様々な企業で支給されている「手当」。
中には手当を求人の売りにしているのも見かけます。
手当に対する考え方を今一度見直してみましょう。
住宅手当や扶養手当、転勤の手当など、あげてみると手当には様々な種類のものがあります。中には昔からの慣習で・・・などの理由でまだ残っている、という企業も少なくありません。
今回はともすれば「あって当たり前」と思われている手当について、考えてみたいと思います。
たとえば成果と行動によって評価をする、と人事ポリシーで定めている企業があるとします。その企業がもし住宅手当を支給しているのだとしたら、その手当は果たしてどういった立ち位置になるのでしょうか?
この住宅手当は、成果や行動が良くなっても悪くなっても、変わらない金額で支給され続けるものです。もちろん区分としては「給与」に入ります。成果と行動によって評価され、その評価を元に給与が決まるはずなのに、成果と行動に対する評価に侵食されない領域がある、ということになります。
住宅手当は実際に払われている家賃に対する補填だから評価を加味するようなものではない、と言い切ってしまうことは簡単ですが、実際に企業が社員に支払っているお金であることは事実。家賃を払って一人暮らしをしているか、実家から通っているか、それともマイホームを購入してローンを支払っているかは、会社自体には関わりがないと言うこともできます。
ではなぜ企業は手当を出すのでしょうか。そこには様々なメッセージが込められていることと思いますが、企業の理念や人事ポリシーに沿って説明できるのであれば問題ありません。
たとえば、少子化が叫ばれて久しい昨今、次世代に日本人を残していくために、扶養手当や家族手当を支給しているとある企業が、「少子化対策に積極的に取り組む」という姿勢を見せているのであれば問題ないでしょう。その取り組みの一環であると説明できるからです。
また、「社員は家族である」もしくは「社員の家族もまた社員である」といった考え方を持つ企業であれば、一緒に面倒を見たいという思いから手当が支給されるのも頷けます。その社員が出しているパフォーマンスを支えている存在である、という前提がありますので、もちろん一定の成果を出していることが前提にはなるでしょう。
つまり、「手当」そのものが悪者というわけではありません。ただ、「支給されて当たり前」「支給されないと生活できないから困る」と思われているような手当は、給与体系とともに再考される必要があるでしょう。
また、新しく手当を作ることになった際も、「なぜこの手当を支給するのか?人事ポリシーには沿っているのか?」を振り返る機会を設けてほしいと思います。もし沿っていないのであれば、その手当の扱いについて(あるいは本当に支給するのかについて)議論をするべきです。
中には、若手のうちは給与が低いため、その期間のみは生活費を補助しようと住宅手当などを支給している企業もあります。そのような企業は一定の年数勤め続けると住宅手当がなくなることが多いです。「あって当たり前」と思われがちな住宅手当ですから、もし若手のうちの給与の補填といった目的で支給している場合は、しっかりとその旨を社員に伝えましょう。
その企業に長く勤めようと考えている場合、住宅手当がなくなる理由を知っていれば、「○年後には住宅手当がなくなるから、その時期までに手当なしでも生活できるように給与を上げなければならない。そのためにどうすればよいか?」というプランを立てる必要が出てきます。つまり、その手当を含んだ給与額がわかりやすい「目標」になるのです。
もちろん中には言葉にしなくてもしっかりと給与を上げるための計画を立てられる社員もいるでしょう。しかし理由も添えて説明することで納得感も出ますし、相手に対して期待を寄せていることを伝えることもできます。若手にやる気を出させる手段としては有効ですよ。
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上層部と現場の板挟みという人事担当者って多いですよね。
この状態ではどんな施策を打っても現場で働く社員との溝は深まるばかり。
場当たり的な人事制度ばかりになってしまい、「ブレて」しまうからです。
ブレる人事制度を生み出さないためには、人事ポリシーの策定が欠かせません。
人事制度の基本的な構成は「等級制度」「評価制度」「給与制度」の3つです。
面倒だからと策定を後回しにしている会社も多いですが、
社員を会社に必要な人材に育成するために、人事制度は欠かせません。
今回の記事で人事制度に意味を理解して、なるべく早いうちに策定しましょう。