コラム
採用地
名古屋に向かう新幹線の中です。早起きは気持ちがよい(強がり)。
出張なので、処遇における地域差を考えるシリーズ2。
?「採用地」という考え方がある。どの地域で採用されたかのフラグを立てて、その後の転勤等においての処遇を行うためのものだ。
大阪で採用されたAさんが東京に転勤になった。採用地は大阪で東京は転勤先だから、転勤手当的なものを払う。あるいは大阪への帰省旅費を都度払う・・・など。また、大阪と東京で地域手当の額や給与テーブルが違っている場合もあるので、その差の補填を行う。
これはこれで悪くはないのだが、例えば東京が採用地のBさんが大阪に転勤になった場合、例えば大阪の給与テーブルや地域手当が東京より多少なりとも低かった場合、これは給与減額を行うことになる・・・理屈ではそうだが実際的にはそれは難しいことも多いので、この場合は給与の変更はしなかったりする。
ここにひとつの矛盾がある。
それから採用地以外に転勤した場合に、社宅における家賃補助を行うことも多かろう。これも悪くないのだが・・・
(ここから先はややこしいので気合がいります。ここまでお読みいただきありがとうございました。)
東京に実家があるCさんは、大阪の大学を卒業した。在学中は大阪でアパートを借りて一人暮らし。大阪で就職活動をはじめ、大阪で採用になった。この人の採用地は「大阪」。
大阪に実家があるDさんは、東京の大学を卒業した。在学中は東京でアパートを借りて一人暮らし。東京で就職活動をして、東京で採用になった。この人の採用地は「東京」。
札幌に実家があるEさんは、札幌の大学を卒業した。就職活動のために上京して、東京で採用になった。採用地は東京。
この場合、もし住居費補助を、「採用地以外での勤務時に行う」ことにしていたらどうなるか。?
採用地東京のDさん、Eさんが東京で勤務する場合、採用地なので住居費補助なし。
採用地大阪のCさんは、東京への転勤扱いになるため住居費補助あり。
でもCさんだけ東京に実家があり、一人暮らししなくてもよい。
おやおやおかしいね。じゃあ実家だからということでCさんに住居費補助を出さない?
Cさんが大阪で勤務する場合は採用地大阪だから住居費補助なし。でも実家は東京だからCさんは住居費負担はある。
札幌出身のEさんは東京に住もうが大阪に住もうが住居費はかかるが、東京では会社負担なしで大阪では会社負担がある・・・。
ここまで読んでいただき考えていただいた皆様、ありがとうございます。ややこしくてすいません。
これ、以前勤めていた会社で実際にあったこと。
?結論・・・。どうやら採用地という考え方には運用上問題があるようだ。
ということで、どこで働いたってそれなりの住居費はかかるんだから、実家だからどうとか一人暮らしだからどうとかということで差をつけるのは矛盾が発生する。採用地という考え方は合理的なようであまりそうではないのではないかと思う。
以前の会社では、採用地主義、割り切ってきっぱりとやめました。