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Column

絶対評価の相対化

2014.4.14

先週土曜日は「人事の学校 入門講座」。人事領域全体像についての視野形成を7時間でしてしまおうという、やや過酷な設定の講座である。

今回、取締役に就任した伊藤に一部のプログラムを講師として担当してもらった。これからどんどん担当できる領域を増やしてもらいたいと思う。

さて、評価シーズンである。

新卒採用、新入社員研修、評価、昇降給、昇降格などこの時期人事は盛りだくさんだが、評価調整も非常に重要でかつパワーのかかる業務だと思う。

評価には絶対評価と相対評価がある。それぞれにメリット・デメリットはあるが、基本的に人事評価は絶対評価であるべきだと考えている。この話は以前にも書いたかもしれないが時期なので改めて。

絶対評価は目標であれば達成基準に対してどうだったのか、課題であれば評価基準に則ってどうだったのか、を基準と照らして絶対的に評価するものだ。ただし、この達成基準や評価基準を明確にするのが容易ではない。

相対評価は、評価の分布を決めておき、そのあらかじめ設定された分布に規制していくものを言う。小学校の頃の通信簿がそれだ(少なくとも僕らの世代においては)。

絶対基準が作れないときに相対評価に流れてしまうことが多いが、実は人事評価でこれは危険なことだ。結局恣意的な序列を行うだけ、ということになり、育成に結びつかない評価になってしまう恐れがある。

評価は「イケてる点とイケてない点を明らかにして気づきを与えて成長を促す行為」である。なので評価の全体が大事なのではなく個別要素についての評価とフィードバックがとても大切なのである。

安易な相対化は、その育成のきっかけを失う。

なので、達成基準にしろ、プロセス評価における行動評価モデル(当社には泣きながら作ったこれがある)にしろ、これを明確にしておかないと適正な評価ができない。
そこが制度構築の肝であり、難しいところであり、でも必ず取り組まなければならないことなのだ。

そしてその絶対基準に照らして絶対評価がある程度できたとする。その上で必要なのが「絶対評価の相対化」だ。

ネットで調べてもこの言葉は出てこない。「絶対評価の相対化」という言葉を初めて使ったのは日本で僕が初めてではないかと密かに自負しているが(違ったらごめんなさい)、現場から「どうせ相対評価なんだろ」「誰かをSにするためには誰かをBにするんだろ」という半ば諦め的なクレームを受けたときにそれを否定するために使った言葉だ。

会社であるからには、賞与原資、昇給・昇格原資がある。だからすべて絶対評価で「はい、おしまい」という訳にはいかない。相対化は必要だ。しかし、相対化を行う際に、「A」なら「A」という評価基準を跨いではならない。「A」が達成で、達成したのに、多くの人が達成したからって「B」にされたら評価への信頼が崩れてしまう。

なので、「A」以上で相対化をすることはあっても、基準は跨がない。その運用が「絶対評価の相対化」である。

基準がしっかりしていれば、理論上これは可能だ。記者会見で多くのフラッシュを浴びたって、「絶対評価の相対化は、あります!」って断言したっていい(密かにこれは当社で流行っているパロディ)。

長くなったので終わりにするが、評価担当者のみなさん、ぜひ「絶対評価の相対化」ということを意識していただきたいと願います。多くの会社で実証できているので、「再現性」あります。論文取り下げません!?

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