2019.04.26
人事担当者が知っているようで知らない「試用期間」。
きちんと理解しておかないと、後でトラブルに発展する可能性も。
人事担当者がぜひ押さえておきたい、「試用期間」に関する基礎知識とは?

試用期間というのは、本採用の前に実際の職場で働いてもらって、本人の適性を見定めるための期間です。正社員はもちろん、現在では派遣社員やアルバイトにも、試用期間を定める企業が多くなっています。
しかし、「試用期間」という存在が広く認知されている実態とは裏腹に、様々な誤解を抱いてしまっている方がいるのも事実です。4月入社の新入社員が入社1ヶ月を迎えるこのタイミングで、試用期間についてもう一度おさらいしてみましょう。
試用期間とは本採用に入る前にその人の働きぶりを評価し、雇用契約を継続するかどうかを判断するための期間です。期間は一般的には3か月程度、長くても半年で定めている企業がほとんど。あまりにも長すぎる試用期間は、社員をいたずらに不安がらせたり、会社への不安感を抱かせたりしかねないので避けるようにしましょう。
試用期間についてこのように説明すると、「見込んでいたほどの戦力ではない」「実際には面接で話していた高度な能力がないことが分かった」「なんとなく社風に合わない」といった理由で契約を打ち切ることができると勘違いしてしまう方がいらっしゃいます。しかし、これは大きな誤解です。
試用期間であっても会社都合で解雇できるのは、「極端なさぼり癖がある」「会社に来ない」「守秘義務に違反する恐れがある」「経歴を詐称していた」など、そこの会社で最低限の雇用契約すら履行できないと判断できる場合のみです。「マネジメントスキルを期待して採用したのに、全然マネジメントができなかった」「ITに関する知見を買って採用したのに、期待以下の水準だった」「元気がないから体育会のうちの会社では無理だろう」といったスキルや性格などに関する理由では、例えそれが試用期間内であっても解雇する根拠にはなりえません。
試用期間があるからといって安易な採用を重ねる採用担当者も稀にいますが、そこまで大きな効力はありませんので「可能な限り採用前に適性を見極める」ということを意識するようにしてください。

試用期間をさだめている企業の多くは、その期間中の給与の引き下げも併せて定めています。これは一般的に認められていることであり、何ら問題がある行為ではありません。
しかし、試用期間中の契約も歴とした「雇用契約」の1種だということを忘れてはいけません。そもそも試用期間があるのかどうか、あるとしたら期間はどのくらいなのか、給与の引き下げは行われるのか、などは、あらかじめ就業規則や労働契約書などに明示しておかなければならないのです。
例えば試用期間が存在することをおくびにも出さずに採用して、いざ入社してみたら試用期間からスタート、というのは良くある話ですが、労働契約を締結する際には、試用期間を含めた労働条件を明示することが義務付けられています。また、最初に試用期間を1ヶ月と定めていたのに、「まだ判断できないから」と3か月、半年と一方的に引き延ばす行為もNGです。あらかじめ定められた期間でしっかりと適性を見定めるようにしてください。
他には、試用期間中の給与の引き下げもトラブルに発展する可能性があります。よく聞くのが、試用期間中はあらかじめ給与が下がることを提示していたものの、その金額が各都道府県の最低賃金を下回っていた、というケースです。
東京都でのアルバイト募集を例に考えてみましょう。2019年4月現在、東京都の最低賃金は985円。もともとのアルバイトが時給1,000円だとすると、50円引き下げただけで最低賃金を割ってしまう計算になります。これはもちろん、正社員でも同様です。1ヶ月の給与をその月の労働時間で割った時、各都道府県で定められている最低賃金を下回らないかどうか気を付ける必要があります(ただし、試用期間中であれば最低賃金を20%下回る時給を設定することができる「最低賃金の減額特例」という制度もあります)。
また、気を付けるべきは最低賃金だけではありません。試用期間を理由に給与を引き下げる場合には、そこに合理的な根拠が必要になります。「なんとなく他の会社もやっているから、試用期間中は1万円くらい月給を下げておこう」という感覚で給与の引き下げを行うのは危険です。現場で働いている人から聞かれたときに、しっかりとその根拠を説明できるようにしておいてください。

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