2019.02.08
退職者が出ると多くの現場が人手不足に陥り、
業務がうまく回らなくなります。
この状況を改善しようとよくやりがちなのが補填的採用。
でも実は、こうした場当たり的な採用はお勧めできません。
数ある人事の仕事の中でも、人材の採用を重要視している人は多いのではないでしょうか。どのように企業を拡大するにせよ、人材の確保は必要不可欠ですから、そう思う方が多いのも頷けます。しかし、人材の採用は「規模拡大」や「業務拡大」など、会社にプラスアルファの価値を投入するためだけに行われるものではありません。たとえば、退職者の補充を行うための採用などはその例の一つです。
退職者が出た際、会社はどのような対応をとるべきでしょうか?ヒアリングによって退職の原因を探り、今後に向けた対策を練るのは重要です。しかし、何よりもまずしなければいけないのは、失った(もしくは失う予定にある)戦力をどう埋めるかの検討でしょう。入念に引継ぎをし、その社員が退職しても業務が回るシミュレーションを経た上での退職であれば話は別ですが、突発的な退職の事案も少なくはありません。そのような突発の退職者が出た際には、人手不足や混乱状態に陥っている現場を平常運転に戻してあげるのが、私たち人事がまずしなければならないことです。
先ほども言ったように、よほど完璧な引継ぎができていない限りは、今までの業務量をキープしようとしたら確実に人手が足りなくなります。かといって、人手不足を原因に業務量を削減することも、容易ではありません。
このような状況に陥った時、まず考えるのが補填的採用です。社員が1人いなくなったのだから、1人新しく採用すればいい、という考え方ですね。一見合理的で正しい方法に思えますが、人事のプロから見るとかなりリスクの高い方法になります。
分かりやすく、たとえ話で説明してみましょう。お腹がすいている時には、普段は好んで手を出さない食べ物でも、ついつい美味しそうに見えて手を伸ばしてしまうことがありませんか?退職者が出たことによって現場が人手不足に陥っている状態は、まさにその「お腹がすいた状態」だと言えます。たとえば自社の社風に合っていない人材であっても、とても魅力的に映ってしまうものなのです。
正常な判断力がない状態での採用はこのようなミスマッチを引き起こします。会社と社員におけるミスマッチというのは、お互いが違うゴールに向かっている状態に他なりません。当然、企業が望む働きは期待できず、前任者の穴を埋めるどころか、むしろ周りの足を引っ張ってしまう可能性すらも十分あり得るのです。この状態では、雇った社員自身も正当な評価をしてもらえない、と不満を持つ可能性も高くなります。
とはいえ、「あなたはうちの会社に合ってないから」とあっさり辞めてもらうことはできないでしょう。つまり、その社員が辞職を言い出さない限り、お互いがお互いに不満を抱いている状態を続けながら、毎月一定の給与を支払い続けることになります。しかも人手不足は解消されないままです。その人手不足を解消するために、さらなるコストをかけるのは企業にとって大きな痛手ですよね。
人手不足の時の採用は、上記のような理由からリスクが高いと言えます。しかし、採用を行わなければ人手不足は絶対に解消することができません。では、実際に業務が回らない現状を解決するためには、どのような施策が有効なのでしょうか?
最も適切なのは、派遣社員やアルバイトなどを活用することです。戦力を一時的に補填し、しっかりとした判断能力を保った状態で新たな人材の採用に臨むようにしてください。これなら空腹に目をくらませることなく、期待通りの人材を採用できるはずです。
1人の社員の穴を、1人のアルバイトや派遣社員が埋めることは難しいかもしれません。その結果、2人、3人とアルバイトや派遣社員の人数が増えていくこともあるでしょう。そのコストは少々痛いかもしれませんが、ある程度割り切って考えるべきです。望まない形で正社員を1人雇うのに比べたら遥かに低コストで済みます。
ただ、専門性の高い職種の場合には、アルバイトや派遣社員では戦力の補填ができない場合もあるかと思います。その際は、外部への業務委託という形で対応するのがおすすめです。スペシャリストは給与が高くなる傾向にあります。もし採用した人が求める水準に満たなかったら、一般社員と比べると、企業が受けるダメージは大きくなる傾向があります。より慎重に、採用活動を進めていくべきでしょう。
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新人の育成に困っている会社様は多いと思います。
いったいどのような研修及び取り組みが有効なのでしょうか?
今回は実際にあった例をもとに、どんな育成が新人を育てるのか紹介します。
「年功序列」の考え方が染み付いている日本企業は少なくありません。
しかし、働き方が多様化し、ジョブ型の給与体系の企業も増えている昨今、
そのままでは優秀な人材が入ってこず取り残されてしまう可能性が高くなります。
今回は、西尾による講演をもとに、日本企業の「年功序列」について考えます。
企業理念の浸透がなかなか進まないのは、
社員とのコミュニケーションが上手くいっていないからかもしれません。
自分たちの伝えたいことをしっかりと伝えられるようになるためには、
どんなことに気を付けていればいいのでしょうか?
2009年の開講以来、述べ5000人以上の人事担当者が受講し、「人事の原理原則を体系的に学べる」と人気の講座「人事の学校」がリニューアルしました。2022年5月18日より新たにeラーニングサービスを開始。PCやスマートフォン、タブレットなど各種デバイスで受講可能となるなど、人事担当者がより気軽に学習できるよう生まれ変わりました。本記事では、「人事の学校」主宰・西尾太にインタビュー。リニューアルの理由や人事担当者の皆さんへのメッセージをお伝えします。
フォー・ノーツ株式会社が運営する【公式】YouTubeチャンネル。 今回は、【テレワークにおける人事評価は?評価されるにはどうしたらいいのか】について現場を知り尽くした人事のプロ・西尾 太が解説いたします。
「そろそろ評価の時期だから、気にしておかなきゃ」
このように考える人は、評価する管理職にも、評価される社員にも少なくありません。
「評価の時期だけ自分の評価を気にする」――果たして、それで良いのでしょうか?
コロナ禍での企業のリストラが止まりません。45歳以上の早期退職制度などによって、今年だけでも既に1万人以上の中高年が退職しています。ただし現在のリストラは、業績悪化によるものだけではありません。「黒字リストラ」は、果たして本当に適切な施策なのでしょうか。人事のプロフェッショナル集団、フォー・ノーツ株式会社の代表であり、『超ジョブ型人事革命』(日経BP)の著者・西尾太が、中高年に対する施策についてお伝えします。
社員から人事評価について不満が出てきた時、それは「問題点を洗い出すチャンス」でもあります。社員の側に立って話を聞くことで不満の原因はどこにあるのかを探し出します。伝えてもらえるのは良いことなのだと思い、しっかりと向き合うことが大切です。