。例えば彼のケースでは、本人の「次へステップアップするという意識」の欠如も原因ではありますが、一番は会社側が求めることを明確に伝えていなかったことが原因だと言えます。
会社はまず、各キャリアステップに求めるものを決めておきましょう。例えば私たちの会社では「新人」「一人前」「チーフ」「課長」「部長」「役員」という6段階が設定されており、それぞれに応じた求められるコンピテンシー(行動特性)が明示されています。同時に社員への評価制度も整備して、自分が今どのステップにいるのか、行動要件が満たせているのかをフィードバックしていきましょう。
そうすれば会社と社員の意識のギャップはなくなります。社員は会社が求めていることに応じて変化し、その変化(成長)を評価して会社が給与を払うというサイクルが出来上がります。本来優秀な人であるはずの人が「困った人」になってしまうのは、会社にも、社員本人にも不幸なことです。ぜひキャリアステップと付随するコンピテンシーを定めて、社員への周知をしていきましょう。
人事という職に就いたならば、読む“義務”がある1冊
成果主義、職務主義、年俸制、人事部廃止… 90年代から変わらぬ「人事」の構造、変わらぬ平均給与額が、日本を世界トップクラスの「社員が会社を信頼しない国」へと導いたのです。
なぜ変革が進まないのか、その背後に潜む「考え方」の欠如とは何でしょうか?
中学時代に習ったこと、覚えてますか?
多くの人にとっては、すべての勉強の基礎になっている大事な「当たり前」のことですが、思い出せと言われても思い出せる方は少ないでしょう。
この「この一冊ですべてわかる 人事制度の基本」には、人事の当たり前が詰まっています。
ー「なぜ、あの人が?」
なぜ多くの企業で「評価基準」が曖昧になっているのでしょうか。
どうすれば給与が上がるのでしょうか。
11,000人超の人事担当者から絶大な支持を得るコンサルタントが、今まで9割の会社が明かさなかった「絶対的な指標」を初公開!
テレワーク時代には「ジョブ型」に留まらず、「超ジョブ型人事」が不可欠。
その一番の理由は、テレワークをはじめとするこれからの働き方には「監視しない事が重要であるから」です。
人事の“必須科目”を押さえる
プロの人事力
次のステージに向けて成長するためのキホン
人事担当者に必要な知識・学び方、仕事に対する心構え、業務との向き合い方、さらには人事マネージャー、人事部長へとキャリアアップするために必要な能力・スキルを一挙公開
社員の育成というと「研修」を思い浮かべる方が多いですが、
実は研修よりも効果的な育成方法があります。
それは、現場を理解した上での評価制度の策定及び改善です。
人事には、人員計画・配置・採用・給与・厚生・育成・評価といった分野と、それぞれに戦略、企画、運用、オペレーションという機能があり、非常に幅広い分野の領域に関わる職種です。人事担当者は、どのように学習し、キャリアを構築していったらいいのでしょうか。本記事では、新任担当者から主力メンバーになるまでのキャリア構築の方法を「人事の学校」主宰・西尾太が解説します。今回のテーマは「人事学習のよくある勘違い」です。
人事担当者が知っているようで知らない「試用期間」。
きちんと理解しておかないと、後でトラブルに発展する可能性も。
人事担当者がぜひ押さえておきたい、「試用期間」に関する基礎知識とは?
いま再び注目を集めている「ジョブ型雇用」や「成果主義」は決して新しい考え方ではありませんが、これからの働き方を考える中では重要な要素です。 その実現のためにはジョブディスクリプション(職務記述書)が必要とされています。しかし、ジョブディスクリプションの策定や運用には、様々な課題も想定されます。 「働き方」「雇用のあり方」「管理のあり方」「評価のあり方」「給与・処遇のあり方」といった「考え方」そのものをどこまで変えるのか、といったことをよく考える必要があります。 今回は代表西尾から、これからの時代の働き方や評価についてお伝えしていきます。
「オンライン会議に臨むときの服装」や「ZOOMの背景」など、テレワークには注意すべきポイントがいくつかあります。
テレワークでは身だしなみについては決まったルールがありませんが、客観的にみて「今の身だしなみが周りにはどう映るのだろう」と考えでふさわしいか否かを検討するのがよいでしょう。
人事部門が優れている企業ほど、業績がいいことをご存知でしょうか。人事担当者の優劣は、実は企業の業績や成長力に大きく影響しています。では、優れた人事担当者を育てるには、どのような教育が必要なのでしょうか? そこで今回は、人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、人事向けの研修に必要なカリキュラムを解説します。
労務分野の法律や制度に関する「お勉強」が
人事担当者の第一歩だと勘違いしてしまっている方は少なくありません。
しかし実は、人事担当者には専門的な知識など必要ないのです。
この記事では人事担当者に求められる知識を解説していきます。
「そろそろ評価の時期だから、気にしておかなきゃ」
このように考える人は、評価する管理職にも、評価される社員にも少なくありません。
「評価の時期だけ自分の評価を気にする」――果たして、それで良いのでしょうか?