MBO(目標管理制度)では、「目標設定」「計画立案」はもちろん「進捗管理」が重要です。進捗管理におけるタスクマネジメントでは、いくつかの注意事項があります。人事評価をするすべてのマネージャーの必携書『この1冊ですべてわかる 人事評価の基本』(西尾太/日本実業出版社)から抜粋して紹介します。

マネージャーにとって「進捗管理」とは、日々の業務であり、まさにマネジメントです。ここではタスクマネジメント上の注意事項を考えてみましょう。これは大きく分けると5つあります。
① 「丸投げ」と「任せる」の違い
マネージャーは「丸投げ」をしてはなりません。丸投げとは、指示が曖昧な状態で「これをやっておいてね」と部下に仕事を振ってしまうこと。曖昧な指示で仕事を振るのがマネジメントではありません。
「任せる」とは、仕事を依頼する際に指示を明確に、部下が判断してよい権限の範囲を明確にすることです。リモートワークなど、都度メンバーの仕事ぶりが見えない状況などでは特に重要になります。
② メンバーへの「仕事の依頼」におけるポイント
メンバーに仕事を依頼する場合は、次の3つのポイントに留意しましょう。
●最初に条件を確認する
目的、期待イメージ、期日、できるかの確認、優先順位など、その業務の最初に条件を提示します。
●定期的に報告させる
定期的に過不足なく報告させることで損失の発生を防止します。軌道修正しないまま突っ走るのは、結果的にマネージャー本人の首を締めることになります。
また、報告のタイミングも重要です。30%、60%など、進捗中の報告タイミングを明確にしましょう。任せた仕事をメンバーが100%だと思うところまで遂行して「全然違う!」となると大きな時間的ロスを生んでしまいます。メンバーの経験、力量によって、進捗報告のタイミングを明確にすることをおすすめします。
●仕事を任せきりにしない
ただし、細かくすべてを確認するのではなく、要点のみ把握すれば十分でしょう。関与しすぎは部下の成長を阻害するので、部下の能力に合わせます。
③ メンバーへの「指示の出し方」についてのポイント
メンバーへの指示・依頼については、目的、期限、レベル、そして他の仕事との優先順位を明確にしましょう。それによって他の仕事が遅れてもよいのかの判断はマネージャーの責任になりますから、明確に指示をすることが大事です。以下、OKとNGの例を紹介します。
●目的・背景を示す
何の目的でその仕事をやらせるのか、全体像も伝えます。
OK:「営業数値分析の資料を作ってほしい。次の会議で活用します。精緻な分析を行うので数値はミスのないように確認してください」
NG:「このエクセルにデータを入力して」
●期限を示す
いつまでに必要かを明確に伝えます。
OK:「6月25日の12:00までにお願いします」
NG:「なるべく早くお願いね」
●レベルを示す
仕事の完成度はどのくらいのものを求めているのかを明確にします。
OK:「社内会議資料に使うデータをまとめてほしい。最終的に私がそのデータを使って資料を作るので、見た目はラフなものでいいですよ」
NG:「上司に依頼された資料は、すべて100%全力で作ってくれ」
●優先順位を示す
いまの業務と依頼する業務について優先順位を伝えます。
OK:「この仕事は優先順位が高いので、他の業務をストップして、最優先で対応をお願いします」
NG:「これも追加ね。全部よろしく!」
④ 報告・連絡・相談を「徹底」させる
いわゆる報連相は、ビジネスコミュニケーションの基本です。マネージャーは、チームで仕事を進める上での情報共有の基本ルールを示しておかなければなりません。以下のポイントに留意しましょう。
●報告・連絡・相談をすべきタイミングをあらかじめ示しておく
●週1回程度の定期的なミーティングなど、必ず情報共有するための機会を作る
●「悪い情報ほど小さなことでもすぐに」を徹底する
また、報連相しやすい雰囲気を作ることも大切です。
●メンバーの仕事に関心を示す言葉を添える
●仕事の中身を見て、褒めるべきところは褒める
●不十分な場合は、具体的にアドバイスする
●ねぎらいの言葉を添える
マネージャーも忙しいので、なかなかここまで気が回らないことも多いでしょう。しかしそこは根気を持って行うのがマネージャーの宿命と考えてください。
⑤ 進捗が遅い場合のフォロー
どんな仕事も計画通りに進むとは限りません。メンバーの進捗が遅い場合、マネージャーは、次のようにさまざまな角度からのフォローを心掛けましょう。
●原因を見つける
メンバーに直接理由を聞きます。先入観を持たず、何が原因で前に進めていないのか確認しましょう。この際、前向きに話を聞けば、実行可能で効果的な解決策のアイデアが出やすくなります。
●明確で具体的な目標を改めて伝える
部下が何を求めているか理解していない可能性があります。もう一度、求めている「成果」や「条件」も明確に伝えましょう。
●障害を取り除く
マネージャーが気づいていない障害があるかもしれません。他から多量の仕事を振られていたり、ツール等のハード面が非効率であったりする可能性もあります。できるだけ障害を取り除くサポートをしましょう。
●大きな仕事を小さく分ける
後回し癖のあるメンバーでなかなか着手しない場合は、仕事を細かい要素に分けましょう。小さな成功を積み上げることによって進捗を実感しやすくなり、意欲の持続につながります。
●楽しさを感じさせる仕事を見つける
メンバーが最も得意とする仕事は何かを把握し、得意な仕事を割り当てることで本人のモチベーションを上げることができます。メンバーに楽しさを感じさせる仕事を見つけるのもマネージャーの役割です。
目標や日常の業務の進捗管理は、マネジメントそのものと言えます。「わかっちゃいるけど、なかなかできない」というマネージャーさんもいらっしゃるでしょう。上記の注意事項が進捗管理の一助になれば幸いです。
拙著『この1冊ですべてわかる 人事評価の基本』(西尾太/日本実業出版社)では、計画立案や進捗管理の注意事項をはじめ、人事評価の実践方法も紹介しています。こちらも参考にしてみてください。

『この1冊ですべてわかる 人事評価の基本』
西尾太(日本実業出版社)
「人事評価」をするすべてのマネージャーの必携書。本書を読めば、人事評価制度の意義と目的、評価者としての正しい態度・考え方、組織に合った評価指標の選び方、タスクマネジメントや目標管理の手法、評価面談と評価会議の進め方、部下のポテンシャルを引き出すコミュニケーション方法などが一気通貫に理解できます。

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